レミニセンスのレビュー・感想・評価
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予告編の印象とは違う男女の物語
この作品はラブストーリーです。
近未来を想像させる予告編もあり、SFを期待して観に行くと拍子抜けする感じです。
世界観は荒廃しつつある近未来で人の記憶を垣間見ることの出来る装置が開発され、その装置に絡んだ男女の出逢いから始まるサスペンス要素を含ませた物語です。
その男性が女性に依存し続けることで物語が進むのですが、その願望が満たされたかなり甘い感じで終わります。
制作するとき荒廃した近未来のラブストーリーを描きたいという思いがあったのか、そのことだけに注力し過ぎて肉付けする周りの登場人物たち(ギャングや権力者など)が陳腐な感じでオイオイってツッコミたくなることが多々ありました。
あと世界観もだけど主人公のこれまでの経緯も中途半端な感じでした。
内容が結構地味だ。銃でバンバン撃つようなアクション映画だと思ってた...
内容が結構地味だ。銃でバンバン撃つようなアクション映画だと思ってたらそんなことは無かった。
クリストファー・ノーランの弟ジョナサン・ノーランが関わっていると聞き、非常に楽しみにしていたが、内容がシンプルだった。
テネットみたいな難解だけど面白いという訳では無い。ポスターからマトリックスのようなアクション映画だと思ってたがそうではなかった。
映像は素晴らしいと思うが、前半はかなり退屈だ。後半にギャングと繋がっていた悪徳警官と戦うのだが、その戦闘は結構拘っていたように見えた。やっぱり面白いのはアクションシーンだ。
アクションシーンはもうひとつあった。ニックがギャングのボスに会いに来る所だ。ここでニックはボスの部下に水槽で溺死させられる所だったが、同僚ワッツが飛び込んできて助けてもらった。
ワッツの銃弾が水槽に頭を突っ込んでいるニックの顔付近を突き抜けていくのは面白かった。
最後のメイがニックに思いを伝えるシーンは、イントーステラを彷彿とさせた。悪徳警官の記憶に映し出されたメイの所に、砂をかき分けて進むニックのシーンを見て、インターステラだと思った。
メイは自身の最後に悪徳警官に向かってニックに思いを伝える。悪徳警官からしたら意味がわからないが、いつかニックが悪徳警官の記憶を見るだろうとメイは計算していた。
これ凄いなと思った。メイは気持ちを伝えながらニックとキスために悪徳警官とキスしてるわけだから。
それにしてもそんなに愛せたのか?元々メイが近付いてきたのは、地主の不倫相手に子供が出来た証拠の入ったデータを盗むためなのに?
ちょっとニックの純愛感がストーカーに近い気がしたけど、まぁそれは置いておこう。
途中ぼーっとしてたから、地主の妻が何故狂ってるのか分からなかった。
それにしても地主の領地に簡単に侵入出来てるのは疑問に感じた。
あと、ヒュージャックマンは50代というのに、体は鍛えているようでムキムキであった。それはやっぱりプロフェッショナルで素晴らしいなと思った。
思ってたものとは違いました。
見る方は大体の人がインセプション や テネットのような伏線多めの何回か見ないと理解できないような難しい映画だと期待してみる方が多いと思います。
私もそうでした。期待の中本編をいざ見てみるとかなりシンプルなストーリー で想像していたものとはかなり違った映画 ですが見てみると引き込まれてしまい 最終的には切ない感じの終わり方で見たあと何か少し考えさせるそんな映画でした。誰でも過去に戻りたいと思う瞬間があると思います、ヒュージャックマン演じる主人公もその1人で 過去に出会った突然いなくなってしまった女性を記憶を鍵に追うというストーリー 予告とはちょっと違いましたが多分見る人はこのストーリーに共感を覚える方も多いと思います。 お勧めできるかというと難しいですが、ノーランという名前は無視して ひとつのラブストーリーとしてみる それがいいかと思います。
思ってたのと違う、、、が良かった。
ディストピアを舞台としたSF作品と思って観たが結論としてラブロマンスだった。
少し前に流行ったハンガー・ゲームとかダイバージェントとかを思い出した。
突っ込みどころは多々あるが記憶を可視化するマシンを舞台装置として進む物語は悪くないと思ったし、海に沈みゆく都市の映像は素晴らしかった。
観終わった時騙されたとは思わなかった、何ならイイもん観た位思った。終わり方も嫌いじゃない。
ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン全員好きだし期待通りに良かった。
途中暗く静かなシーンが続くので寝不足で行くとヤバイかも。
アメリカで大コケしてるみたいだが売り込む層を間違えてるよ。日本でもそうだけど、インセプションとかテネットみたいな作品として宣伝したら駄目だよこれ。
水面、波打つ
かなり楽しみにしてた大作。ただ先に公開されたアメリカでの興行収入がまさかの大赤字。それに加え、ロッテントマトの評価もかなり低い。とても面白そうな設定、ヒュー・ジャックマンの熱演、「ウエストワールド」のリサ・ジョイの最新作と、何故ここまでの低評価になってしまったのかを確かめるために公開当日に鑑賞。
低評価にも思わず納得してしまった、そんな内容でした。思っていたものと違う点で肩透かしをくらった感じです。個人的には記憶潜入して、そこからのアクションに期待していたので、その点があまり無かったのが乗れなかった原因です。
どちらかというと主人公の1人の女性への執着がメインな話でした。確かに観客も惚れ惚れしてしまうくらいメイは美しかったですが、いくらなんでも執着しすぎじゃないかと、それはもうストーカーじゃないかと思ってしまい、職権を使い暴れ回ったりと、まぁヤベェ主人公でした。前半はまだ理解できるんですが、後半につれてぶっ飛んでいくので、ついて行くのを諦めました笑
ただ少ないアクションは光るものがあり、水で足場を取られながら戦うアクションは、斬新でしたし、ピアノに手を挟むのはもろトムとジェリーで笑ってしまいました。結構あの2匹もエグいことしてんなと笑
水没した世界の美しさは際立っていましたし、役者陣の熱演、特にヒュー・ジャックマンは渋くてカッコいいなと思いました。他の作品に比べて若干の頼りなさは感じますが、それもまたひとつのヒュー・ジャックマンとして楽しめたので良かったです。
期待を下回る出来でしたが、それでも駄作と呼ぶには勿体ない、そんな作品でした。割と日本の興行収入が検討していて、下手したらアメリカの興行収入を超えそうなので、ぜひ超えてほしいものです笑
鑑賞日 9/17
鑑賞時間 15:25〜17:30
座席 I-11
記憶を覗き見る世界
記憶を再生しその世界に浸る人々
世界は荒廃し都市は海に沈もうとしている
ヒュージャックマン演じる男が
愛した女の面影を追いかけ他人の記憶から事実を知っていくことになる
特に倒錯的に時間軸をいじったり
ビジュアルから想起させるようなSFの世界にハマったりしない映画
ビジュアル的にはインセプションを彷彿とさせる物があるので
少し残念な感じ
物語は探偵物に近くアクションも少なめ
でも、記憶が与える感情などに深くおりてはいかない感じ
そのせいか物語が淡々と進む印象だった
私のようにジョナサンノーランの名前に呼び寄せられて観た人も多いと思うが
今回は脚本じゃなく制作での参加だった
そのせいもあるのかな?話がそこまで面白くない感じ
クリストファーノーランの一連の作品などの流れを期待すると期待外れになる
それでも、まぁ最後のしっとりとした終わり方で悪くない印象になった
でも、普通のSF作品の域を出ていない感じはある
キャスト、映像効果など悪くなかっただけに
もうちょっと物語を煮詰めて欲しかった感じがある
もうひとつ何かがないと名作にはならないよね
いろいろ中途半端な感じ
ヒュー・ジャックマンの黒歴史になるかも。
自分の記憶を追体験できる装置。第三者も映像を見ることができることから尋問にも使える模様。
その装置の使用をサービスにしている男が、突然消息不明となった恋人の行方を探す話。
記憶追体験と聞いて、インセプション的なイメージを受けるかもしれないけどかなり違う。記憶に入り込むことはできないし、夢でもないので何でもありの世界では無いので地味。
で、これがどんなジャンルの見方をしても全部中途半端でイマイチ。
SFとしては先ほど書いた通り地味。
サスペンスとしても、黒幕が父親の不倫相手を子供もろとも消そうとするありがちな展開。
そもそも、不倫相手が主人公の店に行っていることが分かっているなら、行方を探すのに、記憶を盗む必要ある?
アクションは全く無意味なニューオリンズのくだりにあぜん。
ラブストーリーとしては一目惚れ過ぎてついて行けず…
相手を騙そうとするがいつの間にか本当に好きになるってベタ過ぎ!
