「29歳のアレサ・フランクリンのゴスペル」アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
29歳のアレサ・フランクリンのゴスペル
この映画の中で進行役かつピアニスト、シンガーであるジェームズ・クリーブランドの存在は大きかった。私は知らなかったのであるが、かなりの大物とみた。また、アレサ・フランクリンの父親が登壇しスピーチするが、アレサのゴスペルシンガーの歩みを父親の視点で興味深くユーモアを交えて語るシーンは感動的でもあった。
アレサ・フランクリンは、この映画のときは29歳。表面的には目立った動きもなく歌に集中して、シリアスな表情がかえって心の奥底から歌っているようであった。しかし、最後の場面は際立っていた。
演奏は教会に楽器を持ち込み目立たないようにしているが、バーナード・パーディ(Dr)、コーネル・デュプリー(Gt)、チャック・レイニー(Bass)という私の好きな有名なスタジオミュージシャンが出演しているのにびっくりした。実は観客に交じって超有名なミュージシャンがいるが、それは見てのお楽しみとしておく。
今回の映画はロサンゼルスの教会でのライブ収録という形をとっている。私はノースキャロナイナの教会に出席したことがあり、そのとき見た南部のローカルの人たちのゴスペルの盛り上がりと迫力が忘れられず、今回とはかなり違っていると思った。また、アレサ・フランクリンの子どもの頃からのバイオグラフィーをどこかで加えると、人生をゴスペルシンガーとして歩んできた深い印象を与えることができるのではと思った。
日本人の間でもゴスペルファンは多いと思うが、この宗教的意味合いの深い歌詞と神とのつながりをアフロ・アメリカンの人たちが共有、歌い踊るシーンは、冷静に見ている自分がいて、そこまで入り込めなかったのだが、皆さんはどうだろうか。アメリカでも白人たちのカトリックのチャーチにはアフロ・アメリカンはまず見かけることはほとんどなく、バプティスト教会にはほとんど白人はいない。
平日の昼間の上映だったが、観客制限はあるものの、ほぼ満席だったのは驚いた。