偶然と想像のレビュー・感想・評価
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提供された偶然について観る者が想像する映画?
濱口監督作品だからか満席の中鑑賞。
会話劇についていけないのだろう、開始早々物凄いイビキが聞こえてきた。
3作とも「偶然」という設定は理解できたのだけれど「想像」とは?を上映中ずっと考えてしまった。
作品の中で与えられた偶然の場面だったら見ている側はどのように感じるか想像を巡らせてください、ってことなのだろうかとモヤモヤしながらではあったけれど、3編とも会話のテンポが良く、抑揚のない話し方もそれはそれでありかなと思えるものだった。
たまには思考を巡らせながら観る作品もいいかなと帰る道すがら思いました😄
偶然と想像という名のシチュエーションドラマ
1 オリジナル脚本による3話のオムニバス。
2 一話は、男女3人の恋愛模様の行方を描く。場面が車内、オフィス、カフェと移りながら3人の人間関係が明らかになっていく。言葉の丁々発止のテンポが演劇的であり、オチの持って行き方がコント風。偶然の設定が作り過ぎの感あり。
3 2話は、軽薄の学生と主婦が仕掛けた陥穽の結末を描く。陥穽を仕掛けた訳やその内容は、不道徳であり、結果責任のとり方がアンバランスであるが、罠の仕掛けどころの描写は鮮やかでエロい。一方で、仕掛けられた人の脇の甘さと棒読みの台詞回しが残念な人そのものであった。
4 3話は、旧友との偶然の再会と真実を描く。会話の中から互いの生活ぶりや心の中が引き出されていく。そのうち話しが噛み合わなくなり、宅急便の登場で、二人の関係の様相が変わっていく。
5 濱口は、全編を通じ、「もしも〇〇だったら」という状況のもとで、人間関係の様相や人の心の深淵、感情に左右される人の姿を会話劇を通じて手際よく創っていた。1話がシリアスタッチのコメディに感じ、2話が起承転結のある短編小説の雰囲気、3話が映画の題名どおり偶然と想像に満ちていた。
迷い道
下調べもなくまっさらで映画と向き合った時、映画の快感は訪れる。
そんな状態が本当に好きです。
この3本の短編。それぞれに愛と復讐・エロティシズムと状況(いかにも現代風な)・過去との向き合い方(諦念と希望)等々・・ 私ごときが言葉にすると陳腐かもしれないですが、とても心地よい時間を送らせていただきました。
そこで思ったのは、それぞれに登場人物たちがこの困難な時代において、今を必死に生きているその躍動をびんびん心に感じたことです。
「人生」は偶然や必然で回っているけれど、それがあるから面白いともいえる。
道連れ殺人や自死を選ばない、選べない自由をもっとすべての人が謳歌してほしい。(今の閉塞感はあってもです・・)この映画の真の醍醐味に気づいてほしい。今はとてもすがすがしくそう思っています。
ありがとう濱口監督。
M1グランプリ同様に。
M1グランプリ同様に1本目のネタが最良、
以後1=2>2のオチ>3と尻窄みで冷めて幕。
この監督この形式にして最善の3本と思えぬ。
我慢出来ず全てに不要なオチを付けた感が惜しい。
新しい喜劇で小津調への肉迫善戦は買うが、
私的年テンに入れるか微妙。
次作には期待。
何故…
なぜ濱口竜介脚本の映画は
時が経つのが早いのだろう
あっという間に3話が終わった
きっと人間の生理的な部分が出てきたりするからだろう
しかし、
手放しに面白いともつまらないとも言えないのが
いまのわたしです
追記
わかったぞ
