とんびのレビュー・感想・評価
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子供の成長を願う。親子の絆とコミュニティ
この映画は、母親を亡くした息子と、不器用ながら一生懸命に育てる父親の感動的なストーリーです。観ている間、何度も何度も涙が溢れました。
主人公の父親は、不器用で感情表現が苦手ですが、息子を大切に思う気持ちは誰にも負けません。映画は、父と子の関係だけでなく、近所の人々との絆も描いています。おじさんやおばさんたちがまるで家族のように支え合い、共に笑い、共に泣く姿が心温まります。
現代社会において、ご近所付き合いが薄れ、子育ては親と子の関係に限定されがちですが、地域みんなで子供を育てる文化は、これからも大事にしたいと思いました。
父から子へ、子から父へ、目一杯の愛を
Amazon Prime Videoで鑑賞。
原作は未読。
不器用な親父役がこれほど似合う俳優はいないんじゃないかと思うくらいに、阿部寛の演技が良過ぎた。脇を固める安田顕や薬師丸ひろ子も素晴らしい名演で魅せてくれた。
父が子を想い、子が親を想う。父から子への目一杯の愛と人情味溢れる物語に心温まり、涙腺緩みっぱなしだった。
ヤスが旭についた「優しい嘘」が、これまた涙を誘う。不器用だけど、真っ直ぐに貫かれるヤスの愛が沁みて来た。
麿赤兒和尚の名言が刺さる。親子の絆だけでなく、現代社会では希薄になりつつある周囲との繋がりに思いを馳せた。
どこか懐かしさをも感じさせる昭和。なんて温かいのだろうか。過剰とも思える関わり合いを心底羨ましいと感じた。
※修正(2024/06/30)
かなり泣いたけど・・・
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トラック運転手の阿部。ある日、嫁と息子が仕事を見学に来る。
そして息子のせいで荷崩れが起こり、息子をかばった嫁が死亡。
但し小さ過ぎたため、息子にその記憶はなかった。
阿部はガサツで色々ダメな男だったが、一生懸命育てた。
そして息子は早稲田に受かり、東京に出ることになった。
不器用ながら、送り出す阿部。
やがて息子の所に、昔世話になった坊主の遺言の手紙が来る。
こうして息子は母の死の真相を知る。
そして7つ年上で子持ちの杏を、婚約者として父に紹介する。
最初は受け入れられなかった阿部も、杏の人柄を認める。
こうして息子は杏と結婚する。
具体的には描かれないが、息子は直木賞作家となった。
ラストシーン、阿部は死んでて、息子や孫が彼を偲ぶ。
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ガサツで不器用ながら一生懸命に息子を育てる阿部。
父と違って真面目で繊細な息子。
思いがよく描かれてて、序盤から泣くシーンが多かった。
あと安田顕や薬師丸ひろ子らも最高。本当に心に響く演技。
魅力的な役柄でもあり、彼らの言動にも泣かされまくり。
ただこういう主人公、現実にいたら絶対好きにならないw
阿部が演じるから、粗暴な中にもどこか知的で品がある。
でも現実で見かけるこのタイプって、救いようがないもんな。
身近にいたら、アホやなあ、無計画やなあ、ってイラつくやろし、
いつしか応援する気力も失い、自業自得じゃとか思うだろう。
あくまで阿部が演じるから共感できた映画やと思うw
親とんびが鷹になるまで、子とんびが鷹になるまで
昔小説を読んだ時に、大泣きした作品。
映画化されて、北村匠海が演じるなんて必ず見なければと思い、子供と見た。
母を亡くし母方に引き取られ養子となり、父親は身を引いて新たな家庭を築いた環境で育ったヤス。
優しい愛妻とのやっと手にした家庭に息子アキラが産まれて、喧嘩っ早いヤスに親の自覚が芽生えていく。
ところが、ヤスの仕事場の荷捌き場で荷崩れし、妻が息子アキラを守って他界。
父親像のわからないヤスにとって、男手ひとつでアキラを育てるのは大変だが、ヤスの姉のような小料理屋の女将や町の大人達に支えられて、不器用だが心に愛情いっぱい、アキラをどうにか育てていく。