久しぶりにヤバイやつ見ちゃいましたー
【”楽しかった時よ、永遠に・・・。” 記憶潜入捜査官が選択した哀しき”生き方”。この作品は一見難解であるが、レベッカ・ファーガソンのセピア調の色彩の中での美しさが“鍵”である作品でもある。】
ー 舞台は、温暖化が進み海水面が上昇した近未来のマイアミ。
富裕層は、水を遮る巨大な堀の中の、”ドライ・ランド”に住んでいる。
貧しき人々は・・・。ー
■感想
・舞台設定は、分かり易い。
そして、”記憶潜入エージェントのニック(ヒュー・ジャックマン)は、検察から瀕死の状態で見つかったギャングの記憶に入り込み、ギャング組織の正体や目的を探っていく・・。
・記憶なのか、現実なのか判然としないシーンが続くが、
ーここが鍵になる。ー
ニックの事務所「バニスター&アソシエイツ」に閉店間際に、謎めいた女性メイ(レベッカ・ファーガソン)”鍵を無くした・・。記憶を探って欲しい・・。”と言って訪れる。
共に働くワッツ(タンディ・ニュートン)は、断ろうとするが、ニックは頼みを引き受ける。
□今作は、記憶なのか、現実なのか、判然としないシーンをどう観るかが鍵になる。
描き方も、敢えて曖昧に映している気がする・・。
・メイと恋に落ちるニック。
ー メイは、本当にニックと恋に落ちたのか?ー
・ギャングを率いる麻薬の流通を取り仕切っているジョーは富裕層と繋がっており、富裕層の男の浮気の処理なども秘密裏に行っている。
ー メイは、且つては麻薬中毒者だったことも、明らかになる。彼女は、ギャング側なのか・・。ー
・突如、消えたメイ。彼女は何処にいったのか。彼女に恋したニックは、”悪徳捜査官”の記憶に潜入し、メイを探すが・・。
ー ”悪徳捜査官”の脳が”バーン”を起こしても、執拗に記憶を探るニック。彼の、メイに対する想いだけは、本当のようである。ー
<真実を知ったニックが選択した哀しき”生き方”
今作は、記憶潜入をキーにした、哀しき恋愛を描いた作品である。
暗く、フィルムノワール調で描かれる近未来の世界観に、複雑な時間軸構成の映像トリックが、巧妙に織り込まれた作品である。
レベッカ・ファーガソンのセピア色の中での美しさも印象的である。>
『チャイナタウン』的『ジョーカー』をクリストファー・ノーラン風味で
【あらすじ】
近未来のマイアミ。
海面上昇により、世界中の都市が半水没。
人々はボートや小船を使用した生活を強いられていた。
水没地域は貧民街となり、ダムによって水没を免れた「乾燥地帯(ドライランド)」には富裕層が住んでいた。
最近まで続いた戦争によってアメリカ国内は疲弊。
戦時中に都市を安く買い漁った地主が、土地の支配権を握っており、自分たちはドライランドに住みながら、水没地帯を貧民に貸して金を搾り取っていた。
昼間の高気温が理由で、人々は夕方に起床し、涼しい夜間に活動するようになっていた。
戦時中、捕虜を尋問するため、記憶にアクセスする装置が用いられた。
これは被験者の特定の記憶にアクセスし、映像化して、立体的に投影するというものだった。
この一連の作業は「レミニセンス(reminiscence:回想)」と呼ばれる。
主人公(ヒュー・ジャックマン)の職業は、この「レミニセンス」装置を用い、現実に失望した人々が過去の幸福な記憶に浸ることを助ける、というものだった。(レミニセンス導入士)
元・軍人の主人公は、軍需用のレミニセンス装置を入手し、生計を立てていた。
この職業にはしばしば司法からの需要があった。
刑事事件の容疑者の尋問に用いるためだ。
そのため主人公のもとには、しばしば検察から「レミニセンス」の依頼があった。
ある日主人公のもとに、「自宅の鍵をなくしたので見つけて欲しい」という女性メイ(レベッカ・ファーガソン)が訪れる。
彼女はシャンソン歌手で、毎晩バーでステージに立ち、歌声を披露していた。
主人公はメイの記憶にアクセスし、鍵のありかを探す。
メイの記憶の中で、主人公は彼女の姿と、歌に惹かれる。
メイは主人公の職場にイヤリングを忘れて帰ってしまう。
主人公は、彼女のバーを訪れ、忘れ物を渡す。
そして二人は自然と恋に落ちる。
だが幸福な数ヶ月ののち、メイは忽然と姿を消してしまう。
そんなある日、主人公のもとに、ある麻薬密売人の「レミニセンス」をするよう検察から依頼が入る。
密売人の男の記憶を見ると、偶然にもそこにはメイの姿があった。
彼女の手がかりを見つけた主人公は、血眼になって「レミニセンス」を繰り返していく…
【解説】
荒廃した近未来の社会を舞台に、孤独な主人公が、運命の女(ファム・ファタール)を探し求めるという「フィルム・ノワール」形式の作品。
物語の後半では主体的で力強い女性像が描かれる。
監督・脚本・製作のリサ・ジョイにとっては映画初作品。これまでテレビ作品として『ウエストワールド』などの製作に携わってきた。
