劇場公開日 2021年4月29日

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「一つの作品で二つの生と死について語る」FUNNY BUNNY フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

一つの作品で二つの生と死について語る

2021年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

鉄アレイと新曲の話

「街の上で」が想像以上によかったので、同じ劇場でやってた他の邦画も見たいなと思い鑑賞。

まったく前知識なく、知り合いからはあまりいい評判は聞いてなかった。
当日劇場でチラシを見て納得。
あらすじがごちゃごちゃ過ぎる、図書館強盗と電波泥棒。
人気の舞台を映画化、などなど

チラシから地雷映画の匂いが…

見る気が一気に失せたがチケット取っちゃったしもう見るしかない。
しぶしぶ場内に入ると、お客は私含めて3人、一番小さい劇場だし、不安だ、いよいよ雲行きが怪しくなってきた。

などと心配していたがなんとか最後まで見れた。

終始舞台劇で映画的には違和感ばかり。
舞台とスクリーンは別世界なんだと強く実感した。

舞台では見栄えするシチュエーション、耳障りがいいセリフ、なのだろうけどスクリーンは違う。

見栄えするシチュエーションは現実味がなく、耳障りがいいセリフは言わされてる不自然感しかない。

全てのセリフに「」が見えるようだった。
これは初めての感覚でしたね、今まで「」が見える様な映画は見たことなかったので驚きました。
舞台あんまり見ないので慣れてれば問題ないのかな?私は違和感しか感じなかった。

ストーリーもしっちゃかめっちゃかで感情移入が全然できない、伏線とか各キャラの設定とか全てがどうでもよくなって、申し訳ないが早く終わらないかなと思ってました。

しかし我慢しているとセリフ回しにも慣れてきて、いじめの回想シーン位から話が動き出し、後編の電波泥棒の頃にはストーリーに興味が微弱ですが沸いてきます。

図書館強盗から数年なんだかんだ仲良くなった5人がまたしても集い人助けをします。
後編のストーリーは前編に比べあんまりひねりも無いしさらなる犯罪行為を平気でやってるのでこいつら迷惑なやつだなと思いつつ一人の人生を救うために起こした行動のため仕方ないかなとも思う。
ちょっとは感動したけれど、もっと別の方法が有ったんじゃないの?

主人公の行動も不可解なんだけれど一番わからなかったのは鉄アレイの件です。

じいちゃんはなんで宝の隠し場所知ってたの?

田所くんが体を鍛えることを止めた理由が理解できない。
希望の前に絶望があるから?
いじめに対抗するために鍛えたけれど敵わないから止めた?
田所君はいじめに抵抗することを止めて耐え忍ぶことにしたのだろうけれど、鉄アレイに込めた気持ちは美しいか?宝たりえるのか?
私の乏しい感受性では理解できませんでしたのでもう少しわかりやすく劇中で教えてほしかった。

物語の主人公はいい意味でも悪い意味でも観客を惹きつけると思う。
剣持の性格からして目に見える、手の届く命は手段を問わず救いたいというのはわかるけれど、お前の行動で不幸になる人も必ずいるよね?
命を救うためなら他人の迷惑も顧みない姿になんかモヤモヤした、根本的にいい奴だとは思うけど、考え方、言い回し、行動、自分なら絶対友達になれないな。

前編、後編に分けて別々のストーリー風だけれど根本は繋がってる、同じ生と死についてがテーマだけれど状況が違う。
殺人と事故
死者の声が聞こえる場合と聞こえない場合

死者の設定で共通項をもっと同じにしてかないと前編の田所くんエピソードが生きてこなくない?
後編は声も聴けるし美談で終わるけれど、前編は生きてる奴らが勝手に美談にしてるだけだよね?感動しにくいわ!

良いところが無い映画ではないと思うけれど、好きなキャラクターも好きなシーンも一個もない作品でしたね。
つまらないかと言われればつまらなくはない。
楽しかったかと聞かれればそこそこに楽しめた。
なんとも微妙な映画でした。

舞台で見てたらもっと面白かっただろうに…

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劇中セリフより

「夢のボタンを隠したんだ」

希望の前には絶望が待っている?
絶望の後には希望が待っている?

希望と絶望は表裏一体、50:50ならなんとか生きていける。
その%を少しでも希望に傾けるのが人生なのではないだろうか。

フリント