アキラにはその不器用さゆえ、うまく伝わらずすれ違う事も沢山あったが、アキラは沢山の大人から愛されて守られて、大切に大切にされて育つ。
そのアキラが広島から東京の大学に合格し、上京。
巣立つ時もヤスはなかなか素直にアキラに伝えられなかったが、アキラもまた、ヤスの想いを汲み取り、東京で一生懸命生きていた。
勤め先の出版社で7つ上のバツイチの子持ち女性由美と、結婚することに。
ヤスのところに報告に来たが、1度目はヤスは困惑。
2度目に来たときは、由美にはお腹にアキラの子供がいた。
アキラを大切に育ててきた町の面々にびしっと一蹴、
「一生懸命生きとるんじゃけえ由美さんは良い子じゃ」
これは仕事で重い荷物を運んで家計を支え、家では大切なアキラを父親と母親の2役をこなして必死に毎日育ててきた、ヤスなら心底わかること。
アキラは、養子として育ったヤスに育てられ、母親がいない寂しさもあるが、その穴を沢山の人達の温かさに支えられて育った。
だから、由美の子に注ぐ愛や人手が足りない時は、自分が温めようとごく自然に考えたはずで、そこにバツイチとかコブ付きとか、そんな気持ちは全くなかったと思う。
一生懸命、大切に育ててきたヤスのひたむきな数十年が、アキラの言動に現れたとき、ヤスの頑張りは報われた。
そして、孫2人と関わり、幸せな老後が訪れる。
豪快で血の気の多いヤスの人生は、親と妻こそ失ったが、後世に命を繋ぐ豊かな物となった。
とんびが鷹を産んだのではなく、親子鷹。
昔はアキラの立場で本を読み、ヤスが不器用がゆえ、親の心子知らずなだけなのだが、アキラが抱く孤独に泣いていた。
親になると、ヤスが背負っていたプレッシャーの重さがよくわかる。
身体も心も元気に育てなければ。
真っ直ぐな優しい子に育てなければ。
母親がいないからと不利益を被ることのないように。
仕事しつつも物理的にアキラに時間と愛情を沢山注ぎたい。
そしてアキラが立派に育て上がるまで見事に果たせたその原動力こそ、大切なアキラがいたから。
そして、ヤスが真剣に育てる中で時に衝突する時、ヤスやアキラに逃げ道を与えてくれた町の人々。
特に和尚とその息子夫婦は、ヤスがアキラに言えなかった、母親の死の本当の理由を上手な形で伝えてくれた。
愛情が深いがゆえ、特に善悪にまつわる事は、
絶対譲らず曲げてはいけなかったり、
突き放してでも厳しく理解させないといけない時というのがある。
そんな事態が起こるタイミングは子供にとっても、
置かれた環境下で寂しい立場や弱い立場に置かれている時だったりする物で、下手すれば親子関係も崩れてますます孤独が深まったり、悪循環に陥る可能性がある。
アキラを叱り殴ったヤスが、自分の事も殴り、
「痛いなぁ。小さい頃の優しいアキラのままにできなかったのは俺の育て方が悪かったのか。」と嘆く場面は、親という立場の強さを利用しないヤスの一本筋の通った人間性が現れている。
大事なところはブレずに、保身をしない素晴らしい親。
アキラを育てながら、帰る場所がある安心感の大切さ、親と子それぞれの温かい逃げ場所がある必要性、血の繋がりがあってもなくても、親の手が回らないところに優しく力添えしてくれる存在はいくらあっても良いことをこれでもかと経験してきたヤスだから、
アキラ夫婦が一緒に住まないか考えてくれても、断る。
東京に送り出す時も、実は誰よりアキラの希望実現を祈っていたが、里心が付かないよう突き放して送り出した。
そういうヤスに育てられ、アキラは物分かりが良い一面や、甘えたい気持ちを堪える一面があり、底抜けに明るくはないし、ヤスのように豪快でもないのだが、本心がどこにあるのかわかりにくい中からでも不器用な愛情を感じ伝え返す優しさがある。
そのアキラを表現できるのは北村匠海以外いないと思うくらい、ぴったりとはまっていた。
時折織り交ぜてくるテルマエロマエな阿部寛と、
薬師丸ひろ子、安田顕の存在感もものすごい。