なんとなく感じていたのはおそらく
監督と笑いのツボが合わないのだ
だからずっとうっすらと寒気が続いているのだ
名作の予感がする
濱口竜介監督、脚本による三部作である。いずれも女性の愛と性をテーマにした人間関係を描く。仏教用語で言えば「縁起」の本質に迫ろうとした作品とも考えられる。仏教の「縁起」は原因と条件の関係性を主要概念とするからだ。
第一部は二十代、第三部は四十代の年齢の女性が主人公である。第二部だけは年齢が不確かだが、およそ三十歳前後と思われる。時代設定は現代ないし近未来だ。観客は身構えずに鑑賞できると思う。
古川琴音が演じた二十代は、幼児が自分の存在を主張するように自己肯定感で一杯だ。子供は仕方がないが、大人になってもそういう人は、周囲から見ると鬱陶しい存在である。他人の場所や心の中に、文字通り土足で踏み込んでくる。中島歩の台詞にあったように、ほとんどストーカーだ。他人の価値や権利を認めず、自分との比較で上か下かだけを唯一の価値観とする。常に他人と勝負しているようなもので、本質的に共生はできなタイプである。精神医学で言えば、アベシンゾーと同じ自己愛性人格障害だ。救いがない。
友人を演じた玄里の台詞回しがびっくりするほど上手かった。古川琴音よりも10歳上の分だけ演技に幅がある。34歳だが二十代の役もまだまだこなせる。注目女優のひとりに加えることにした。
森郁月が演じた推定三十代は、二十代とは逆に自己肯定感の低い役で、自尊感情の強い人に負けて言うことを聞いてしまう傾向にある。不良の手下、いじめっ子の取り巻き、それにブラック企業の社員などが同じ傾向を持つ。どこかで自分を肯定したいが、壁に跳ね返されるばかりで、自分はこんなものだ、こんな人生なんだと諦める。
芸達者の渋川清彦に棒読みの台詞を読ませたのは、本を読んでいるかのように森郁月に聞こえさせたかったためだと思う。わかりにくいが、森郁月が教授に会いに行ったのは、もしかしたら教授から自己肯定感が与えられるかもしれないという無意識の淡い期待があったためだとも考えられる。そこに必要なのは説法であって、感情ではない。渋川清彦が無感情で話すことに意味があった。
占部房子が演じた四十代は、精神的に安定していてホッとする。とはいえ、心の中では自己肯定と自己否定の相克が常にあり、何かにつけ心を揺さぶられている。相手役の河井青葉が演じる主婦は、心が動かない生活を嘆く。日常にドキドキすることもワクワクすることもないと言うのだ。そこに現れた見知らぬ女が、何か異質なものを持ち込もうとしている。物的には何も変わらないが、精神的には大きく心を揺さぶられる。それが嬉しい。
占部房子と河井青葉。いずれも四十代の女優で落ち着きがある。演じたふたりのそれぞれの心の中では理想と現実、希望と絶望、執着と諦観といった割り切れなさがあるのだろうが、生きていくことには前向きだ。このふたりの芝居は演技も自然で、いつまでも観ていられる気がした。
本作品は脚本も演出もとてもいいし、役者陣の演技も素晴らしく、たくさんのシーンが心に残った。名作の予感がする。
新感覚の会話劇って感じ! 面白くて笑えた!
3本のショートムービーで構成。
それらに関連性は無し。
一度に3つの映画が観られてお得な感じも良かった!
①魔法 4.0点
古川琴音さんがとても良い!
何で彼女はスクリーンで観ると美しいんだろう(笑)
タクシーの中の会話がリアル過ぎ!
アドリブで喋ってる感じが凄い。
ストーリーも実際にある様な展開。
カフェのシーンは大爆笑!
