「トンビに油揚げさらわれた?」とんび カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
トンビに油揚げさらわれた?
直木賞作家・重松清のベストセラー小説の映画化。これまですでにNHKと
TBSで2回も異なるキャストでテレビドラマ化されている「とんび」。1962年生まれの重松清。作品はノスタルジックで、ジジ臭いのよ。広島県備後瀬戸内市が舞台。港湾の貨物運送会社で働く父親(ヤス)は喧嘩っぱやくて大酒のみだが、人情味があって人気者らしい。奥さんは頭がよくて優しくて美人。麻生久美子は姉さん女房?一粒種の息子(旭:アキラ)が学校に上がる前に美人の奥さんは、息子を庇って、荷物の下敷きになって死んでしまう。ひとり親になったヤスを飲み屋の女将さんや同級生のお寺のものぐさ坊主の照雲夫婦とオヤジの海雲和尚や会社の人たちがアキラの面倒を見てくれて、グレずに成長して、見事に東京の早稲田大学に合格し、出版社に勤務して、7歳年上のバツイチのシングルマザーと結婚して、直木賞を取るような売れっ子作家になりましたっていうお話。アキラは子宝にも恵まれまして、ヤスの葬式の遺影にする写真を息子夫婦家族が選んでいる場面で終わります。大きなサワラを右手に持った写真でした。
阿部寛さんは熱演でしたが、どうもテルマエ・ロマエの印象が強くて、喧嘩っ早く思慮の浅い性格の大酒のみの役にマッチせず。まぁ、真面目なんですな。ドカジャンも似合わない気が。
旭(アキラ)はこんな父親が苦手で、なるべく刺激しないようにして暮らしていますが、つい感情的になっては生意気だと頭ごなしに叱られて、姉御肌の薬師丸ひろ子おばさんや暇な安田顕と大島優子夫婦に助けを求めてしまいます。メイク薄めで、あまり強面ではない麿赤兒和尚のバックアップもナイスアシスト。海雲和尚が雪の降る海岸に連れ出して、訓戒のようなことを幼いアキラとヤスに言う場面や、ヤスがアキラの心に負担をかけまいとしてつき通した嘘を許してやってくれと、したためた手紙が素晴らしい。
照雲役を麿赤兒の実の息子の大森南朋にして、ヤスを安田顕にしても面白かったかも。安田顕と麻生久美子だと俳優亀岡拓次になっちゃうか?
いずれにしても、海雲、照雲親子に油揚げさらわれてしまったような感じでした。なまぐさ坊主のくせして、大島優子みたいな色っぽい奥さんと夫婦水入らずで、羨ましい限りでした。
浜田岳がトラックの相棒で出てきまして、ヤスがアキラの会社によれよれのドカジャンで行ってる間に東京湾で釣りしてたような。テレビドラマの釣りバカ社員浜崎伝助のかずさ屋のきたろうの娘役の娘(田辺桃子)が杏との間にできた長女役でした。
あと、息子の名前を小林旭のAKIRAにして、ダイナマイト150屯を歌わせるのはいかがなものかと。歌、旨くないし、似合ってないス。三橋美智也のとんびがくるりと輪を描いた~ ホーイのホイ(夕焼けとんび)の方が歌詞も映画の内容に合ってたんじゃない?
瀬々監督は商業映画監督になってから、いまいちキレがないっス。
コメントありがとうございます!
雰囲気も主題歌もヤスケンもいいんですけど、なんか色々と不満が残ってしまいました。私、瀬々監督の作品好きになれません...笑