これでこそ邦画だと感じる、日本人の深い優しさや人情深さの全てが詰まっているようなこの作品。
主題歌は大好きなゆずの、風伸子という楽曲。
もう、100%、余韻どっぷり間違いなしな、悪意ゼロの名作。
全ての登場人物の発言も気持ちもよくわかる大人になって、政治がどれだけ育児世代に辛いものになっても、子供達が見える関わる範囲を優しさで満たせる大人でありたいなと強く感じた。
町ぐるみの大きな家族の構成員でありたい。
あんたは偉い♥
私自身は『鷹』ではなかったが、我が父は『とんび』以下だった。あの『異端の鳥』様な『奴』だった。『協調性の欠けた輩』と言う事だ。
映画の解釈では『息子を助ける為に母親は死んだ』とされているが、この主人公(父親)の本音は『息子の不注意で母親が亡くなった』と思っている様に見える。そこが妙に生々しく醜い。
まぁ、
我が親爺はとんび以下の男だったが、実は、大学は出ているんだよね。つまり、人間の質とか知恵は、学歴とは関係ないと言う事だ。
私も一応大学は5年(一浪)かけて、スネかじって卒業したが、大学から受けた教育には自分の人生は変わる事はなかった。と思う。寧ろ、浪人を含めた大学時代の時間が今の自分に余裕を与えてくれて役立いると思っている。だから、大学へ行けて良かったとは思うが、行けなかった人を『とんび』呼ばわりはしたくない。勿論、自分の為に。理由は簡単だが言わずもがなあ。
『とんびが鷹を産んだ』なんて、フィクションと言えど、半生をモデルにして、良くぞこう言った話を作れるものだ。流石!!
複雑な生い立ちの人には泣ける
前半が特に泣ける。薬師丸さんのエピソードとか。
最後のアキラ役(北村匠海さん)の演技に違和感が有りました。前半は感情が入り泣けましたが、後半は期待外れだったように思います。映画『糸』のような素敵な音楽があればもっと号泣したでしょう。薬師丸さん母娘のストーリーの方が心に響きました。
いい作品です
不器用で喧嘩ぱっやいそんな男に子供が産まれた。
誰かも愛されて、誰かも求められて。
そんなある日事故によって妻を亡くした。
妻を亡くしてから男手一人で息子を育てる事になる。
ただ、不器用のあまり上手く伝える事が出来ない事が多くてぶつかる事ばかりであった。
阿部寛さんが演じる親父が昔ながらの男というイメージがありとてもかっこよかったです。
不器用だけど、息子と仲良くやろうとケーキを買ってくるものの一緒に食べる事がほとんどない。
そういうのもこんな主人公ならではだなと思った。
何年後かして、息子が故郷に帰って自分の親父に結婚の事を認めてもらおうとするシーンが良かった。
不器用だからこそ上手く認めてあげる事が出来ない。だけど、心のどこかで受け入れている。
血のつながりや親子の絆や色々な事を伝えてもらいました。
親子の絆って泥臭いけど、素敵だなと感じる作品でした。
自分の親にも感謝したいと思いました。
父子とんびよ、鷹となって、天まで昇れ
過去に二度TVドラマ化されている重松清のベストセラー小説を初映画化。
原作は未読、TVドラマはどちらも未見。今回が“初とんび”となる。
数十年に渡る父と息子の物語というのはざっくばらんには知っていたが、この令和時代にびっくりするくらいの超ド直球。
山田洋次監督作品もよく時代錯誤と言われるが、それとは違う、コッテコテの作り。
オーバー演技、話も先読み出来る、ベタな展開とお涙頂戴劇…。
昭和の世界。ツッコミ所も多々。
でも別の言い方をすれば、“一本気”。
話は非常に見易く、気付いたら2時間強があっという間。大袈裟でありながらも、感動ポイントも多々。
“備後の洗礼”ならぬ“とんびの洗礼”を受けた。
父・ヤスと息子・アキラ。
シングル・ファーザーと言うより男手一つと言った方がしっくり。
荒々しく、豪快でガサツで、熱い。口は悪く、大酒呑みで、喧嘩っ早い。不器用でバカな言動も多いが、人情家でストレートに心に響く愛と厳しさを伝える。
町の名物男のヤス。昭和の漢、昭和の親父。
今だとコンプライアンス的にNGな言動もあるが、一体いつから日本の家から昭和の漢/親父が居なくなったのだろうと思わせる。
