「夕立ダダダダダッ」ひらいて ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
夕立ダダダダダッ
原作は未読で鑑賞。
今作の1番の魅力は、山田杏奈さん演じる愛と、芋生悠さん演じる美雪の濡れ場のシーンです。R指定ではないので、全裸になったり、異性同士で性行為を行ったりはしていませんが、女性同士の生々しさは極限まで突き詰めていたように思います。おそらく濡れていたアソコをイジり、右手が濡れた事を確認したり、おっぱいを吸ったり、互いに体を重ね合ったりと、実際にあるシチュエーションをフィクションながらノンフィクションのように見せるうまい表現の仕方でした。監督が女性ということもあり、その面の見せ方が男性監督には無い視点で、とても良かったです。
役者陣の熱演もブラボーで、山田杏奈さんの目で魅せる演技。作間龍斗さんの落ち着きのある演技。芋生悠さんの振り回される臆病さあふれる演技。安定しつつも、時々狂気を感じる121分でした。
特に愛は簡単に言えばなんでも欲しがる子で、作間さん演じたたとえを自分のものに従ったり、美雪をひたすら責め立てたりと、卑怯という言葉が似合いすぎる悪い子です。こんなに演じるのが難しそうな役をずっと演じている山田杏奈さんに驚きです。
しかし、欠点の方が大きい作品だなと思いました。特にたとえと父親の関係性が描かれていなさすぎて、終盤の父親がキレているのにも全く納得がいきませんでした。母親と同じで地頭が悪いだとか、逃がさないだとか、何でそんなに息子に執着しているのかが分かりません。杏奈がぶん殴ってしまうのも無理はありません。ただ、杏奈がその後2人について行ってラブホに入るシーンはよく分かりませんでした。そこは2人っきりにしてあげたら?と。
後半の愛の挙動もただの駄々っ子で問題児と化しており、テストは無回答だったり、教室を抜け出したりと、本当に卒業できるのか?と思ってしまいました。最後も美雪の元へ駆け寄り、また寝よと言い放ちますが、いや寝ないでしょ、みたいな感想しか出てきません。
正直前半はかなり良かったのですが、後半になるに連れて作品としての粗が出まくって、失速していった感じが否めません。それでも最後、文化祭用に作った木の展示を壊すシーンはとても壮大で美しかったです。
あと確か監督の親戚の方々が歌った「夕立ダダダダダッ」も坂道系の曲で、聴き馴染みがありとても良かったです。本家に提供してもいいんじゃない?というクオリティの高さでした。
鑑賞日 10/24
鑑賞時間 13:50〜16:05
座席 C-6