「愛すべきOldman」クライ・マッチョ aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
愛すべきOldman
いいね、いいね、いいね! これですよ、コレ。
イーストウッドファンに贈る最高のプレゼントです。
大好きな「グラン・トリノ」と同じく、老人と少年の心温まる交流の物語。少年は、アジア系からメキシカンとなったが、白人でも黒人でもないところが、イーストウッド作品のこだわりか。少年の想いに感化されて、頑固老人は影を潜め、友情を紡いでいくところは同じ構成だが、今度は退役軍人ではなく、カウボーイ。あの時代の強きアメリカの象徴であることは同じだ。
追われながらのロードムービーの仕立てで、ハラハラ感あり、追手を巻いた時の安堵感あり。100分ほどと時間は短いが、エンタメとして押さえるべきツボをきちんと押さえた良作だ。さすがに、大きな爆発や派手なアクションなどは無いが、ヨボヨボの老人が、時折見せるキリリとした眼差しや振る舞いが、物語としてのイーストウッド節を際立たせる。
今回も、アメリカの男はかくありたいという理想像を、綺麗に描き出していて、やっぱりカッコいいのである。彼が言うと「力が強いということは、空しいこと」みたいなセリフがバシッと決まるのだ。
少年に物事を教えながら、自立を促すその在り方は、古き良きアメリカそのものであり、そうありたいと願う今のアメリカの本音ではなかろうか。タイトルと最後の最後に出てくる雄叫びは、なかなかエスプリが効いる。こう言うのがほんとのお洒落というものだ。
ネタバレとなるが、「グラン・トリノ」では主人公は自己犠牲を選んだが、今回は幸せな場所を見つけてそこへ向かった。そんなラストも時代の移り変わりを見せている気がした。