令和の時代に叱咤激励してくれるような親父を、阿部寛が力演。ハマっている。
一方のアキラ。
父親と違って、穏やかで優しい性格。周りから愛される人柄。
複雑な内面もある。悩みや葛藤もある。それを含め、真面目な好青年に。
頭も良く、後に早稲田に受かり、東京の会社で働く。
まさしく、“とんびが鷹を産んだ”。
自慢の息子を、北村匠海が実直に演じる。
親子仲は悪くない。父と息子であり、男二人であり。
いつの世も、父と息子の間には何かある。この父子も然り。
先日見た『百花』のように謎めいて描くのではなく、ヤスのような性格さながらストレートに描く。
妻/母・美佐子の死。
事故と聞いている。
が、アキラはその時まだ幼く、詳しくは知らない。成長するにつれ、知りたがる。
ヤスは話したがらない。ヤスにとっては悲しい過去。それほど奥さんを愛し、アキラも産まれ、親子3人これからという矢先であった。
誰かに話されるよりかは…。遂にある時、何があったか話す。
事故だった。悲劇だった。
その日動物園に行く筈が、雨で断念。駄々をこねるアキラの為に、ヤスの仕事場へ。美佐子が父の働く姿を見せようと。
幼いアキラが父に駆け寄ろうとした時、無邪気に振り回していたタオルが木箱に引っ掛かり、崩落…。
アキラの小さな身体に倒れる直前、母が庇うも、打ち所が悪く…。
お母さんはお前を助けて死んだ。
そんな事が言えるか! まだ幼い息子に。優しく繊細な我が子に。
ヤスは悩みに悩み、“嘘”を付く。
お母さんはお父さんを助けて死んだ、と…。
原作未読/TVドラマ未見でも、この展開は難なく予想出来た。
思春期になったアキラが「母さんの代わりに親父が死ねば良かったんだ!」と言ったり、母の死と父の嘘がこの父子のドラマに非常に大きな重石となり、意外な深みがあるのかと思いきや、
感動ポイントではあるが、思いの外あっさり。もっと深みやここを抑えたドラマ展開にして欲しかった。
とは言え、親は子の為なら何を出来るか。
考えさせられる。
男手一つと先述したが、ちと語弊。一家庭としては確かにそうだが、実際は、アキラは父と周りの人々に愛され、育てられた。
町の呑兵衛が集う小料理屋の女将、たえ子。ヤスの姉代わり、アキラの母親代わり。温かさはこの人から教わった。薬師丸ひろ子が好演。
寺の跡取り息子で、ヤスの悪友、照雲。ヤスとは減らず口を叩き合い、性格の荒々しさもどっこいどっこい。でも常に気遣いサポートしてくれ、妻・幸恵と共に親戚代わり。安田顕がメチャいい役所! 後で記述するが、父・海雲役の麿赤児には本作屈指の名シーン、名台詞が。
幼い頃に亡くなった為、出番は序盤だけだが、ヤスやアキラの心にあり続ける。愛や優しさは母から受け継いだ。麻生久美子が印象残す。
不器用なヤスよろしく、作品自体も強引な点や唐突な箇所あり。
ヤスとその実父、たえ子とその実娘、おそらく原作小説やTVドラマなどではもっと巧みに描かれているのだろうが、何かちょっと取って付けたエピソードのような…。
その最たるは、エピローグの令和シーン。オリジナル・エピソードらしく、チープな老けメイク含め蛇足感が否めない。
先述した通り、頭のてっぺんからかかとの先まで、コッテコテの作風、演出、演技。すぐに喧嘩が始まったり、それが出産間近の病院の廊下でも。昭和ドラマと言うより、昭和コントか!
感情高ぶると誰もが熱く大声上げ、全力ダッシュ。本当にこの令和時代に恥ずかしげも無く作ったと思う。
でも、時にはこういう古き良き味に浸りたくなる。瀬々敬久がこういう作品を撮れるとは、新しい発見だった。
広島弁も心地よい。
本心とは違う事、本心からズレた事をついつい言ってしまう。
上手く本心を伝えられないこの不器用さ。
分かっているのに、反発してしまうこのもどかしさ。
この親にしてこの子あり。とんびの子はとんび。父と息子のあるあるなのかもしれない。
子育てや親の愛情の示し方は難しい。まして、ヤスは実親から捨てられた過去あり。
そんな俺が女房を亡くし、片親でいい親になれるのか…?