②扉は開けたまはまで 3.5点
主婦で学生。奈緒役の森郁月さん。
知らなかったけど美しい。
この作品は会話劇の真骨頂と言った感じ。
棒読みに近いセリフなんだけど丁寧な喋り方が印象的。
ある小説を奈緒が朗読するんだけどエロい(笑)
そしてメッチャ笑えたー(笑)
③もう一度 3.0点
「偶然と想像」と言うより勘違いから始まる展開。
同窓会アルアル的な感じで面白い。
これも実際ありそうな展開で笑えた。
本作は会話がポイントなので音声だけでも楽しめる作品かも。
役者の皆さんがの丁寧なセリフが心地良かった。
劇場鑑賞案件ではない感じだけど、笑えるシーンの観客の一体感はとても良かったです( ´∀`)
棒の世界
ワンシチュエーションの演劇的な何かが好きな監督なのだなと、「ドライブマイカー」を思い出しつつ納得。
左側の2秒と静止していられないナルシストと後方の「新聞屋さんにチケット貰ったから来たわ」的なイビキマダムに辟易しましたが、マダムは起こしたし兄さんは一瞥したら1分位は静止出来る様になったので、まぁまぁ良しって事で。スマホ弄りも日に日に目立つようになってきたし、何だか悲しいものでございますね。
三本の短編でしたが、全て序盤から中盤まで何かしらイライラ(もしくはムカムカ)な展開なので、「しまった…」なんて思ったりするのですが、三本共にラストでは何故かスッキリしてる不思議な作品群。妙な不穏さや独特のユニークさ等々嫌いでは無かったのだけれど、やっぱり「読み合わせ」の様な棒台詞の応酬は「んむむ??」な感じが拭えませんでした。でも、不思議な魅力はある映画なので、気持ちと時間に余裕のある時にでもどーぞ。
観終わってちょっと幸せな気持ちに
今年最後の映画、皆さんのレビューを観て決めました
演者や内容よりも濱口監督に期待する声が多かったですが、オムニバスという形と共に各々の話の内容も、つながりはないけれども、人生において偶然が何をもたらすのか、偶然を避けた人生などありえないし、予定調和の完璧な人間性を備えている人生だって、わずかの偶然が転機にも転落にもなるおもしろさを感じました 登場している人の人生にとっては、起こって欲しくない偶然でも、離れてみている観客とすれば、日々単調な生活においても何かしら彩が添えられる「期待」を持ちました 第一話の古川さん演じる芽衣子のいやらしさも偶然がなければ包まれたままだったろうに、でもその「もう一人・真実の芽衣子」が現れていくことに、わくわく感すらありました
対照的な第三話、ウイルスによって元のようなコミュニケーションを必要とする時代に戻る中、いくつになっても不安と不満が渦巻く日々の生活において、偶然の出会いがもたらした清々しさ、いいラストでした
私河井青葉さんのファンで、彼女決して中心には出ない役が多いのですが、短編で2人だけの展開でしたから、彼女の安定した演技に大満足でした (12月23日 京都出町座にて鑑賞)
圧倒的な傑作
圧倒的な傑作。
会話劇で、セリフ量はかなり多いはずなのに、それでも能動的に見させる作りになっていることこそ映画のマジックなんだと思う。画面の中にたくさんの情報があふれてる。類推させるだけの何か。類推させようとする何か。その仕掛けがたくさんなされているから面白い。短編同士でリンクしていないようで通底しているところはリンクしているし、前菜・副菜・メインのように、盛り付けが高度(時間の概念が長くなる)になっていくところも良い。
1話。タクシーのシーンの美しさ。どこであんな長回しが撮れるんだろう。恋バナの後向かう場所。そこから始まる怒涛の会話劇。素晴らしい。古川琴音が演じる役、自分だったら絶対面倒くさくて関わりたくない女だけど、この男なら関わっちゃうんだろうな…と思わせる説得力が男性側の佇まいにある。急なズームも良い。
2話。セフレは教授のこともともと好きだったんじゃないかな…。教授の佇まいの品の良さと、出てくる言葉の品の悪さのギャップに笑う。未だに大学教授はそのドメイン使いがちだからね・・・。面白い。
3話。偶然が過ぎる。覚えていてもいいような気がするけど、時間の経過とはそういうものなのだろう。それでいて、関係性が如実になってもせっかくだから…となるのも確かになぁとなった。
会話とはセックスである。エロい。最高の映画体験だった。
会話の内容が入ってこない。
偶然と想像が織り成す独立した3つのストーリーで描かれるオムニバス作品。それぞれ掘り下げたらおもしろそうだけど、ほぼほぼ1対1の会話劇が続くので正直退屈してしまった。濱口監督のスタイルなのか、うまい役者さんでないと大惨事になりかねない抑揚をつけない独特のセリフ回しも、確かに印象的ですけど私はハマらずです。
3本ともなかなかマニアックな展開で要は、偶然は必然であって、想像がいつの間にか現実になるみたいなことなんですかね。3本目の「もう一度」はまさにそんな感じでした。
オムニバスなのでテンポはいいはずなんですけど、なんかやたら長く感じてしまった。会話の内容も途中から興味なくなってしまって惰性で聞いてました。
最高の会話劇。
3本とも着想、展開、素晴らしいと思った。
徹底した脚本の面白さなんだと思う。
映画なんだから映像的なアイデアがあるともっとよいと前作でも思ったんだ。
あとああいう棒読みセリフが好きな監督が時々いるけど、シーンによってはまってる時とそうでない時があるような気がする。
僕は読み合わせ、役作り、練習方としてアリだと思っているけど完成形としてはやはり観ずらいと思う。
正直3本目は少し眠かった。
映画ではないラジオドラマで十分
棒読みのセリフ・演技をしない役者、そして私小説的テーマ、始まって5分で目をつぶってしまった。それでも最後まで全く困らないラジオドラマだった。映像で物語る黒澤の私小説的映画「夢」と正反対
3作とも素敵です!
