「行き場のない恋の行方。」ひらいて レントさんの映画レビュー(感想・評価)
行き場のない恋の行方。
破天荒な肉食系女子が草食系男子に横恋慕するお話。
勉強、友人関係なんでもそつなくこなす愛はクラスでも目立つ存在で、文化祭のダンスもセンターを務めるほど。
そんな彼女が思いを寄せるクラスメートのたとえに振られたことから、彼の恋人である美雪とただならぬ関係に陥ってゆく。
最初は美雪を汚すことでたとえを振り向かせようとしたが、それを告げても彼は全く動じることがなかった。結局どうやっても自分の思いが伝わらないと知り、愛の行き場のない思いは美雪に向かってゆく。そして美雪にとっても愛との関係は忘れがたいものとなっていた。
最初は単なる横恋慕の話かと思いきや、話がどんどん予想外の方向に転がってゆくのが見ていて面白い。
自分の欲求を満たすためなら手段を選ばない愛。肉体的精神的に恋愛に猛進するのは当然といえば当然なお年頃。
年齢を重ねるにつれて人は他者への気遣いから自分の気持ちを優先できなくなるが、この年齢なら自分の気持ちが最優先だし、他人の気持ちなんてお構いなし。それがまだ許される年齢なんだろう。
そんな愛に感情移入は難しいが、自分の欲求のままに猪突猛進するその姿がうらやましくもあった。
低血糖で倒れた美雪に口移しでジュースを飲ませたり、校舎の三階の窓から壁伝いに侵入したり、恋敵の美雪と関係を持ったり、たとえの父親をぶん殴ったりと山田杏奈演じる愛の破天荒ぶりが見ていてとても楽しい作品。
弱冠28歳で初の商業映画を見事に撮り上げた監督は学生時代にハマった原作を映画化したくて映画監督になったという。
再投稿。
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