悩んでも、考えても分からないなら、己の行動で示す。時には、自らを自らで殴ってでも。
不器用な中にも、厳しさと深い愛情入り交じった言葉も言う。
東京の大学に行きたいアキラ。アキラを手離したくないヤス。アキラの将来を巡って、ぎこちなく…。その時、
本気で東京に行きたいなら、すがり付く親を蹴り飛ばしてでも行け。
東京に行って、こっちから連絡はしない。東京に行く時は、お前の骨を拾いに行く時。その覚悟で腹くくって行け。
厳しい事言うが、これは同時に、子離れしなくてはならない過保護な自分への戒め。
自分一人じゃどうしようも無い時は、周りが鼓舞してくれる。皆がそういう激情家で人情家、そういう町。
アキラが結婚を決めた相手は、意外な相手。7つ年上のバツイチで子持ち。思わぬ事に、ヤスはぶっきらぼうな態度。そこへ、照雲。自分が憎まれ役になって、ヤスの本心を引き出す。
妻に先立たれた直後、これからの人生、息子との歩み方に苦悩する。照雲の父・海雲が二人を連れて、冬の夜の海へ。
ヤスが抱き締めてくれるので、顔と腹は温かいが、背中は寒い。父も母も居たら、両方から抱き締めてくれる。が、アキラには母は居ない。アキラはこの寒さを背負って生きていかなければならない。だけど、その寒さに耐えられなくなっても、多くの人が背中を温めてくれる。
アキラは皆に育てられた。アキラだけじゃない。ヤスも我々もそうだ。悲しい時、辛い時、苦しい時、背中を温めてくれる手は必ず差し伸べられる。
同時に、ヤスへも。
大きな海になれ。
荒々しくてもいい。深く、抱擁力のあるこの海のような親となれ。
このシーンの海雲の台詞は、麿赤児氏の名演もあって、格言であった。
親は子の為なら何を出来るか。
自分がどんなに憎まれてもいいから、敢えて嘘を付く。
全くの別の作品になるが、罪だって被る。
全ては我が子の為に。辛い思い、悲しい思い、苦しい思いを背負わせない為に。
親は子の為なら我が身すら犠牲に出来る。
全身全霊全力で愛す。
その激愛を一身に受け、親を越えていく。とんびが鷹となって、この大空(自分の人生)へ羽ばたいていく。
そして、自分の家族の物語を紡いでいく。
そうやって築き、繋がれていく親と子。
人間関係や親子関係が希薄と言われる昨今。
だからこそ響く。
この熱く、激しい父と息子の愛に、惚れろ。
何度、リメイクされてもいいものはいい
原作は読んでいませんが、内野聖陽、堤真一のテレビ版は視ましたので、いまさら映画化?とは思いましたが、やっぱりいいですね。配役がいい。
確かテレビ版は、東京の大学に行くアキラを
見送って終わったような記憶がありますが。ちがったかな。アキラが結婚して、オヤジが死んで、子供たちと実家を整理に来ましたがそこまでは描かれてなかったと思いましたが。
重松あきら原作は道徳の話みたいに単純明解。
たまたまPrime で視れるのに気がつき劇場に行った事を思い出しました。
確か久々の映画観賞だったので、良かった映画はよくレビューしてたのですが、遅れましたがレビューさせていただきました。
阿部ちゃんが…
全編笑いと涙に溢れた作品です。
好きな俳優さんが沢山出演されていてとても楽しめました。
ネタバレになっちゃいますけど
夕なぎでのママと娘さんの場面はめちゃくちゃ号泣しました。
そして最後に…阿部ちゃんは背が高い(笑)
父の姿
子育てしている男なら皆持つ感情を言葉少なに纏めるあたり、小説読んだ時に感じた印象と重なった。
お前が海になれ、の名言は忘れられない。
子供の背中を温める手が溢れるような世の中になって欲しいものだ。
私の子育てにも影響したこの小説を大切に撮ってくれた製作陣に感謝です。
悲しみを全て呑み込む「海」になっても・・・ヤスの背中に涙する。
阿部寛の演じる市川安男と言う男は、妻・美佐子の喪失から一生立ち直れなかったのではないか?
