「犯罪予備軍やロリコンの性的嗜好を矯正することができないのであれば、どう回避するか学ぶしかない」SNS 少女たちの10日間 REXさんの映画レビュー(感想・評価)
犯罪予備軍やロリコンの性的嗜好を矯正することができないのであれば、どう回避するか学ぶしかない
専門家が言う。「彼らは幼児性愛者ではない」と。
恐ろしいのは実験に登場するのは、一般的には「普通の男性(女性)」だということ。
支配欲という誰しもが少なからず内に持っている欲求が、何らかのきっかけで暴走する。
実験で明らかになったように、その欲が子供に向かうのは、ただ単に大人より知恵が無く、扱いやすく、脅せば容易く操作できると思っているからだろう。
きっとゲームのように、一つ言うことを聞かせるごとに達成感を得るのだろうし、未成熟の段階の開発されていない精神や体を弄ぶことは、特別感を得て、高揚せずにはいられないんだと思う。
しかし、しつこい。画面に頻繁に登場する男たちのなんとしつこいこと。囮になった女性3人が断り続けて諦めた輩も大勢いると思うが、ふるいにかけられた(?)者たちのこの粘着質なパワーはいったいどこから?と呆れを通り越し嫌悪感をもよおすとともに、その心理を不思議にも思う。
相手が離れた場所にいるにも関わらず、その場を支配されるかのような心理にさせられることに、恐怖を感じた。不思議なもので、人間は命令され続けると思考停止してしまう瞬間がある。SNSだって、きっぱりとネットを切断すればいいだけなのに、何かしらの報復が怖くなりそれができなくなるのだ。
実験は先に進み、実際に接触者たちと会うところまで踏み込む。
少女を演じる女優たちとカフェで話している人たちは、実際に性的行為に話を持ち込まなくても、それはただ単に勇気がないか、理性が押しとどめたのであり、彼らの中に性的行為への欲望があるのは明らか。
それが怖いのは、少女たちが事なきを得たのはたまたま、だという事実。
驚いたのはそのなかにカップルもいて、3p目的の女性もいたということ。
半ばおとり捜査のようでもあり、食いついた人たちを煽り焦らして、わざと犯罪者に仕立てているようにも感じなくもないが、きっと食いついてきた人たちは三人がいなかったとしたら、別の子どもを標的にするだけだろう。
と考えれば、この実験を通していかに子どもたちが危険な状態にさらされやすいのか、分かりやすすぎるほど分かりやすい。かなり衝撃的ではあるが、中高生の教育現場で見せてほしいぐらいである。
おそらく、映画で晒した人間たちの性的嗜好や性格を矯正することはできない。だとすれば、言葉の暴力や命令に対してどうあらがうか、その術を子どもや親が学んだ方が早いのではないか。
唯一チャットでまともだったのが、大学生の若者だったというのも皮肉。モザイクが晴れるとともに、少しこちらの気持ちも少し晴れていくようだった。