「映画館でしか多分観れない作品」14歳の栞 souさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館でしか多分観れない作品
いまの個人情報に過敏で苛烈な世の中で観るにはかなり難しい作品で、よく公開できたなと思うくらい14歳が言葉にしたものを納めた作品でした。
ディスク化もネット配信も多分、厳しいんじゃないかと思う。というか、映画館だけで見れる作品であって欲しい。そこで上映して、そこで感じたもので終わり、くらいの。そんな意味で、映画館でしか観れない映画だと思いました。
ベースはうまく映像作品としてパッケージされていて、かなり見やすいドキュメンタリーでした。人間の言葉の点と点を線でつないでいろんな角度からの意見を、納めていて、伏線のように見せるのがとても技巧的でエンタメ的。でも言葉を引き出せる関係性になっているところがまずすごいというか。なるべく、個人のありのままをおさめようとしているところに好感触でした。ドキュメンタリーだから、切り取り方は非常に難しく、編集も難しく、何をしても恣意的になるし、特に言葉が表すものとかも難しいし、
プライムベートにかなり深く立ち入っていて、ある意味で人の家のプライベートムービーを見てしまったような感覚さえある。
個人の意見と客観的視点と、なるべくは傷つけないけど、でも面白いものに仕上げようとしている、非常にバランスの取れた最小公約数を乗り切った作品でした。
いまできる範囲でだいぶ14歳の心の動きの煌めきみたいなものに近づこうと作品だと思います。
手放しに素晴らしいというのはテーマがテーマだけに少し憚れるけど、でも素晴らしかったと思いました。
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