「あんなに好きだった」
「命を懸けて愛した」
その妻を失ってしまった!!
ヤスの心には慟哭がある。
(ヤスは自分で気がついていないかもしれないが、
(アキラを心の底では、恨んでなかっただろうか?
(妻を奪った存在なのだから・・・)
ヤスさんは酒に酔い、酒を飲み、そして酒に呑まれる。
彼の寂しさが、居た堪れなく悲しい。
ヤスは片翼をもがれた飛行機、
だからいつもバランスがとれない、
だから喧嘩早くて、
殴り、殴られて、
撃沈する。
片翼のヤスがなんとかバランスをとって父親として飛び続けられたのは、
身近な人々の優しさ。
友だち夫婦が、
その父親の和尚が、
飲み屋の女将が、
職場の同僚が・・・
みんなして
《アキラを育てた》
《アキラを守った》
令和の今なら考えられないこと。
和尚の言葉、
『ヤス、おまえは海になれ!!
すべての悲しみを飲み込む、海に』
その言葉に、
同じくチカラ付けられる私もいた。
多くの母を早くに亡くした子供へ!!
そして早く妻を喪った夫へ!!
この映画には、慟哭がある。
(阿部寛は、男の背中で悲哀を演じて秀逸だった)
懐かしき昭和
知らないうちに、Amazon プライム・ビデオのラインナップに上がってた。
今日は妻が遅番なので、一人で夕飯食べながら観ている。
『ベイビーブローカー』とはまた別の視点から、親と子と社会の関係を描いている。映画の作りはベタだけども、こっちの方が私にはしっくりくる。
飯が涙でしょっぱい。
感動する場面は随所にあるのだけど、自分的にいちばん泣けたのは、ヤスが実の父親“寝たきりで意識もない)に「ありがとう」と呟く場面だった。
私も、父親に心から「ありがとう」と言えたのは、父が棺に入ってからだった。
まあ、父と息子なんて、現実はそんなもんだと思う。
しかし、終末部の蛇足はいただけない。原作にもない。北村匠海の老人メイクなんて見たくもない。
資本主義の正しい姿
とてもストレートな映画でした。実話を元にした様な印象を受けました。捻りとかはあまりない展開で、先が読めるけれど、登場人物の純粋さがその退屈さを埋めてくれている脚本でした。
きっと古き良き昭和という感じで、皆同じ感想なんだろうなと思ったので違う視点を。
この作品は、今の資本主義と能力主義が蔓延している世の中では感じ得ない幸福に溢れていたと思います。
主人公は運送会社で働いていましたが、今だと薄給で過労の弱者として描かれる可能性が高いと思います。でもこの作品にほそういった部分が一切なかったですよね。中古住宅を購入して、地方の場末の?居酒屋で飲み明かしていましたが、幸せに溢れたとても豊かな人生でした。
この感覚を失ってはいけないんだと強く思います。
いつからから日本ではメディアの煽りでお金が絶対的な価値となっています。そして芸能人ですら自殺する世の中になっています。上も下も苦しいんです。それは幸せの定義が狂っているからだと思います。
この映画は、お金ではなく、家族や周りの人を愛することを純粋に追求した話が展開されました。そこに上下はなく、本当の人間賛歌と幸せの本質があったと思います。
是非心を綺麗にするためにも、色々な方にこの映画を見て欲しいと思います。
一つだけ心残りは「ありがとう」を言うシーンがなかったことですね。ここまでストレートだったので、最後に真実を知った子供が、それまでの全てを持って「ありがとう」と言うシーンが欲しかったです。
無骨な男の子育て人生
無骨な男親、その周りの人達の助けの中で成長する少年の人生を昭和30年代から丁寧に描いてる。
監督の丁寧さは垣間見えるのだが、この物語を2時間弱に収めることにより、どうしてもキャラクターたちへの感情移入が薄く終盤の盛り上がりも弱く感じた。
やはり連続ドラマ的に作り込んだ方がこの原作には合ってて、キャラクターたちの心情が深く描けもっと共感を得たんじゃないかと思った。
映画として面白いのだが、原作の良さを最大限に活かせたかという点に於いては、足りなかった様に思えた。
帰ってくる場所
大人が子供に
子供が大人に
親が子に
子が親に
