「一方的かつ美化した薄っぺらい作品」狼をさがして バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
一方的かつ美化した薄っぺらい作品
観ている間、ムカムカが収まりませんでした。
なぜか?美化と偏りが甚だしいと感じたからです。
僕はドキュメントで尚且つ過去の歴史に関わる内容であれば、公平であれ。と考えます。その客観的な視点の中から製作者として見えてくるもの、事を作品として昇華させ鑑賞者に提示して考える機会を与えるもの、、、と思います。あくまで主観ですが。
その点で考えると本作はどうなんだろ?って思います。
以下、もしかしたらネタバレ相当の内容になっているかもしれませんので、ご注意ください。
本作の監督は、取材した対象の方々の話や韓国で報じられている内容のみで事実として扱っていないでしょうか?歴史や報じられている内容の検証しているのでしょうか?そのための取材はしたのでしょうか?
武装戦線メンバーの話ばかりに光を当て、彼らの言い分、支援者の言い分のみを映像化しているようにしか見えません。
失礼な言い方になりますが、美味しそうな題材を見つけて、それを取材した映像を編集してまとめただけのようにしか見えない、非常に稚拙な作品だと感じます。
支援者の方々、旧メンバーの人達の話を聞いてると、あぁ、そう考えていた(いる)のね、ということはわかりますがその根本の、思想の根本に至った経緯や心情の変化もわからなければ、爆破を選択した理由もわかりません。支援者もなぜ考え方に同意できるのか?なぜ、犯罪を犯した人達を支援するのか?がわかりません。描かれるのは表面的な理由であり、「なぜ?」がさっぱりわからないのです。
だから、美化、偏向に見えてしまうのだと思います。
さらに、本作は
「事件の被害者側が全く出てこない」のです。
つまり、被害者視点の語りが全くないのです。
おかしいでしょ?というか、本作に出てきた当事者、支援者には嫌悪しか抱きません。尊い命を奪った償いは何をしてるの?といいたくなります。
罪もない方々を自分達の思想実現のために殺めたにも関わらず、お詫びしますとか歌を詠むとか正直どーでも良いと思いました。支援者も支援するなら指名手配者を見つけることからやれ!って言いたくなりました。
終始、頭でっかちの方々が言葉遊びのごとく話して、昔を懐かしむ、、、一体本作の制作目的はなんなんだ?と。
被害を受けた方々が本作を観たらどう思うのでしょうか?配慮がこれっぽちもないドキュメントです。
言い方選ばずに書きますが、ただの一方的な反日映画なんじゃないですか?と思いました。
ただ、僕は本作で語られる武装戦線の活動動機の一つとなっていた、中国等の方々への強制労働、虐殺の事実を知りません。また、日本が戦争責任、植民地政策の責任をどのようにとっているか?詳細を知りません。本作で描かれた内容を鵜呑みにしたくないので勉強しようと思います。
その機会をいただけた分の点数をつけます。
東アジア反日武装戦線は確かまだ実行犯の一人が捕まっていません。また、この監督は韓国人だったと記憶しています。これだけでも、日本人のナショナリズムを駆り立てる内容だと思います。何故この映画が作られたかの真意は理解できませんが、特別なお金を取られて、映画館で見た僕は先入観なしでも大変に不愉快になりました。つまり、この映画は寧ろ日本人のナショナリズムを駆り立てるヒール役を担っているのでは?と僕は思いました。共感します。