「典型的な重松清作品」とんび 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
典型的な重松清作品
2022年映画館鑑賞13作品目
4月10日(日)イオンシネマ石巻
1000円
原作未読
堤真一主演NHKのTVドラマ版未鑑賞
内野聖陽主演TBS日曜劇場版未鑑賞
原作は『疾走』『泣くな赤鬼』『ステップ』の重松清
監督は『フライング☆ラビッツ』『ヘヴンズ ストーリー』『64-ロクヨン- 前編/後編』『最低。』『友罪』『菊とギロチン』『楽園』『糸』『明日の食卓』『護られなかった者たちへ』の瀬々敬久
脚本は『私の奴隷になりなさい』『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが、』『あゝ、荒野 前篇・後編』『宮本から君へ』『MOTHER マザー』の港岳彦
舞台は広島県備後
昭和30年代から現代までの話
職場見学に訪れた際の事故で妻を亡くした男が周囲に助けられ息子を育て上げるヒューマンドラマ
父親になった男の生涯
ステップが父と娘ならこっちは父と息子
典型的な重松清作品
原作も多くの人に愛され何度も映像化される名作
運送会社に勤める喧嘩っ早く素直じゃない市川安男に阿部寛
安男の出来のいい息子で早稲田大学に合格する市川旭に北村匠海
幼い旭を庇う形で事故で亡くなる美佐子に麻生久美子
旭が勤める出版社の先輩でバツイチ子持ちで旭と再婚する由美に杏
寺の息子で安男の親友の照雲に安田顕
照雲の妻幸恵に大島優子
寺の坊主で照雲の父海雲に麿赤兒
安男の姉貴分で小料理屋を営むたえ子に薬師丸ひろ子
運送会社の課長萩本に尾美としのり
安男の子分的存在で同じ運送会社に勤める葛原に吉岡睦雄
安男と同じ運送会社に勤める年がかなり離れた後輩広沢に濱田岳
水産会社の社長尾藤に宇梶剛士
小料理屋の馴染み客トクさんに宇野祥平
元嫁ぎ先に置いてきたたえ子の娘泰子に木竜麻生
成長した旭由美夫妻の息子健介に井之脇海
成長した旭由美夫妻の娘美月に田辺桃子
安男の父の再婚相手の連れ子で入院中の父を安男に再会させる島野昭之に田中哲司
旭が勤める出版社の雑誌編集長に豊原功補
安男を不審者扱いにする出版社の真面目な警備員に嶋田久作
旭が取材に訪れた埼玉の木工会社の代表者村田に村上淳
海辺に旭まで連れ出し安男を励ます海雲の説法が泣ける
娘の再会に狼狽する薬師丸ひろ子とピンボケでもしっかり仕事する濱田岳の芝居が特に良かった
由美を連れて小料理屋に訪れた旭に一芝居を打ち怒鳴り散らす安田顕が良い
役所広司や吉田鋼太郎や堀内敬子とはタイプが違うが彼の大声もよく響く
好きだ
強いて上げるなら照雲の妻役はもっと年上のかたが演じた方が良かった気もしないではない
アイドル嫌いじゃないので大島優子が絶対にダメだというわけではないが
母と共に父の勤め先に訪れた息子がはしゃいでタオルを振り回し積んでいた荷物に引っかかり無理に引っ張り崩れてきた事故
積荷の安全管理が不十分だったことは確かに否めない
だが幼い子供とはいえバカ丸出しの巨人ファンじゃあるまいしなぜ突然タオルの振り回したのか理解に苦しむ
だからおじさんは子供は苦手だ
『ドライブ・マイ・カー』絡みで海外の評論家が言っていたが世界中の多くの映画ファンが暴力映画にうんざりしているという
彼の個人的感想だがそうかもしれない
こんな時代だからこそ心が癒される映画を多くの人が求めているのかもしれない
そういうこともあってかこういった作品にあまりケチはつけたくない
自分が損するし損してまで辛口批評する必要性をこれには感じない
実際に何が特に悪いというわけではない
幅広い世代が楽しめるPTAもニッコリ模範的な映画といえる
僕が観た映画館でもあちこちから鼻を啜る音が鳴り響いた
検温はセーフだから風邪でもないだろうし換気はバッチリだから花粉症でもなかろう
一般大衆的にいえば普通に泣ける映画なのだ
所謂お涙頂戴とか感動なんとかかもしれない
それでもやっぱりボロクソに叩くにはかなり無理がある名作
素直に涙を流せばいいじゃん
恥ずかしいことじゃない
ただ感動しすぎて我を忘れうっかり忘れ物をすることもあるかもしれないので席を立つ前に冷静になろう
NHKドラマ版や日曜劇場版が観たくなった
教訓があるとすれば両親にありがとうといえる大人でありたいと感じた