なにを伝えるのかを
表現した作品でした。
自分にではなく
相手に
自分は何ができるかを
考えたら‥
世の中にそんな人ばかりでは
ないけれど
どこかで経験したなにかを
作中で感じたのは
自分にとってありがたいことと
気付きました。
おすすめ。
技巧に走った脚本と熱い演出の感動物語にある一長一短
父と一人息子の互いに想いやる家族の絆を情感豊かに綴った、重松清の著名な小説の映画化。この原作は、2012年のNHKと2013年のTBSによりテレビドラマ化され、どちらも好評を得た良作だった。多くのドラマファンが慣れ親しんだ、この琴線に触れる感動物語を今回敢えて映画作品したのは何故なのか、その良さを見付けるために鑑賞した。
港岳彦の脚本は原作に忠実と云われるが、冒頭から抱いた印象は解り難さである。時代設定がころころ変わり、旭役の北村匠海のナレーションの説明があっても、初めて接する人には混乱を招くのではと思った。それとタイトルがいつ表示されるのか途中から気になりだし、最後まで引っ張られて驚嘆した。こんな体験は初めてである。ファーストシーンは、出張で東京に向かう主人公ヤスが運転するトラックの夜間走行。仕事序でに大学卒業後大手出版社に就職した息子旭の会社を訪ねるが、守衛に門前払いされ騒ぎ出す。そこに救いの手を差し伸べた女子社員由美が外出中の旭に連絡をとり、ふたりは父の運送会社で会う。その前にヤスは、生き別れた実父がいる病院を訪れ、40年振りの再会を果たしている。でもここで最も表現されなければいけないのは、旭の上司である編集長から渡された入社試験の時の旭の作文を読むヤスが、初めて息子の本心を知る展開であろう。この作文を旭自身のナレーションで導入部から語る映画の構成であると、漸く解るのだから。折角の凝った脚本ではあるが、技巧に走り過ぎている。多くのエピソードをまとめ上げる力量の反面、メリハリの弱い展開になってしまった。
演出の特徴は、兎に角常に熱いことだった。型破りで男気のあるヤスの曲がったことが大嫌いな性分を好感度の高い俳優阿部寛が力演している。同時に不器用さやものぐさな面もあるヤスの人間味の点で不足もある。友人の照雲を演じた安田顕と尾藤社長の宇梶剛士との絡みでは、この役者の濃さと演出の熱さが合わさり、大分もたれる。特に美佐子が出産する病院内の描写は演出過剰で頂けない。周りに迷惑を掛ける騒ぎを起こしても看護師が注意する訳でもなく、いくら喧嘩っ早いヤスの性格表現とは言え閉口するシーンであった。阿部・安田・宇梶と個人的には好きな俳優だけに、演技力を引き出す演出であって欲しかった。
俳優陣で素晴らしかったのは、美佐子を演じた麻生久美子の女優としての清廉な存在感が役に合っていたのと、嫁ぎ先を出されて女独りで小料理屋を切り盛りする女将たえ子役を演じた薬師丸ひろ子の安定感のある演技である。結婚を控えて一目母親に会いたいと訪ねてくる娘の場面は、この作品一番の名シーンとなった。産みの母親の本音と建て前を強がりながら表現する薬師丸ひろ子の演技に魅せられる。ここでの演出はカメラが終始室内の中に入っていたが、たえ子が一度酒を買う口実で消えて再び戻りガラス戸越しに中を窺う演出は、正に映画的な表現であった。本来なら外からたえ子の背中越しに中を捉えたショットを繋げて、次にその強がりを見せない母の優しい顔のアップを入れるべきであろう。それでこそ俳優の演技の見せ所を引き立たせる演出と思うのだが。
準主役の旭を演じた北村匠海は、高校生から直木賞作家として成功を収めた現代までの難役をこなし素直な演技を見せるが、上記のベテラン男優と比較して、もっと個性を出しても良かったと思う。母が父を庇って亡くなったと思い込まされた深層心理の変化が進学に悩む時期の反抗期と重なり、ぐうたらなヤスに不満をぶつけるところなど、演出と合わせ見せるものが弱かった。
映画とは、いい話の美しい人間が泣かせるだけで、いい作品にはならないと思っている。キャスティング含め、この脚本・演出・演技に一長一短がある。過剰演出に関しては、瀬々敬久監督への批判というより、他の日本映画にも見られる悪しき形式というか、それが定石となっている事への不満でもある。声を張り上げることが熱演であり、それが人間の感情表現の素晴らしさと思い込んでいないか。
