劇場公開日 2021年4月23日

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「ドキュメンタリーとして掘り下げがとても浅い。」SNS 少女たちの10日間 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ドキュメンタリーとして掘り下げがとても浅い。

2021年4月24日
Androidアプリから投稿

成人女性が未成年という設定のもとSNSへ登録すると、どういったことが起こるかを検証するという着眼点は面白そうですが、それから起きることが一度もこちらの想像を上回りません。
ロリコンのオッサンが裸の写真を要求するとか、写真を拡散させて少女への要求をエスカレートさせるとか、自分の股間を見せるとか、マスターベーションを始めるとか、リアルに会おうとするとか、そりゃ起こるだろうな、と思うことしか起きません。
1人だけ若いイケメンが登場してきて、それはすごく良い人なんですが、そりゃSNSにいる男が100%ロリコンだとするのは無理がありますから、そんな人もいるよと。
しかし、このイケメンはドキュメンタリーの趣旨とは違うので、編集でカットしてくれて良かったとも感じました。良い人の例としてわざわざ若いイケメンを選ぶことに製作者の悪意も感じます。
オッサンはロリコンで、若いイケメンは良い人だったって、ただの偏見ではありませんか。
最後に身元が分かったロリコンに監督出演者スタッフが直接接触を試みますが、ロリコンが逆ギレします。そりゃ捕まるかもしれないから認めるわけがありません。
それで映画は終わってしまいます。
この先があるかと思って期待したのですが、一度もこちらの想像を上回るような事態は起きません。ドキュメンタリーを作ってみて分かったこの社会問題における新発見が1つも無いんです。

冒頭、オーディションで成人女性たちは、子どもの頃の性被害を熱心に語ります。
ナレーションで「ほとんどの女性が子どもの頃に性被害に遭っている」と断定していますが、映画の趣旨から言ってオーディションに受かろうとしている女性たちが「性被害に遭ったことはありません」と言うはずがありません。
客観的なデータには成り得ない証言で、これも製作者の悪意を感じます。
悪意でなければ、ドキュメンタリーの作り手として未熟過ぎます。

成人女性が未成年という設定のもとSNSへ登録する、という設定はある意味でおとり捜査ですから、この映画には実際に性被害に遭っている未成年の少女は1人も登場していません。
被害者もいないのに、被害者に取材もしていないのに、第三者である作り手がおとり捜査で一方的にロリコンを断罪しようとしている状況がドキュメンタリーとしてとても浅いと思いました。
森達也みたいに、世間一般で言われていることが本当に真実なのか、一度でいいから疑ってみて欲しかったです。

東鳩
東鳩さんのコメント
2021年10月2日

ひめたろさんコメントありがとうございます
ロリコンによる性犯罪自体はあってはならない物だと思います
日本はもっと刑罰を重くするべきだと思います
そういう啓発の意味では良い映画でした
一方で、わざわざドキュメンタリー映画にする必要が無いレベルの内容です
この映画を見るぐらいならNHKのニュースや本でロリコンの性犯罪のことを知った方が良いと思います

東鳩
ひめたろさんのコメント
2021年10月2日

十分過ぎるほどに酷い行為でも、想像を上回らず予想通りっていうこの世の中の方がよっぽどホラーだなって感じ。
まだ見てないけどますます見たくなったレビューでした。
アマプラ入らないかな〜〜。

ひめたろ