古川さん、やっぱいいですね!
喫茶店でのシーン1、シーン2面白かったです。
作家とのやりとりシーン、とても素敵でした!
20年ぶりの出会い、間違いだった!
2度目の出会いシーン、よかったです。
出来るだけ前情報を入れずに
短編オムニバス(三話立て)という形式、正直「どうか?」と半信半疑で挑みましたが、結論としては三話共に丁度よい尺と面白味でなかなかの満足度でした。
公式サイトやトレーラーは見てもいいと思いますが(私は全く見ずに挑みましたが)、一部の紹介サイト(当サイトを含む)や記事の解説はやや説明しすぎ。短編ですし、この偶然性を前もって知ってしまっていることは勿体なすぎです。
劇場でも特に渋川さんや占部さん、河井さんなどのベテラン勢が演じる二話目、三話目では時折笑い声が起きるほどの意外な言葉や展開があり、これは出来れば前情報少な目でご覧になることをお勧めします。
人の関係性、距離感とそこで交わされるコミュニケーション、濱口作品は脚本(説得力のある言葉と論理)と役者への演出にもつながる「本読み」が観ている側へ程よく想像力を持たせてくれて最後まで面白く感じさせてくれます。
私は、特に第二話の『扉は開けたままで』の渋川さん演じる大学教授で作家の「瀬川」がとても良かったな。彼の言葉には言われている奈緒でなくても救われた気になれます。
「女性」を描きながら、言葉で表される以上の何かを描いている映画
すごい映画観た。三本の短編映画で構成されている映画なのだけれど、三本ともすごい。そりゃ、今年の邦画ベストワンだとすでに決めていた「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督の作品だし、期待を胸にふくらませて映画館に行ったわけだけれど、想像を上回る出来の作品。今年観た映画のベストワン。濱口監督は女性の描き方が本当にうまい。これまでの作品を観ていれば、そんなことは分かりきったことなのだけれど、もうそう表現するしかない。女性というモデルを描写するのではなく、あるシチュエーションの中に落とし込んで、女性という本質を持った人から想像の上を行く行動を引き出している感じ。登場人物たちを言葉で表せば、一本目の小悪魔、二本目の悪女、三番目の中年女性と野暮な言葉になるけれど、それらのくくりにとどまらないような、彼女らの感情のほどばしりと動揺と自分たちにも分かっていない行動の意外性が、観客の度肝を抜く。これこそ映画としての「女性」の描き方だなあと思う。成瀬巳喜男や増村保三とも少し違う。「ドライブ・マイ・カー」も言葉で表す以上の何かを映画で描いて、画面に刻み込んでいたのだけれど、この三つの短編はその言葉にならない「女性」というか、人間の感情と行動を見事に描いている。一見、普通に撮っているようでいて、抑制された的確な演出、脚本のプロットの巧みさ。本当に映画の表現力の素晴らしさを感じさせる映画作家だと思う。今年のベストワン映画としたい。
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