時代によって変化する街並み
過去に2度ドラマ化し、2度も成功し更に映画化する事が出来たこのとんび 古き良き昔の時代昭和、自分は、平成生まれで昭和の昔の街並みなんて全く知らなかったけれで時代によって置いていかれつつある物と進化を続ける物様々な時代背景に対応する人間達の姿が、上手く演出されていたなと感じました。ヤスのような幼児期深い愛情を恵まれず育ってしまうと奥さんと子供にどう接していいのか分からない状態になってしまうのもすごく切なかったです。でも周りの仕事仲間や
「夕なぎ」の女将のタエ子さんの力があってアキラをちゃんとした子供に育てることを誓った。やはり昔の大人達の結束力は凄まじい物だなと思いました。そして自分が感動したのは、海のシーンです。ヤスが1人悩んでいるとお寺の海雲が背中にそっと手を当てるシーンはすごくじんわりと来ましたね。ヤスとアキラの関係は親子の関係を上手く表していたな〜と感じました。2回目を見る機会があればまた見に行きたいです。
大満足の映画でした!試写会で観れたのに早くにレビューを出せば良かったと後悔してます……
昭和が懐かしい
こんなにコテコテの昭和の頑固オヤジを阿部さんが演じている。
そして最近、演技がとっても気になる北村匠海くんとの共演という事で…気になった作品
ドラマ版は観ておらず、比較している方のレビューを見ると、色んな意見があるようですが…。
私は2人の親子愛がとても心に染みました。
夜の海辺で和尚とヤスさん…アキラを抱っこしている時の言葉が涙を誘う😭
色んな場面で涙がこぼれ🥺
ヤスケンさんの少しオーバーにも見える演技がまた良き❗️
匠海くんの短髪姿も珍しく、彼の演技には今後も注目していきたい😊
あの時代の車や街並みや、ヤスさんがフィンガー5の歌を鼻歌で歌うところはツボでした。
(あの頃、私もフィンガー5が好きだった…あ❗️年齢バレる💦)
観て良かった作品でした。
背中の温もり。イヤ冷たいのは足なんだけど?
や ら れ たーーー!
泣いたですもん。マジで三回は泣かされましたもん。周囲もすすり泣きの嵐ですもん。
真冬の海岸で幼子の背中に添えられた掌に涙。
まるで準備していたかの様に出て来た、祝いの蛤に涙。いや、歌は要らなかったけどw
夏の砂浜で戯れる親子三人の姿に涙。
TVドラマの映画化。KADOKAWA配給。瀬々敬久監督。ハズレ確率は五分の予想でしたが、今回は「当たりの瀬々作品」でした。
撮影/照明は、斉藤幸一さんと豊見山明長さんのコンビです。まあ、室内撮影の画の綺麗なこと綺麗なこと。和尚宅の夜の画と照明とか最高です。
マツダT1500三輪トラックやポーターバン、三菱ギャランシグマなどの旧車群は言うまでもなく、小物まで「昭和の品々」を揃えた手抜き無しのこだわり、と言うか自己満足感。旭の部屋のタンスの上に置かれているバッティングマシーンとか、懐かし過ぎてヤバい。何処から持って来たん?
兎にも角にも。
ただでさえ濃ゆい男優陣に、濃い口の演技をさせてですよ。薬師丸ひろ子と大島優子と言う、おっさん好みの女優さんを並べてですよ。もう、泣かすスケベ根性丸出しの脚本でですよ。真向ストレートに泣かしに来る昭和展開。破壊力あるんだ、これが。結構。
難点と言うと。子役の男の子が、可愛くないです。あんまり。小学生の旭君、タッパあり過ぎです。北村匠君より、下手すりゃ背が高いんちゃうか?とかね。事情がありそうなツッコミどころだなぁとw
木竜麻生ちゃんの印象的な役は「鈴木家の嘘」以来、瀬々敬久監督作品は「菊とギロチン」以来でしょうか。まぁ、頑固な娘役をサラッとこなすところはさすがです。と、一人で笑いを取れる濱田岳w
良かった。割と。
KADOKAWAの金の使い方は、最近、ちょっと好きかも。
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