夫ジョナサン・ノーランは脚本家であり、今作の製作に加わっているほか、リサと共に『ウエスト・ワールド』の製作を主導。ジョナサンの兄はクリストファー・ノーラン。
【補足】
※1 夜とは、人々が寝ながら夢を見る時間帯である。夢とは「そこにはないものを見る現象」だ。人々が記憶を反芻し、目の前にはないものへの依存に陥る今作において、夜という時間帯はふさわしい舞台であると言える。夢遊病的だ。
※2 今作の主人公は、『インセプション』のように夢の中に直接アクセスして活躍するわけでもないし、『TENET テネット』のように過去に直接アクセスしてインタラクションするわけでもない。記憶はあくまで過去の出来事であり、改変もインタラクションもできないから、現実にはなんら改変が起こらない。あくまで記憶が映像として立体化されるだけだ。
しかし、あたかも現実であるかのように流れていた映像が実は記憶だった…という演出は劇中に何度かある。
「夢と現実の区別がつかない」「記憶と現実の区別がつかない」「過去の現実の区別がつかない」(あえて区別をつけない)というトリックは、映像作品が(そしてジョナサン・ノーランが)得意とするものだ。
ただし、記憶とは必ずしも映像的なものだけではない。その点において、「記憶とは映像的なものである」というステレオタイプを生じやすい映画作品には注意が必要だ。
※3 映画『インセプション』においても、人々が夢を見ることに依存する描写がある。
ジョナサン・ノーランは兄の作品である『インセプション』にクレジットはされていない。
このような『インセプション』との類似が許されるのは、彼の兄がクリストファー・ノーランであることに由来する。
※4 「人間は、一人称視点を三人称視点で記憶するため、記憶には自分の姿が写っている」と言い訳しているが、実際にそうだろうか?
この言い訳は、主人公の事務所において被験者の姿を立体映像で投影するための、製作上の都合だ。
【ネタバレ】
麻薬密売人の記憶の内容は、ニューオリンズの麻薬王との取引だった。
なんとその場に、偶然にも5年前のメイが同席していた。
麻薬王の名前は「セイント・ジョー」。
主人公は、メイが「ジョー」の情婦であったこと、麻薬依存症であったこと、ジョーの麻薬を持ち逃げして売り捌こうとしたことを知る。
それでもメイを探しだすことを諦めない主人公。
ニューオリンズに出向き、ジョーから情報を得ようとする。
その結果、「メイは自分から何かを持ち去ったのではないか」ということに気が付く。
自分の事務所を調べた主人公は、顧客の記憶保存用ファイルが持ち去られていることを発見。
ファイルの保管庫は施錠されていた。
彼との関係を深めながら、メイはキーの内容を特定していたのだ。
持ち去られたファイルは、常連客だった女性のもの。
女性の居場所を探す主人公。
女は最近何者かに殺され、その子供が行方不明になっていることを知る。
女の居住地を捜索する主人公。
暴漢に襲われ、事件に首を突っ込まないように脅迫される。
自分の記憶を「レミニセンス」した主人公。
暴漢を以前目にしたことに気が付く。
その男を見たのは麻薬密売人の記憶の中。
彼は、麻薬王ジョーと同席していた汚職警官だった。
汚職警官の居場所を特定し、格闘のすえ彼を捕縛。
「レミニセンス」装置にかける。
その結果、以下のような事実が判明する。
汚職警官は麻薬王ジョーの売上金をくすねていた。
ジョーの逆鱗に触れた警官は、制裁として火傷を負わされる。
現在の警官は、ある地主に雇われているらしい。
その地主は多くの女性と不倫しており、私生児も誕生していた。
警官が雇われたのは、不倫相手や私生児の存在を抹消するため。
常連客の女を殺したのも、警官だった。
そして、主人公の保持している記憶ファイルが邪魔だった。
記憶の中身は、地主との不倫の光景だったからだ。
警官はメイを脅し、主人公と親密にさせた。
鍵をなくしたメイが事務所を訪れたのも、主人公の知っている歌を歌ったのも、全て仕組まれていた。
だがメイは、主人公と本当に恋に落ちてしまう。
彼女は警官から暴力を振るわれていた。
警官は、女性を殺した直後、その子供も手にかけようとした。
メイは警官に抵抗。
子供と共にボートで逃げ出し、安全な場所に隠す。
だがすぐに警官に居場所を特定、誘拐される。
メイは、主人公が警官の記憶を見るであろうことを予測。
子供の居場所を示す暗号を伝える。
それは主人公とメイしか知らない場所だった。
だが警官は、メイが自分に向かって話していないことに気づき、彼女を拷問しようとする。
麻薬によって自分が情報を漏らしてしまうのを恐れたメイは、自ら身を投げる。
すでに彼女は亡くなっていた。
このことを知った主人公は、警官に怒りを向ける。
もっとも苦痛である火傷の記憶をループさせ、警官の精神を破壊。
それは殺人以上の大罪とされていた。
警官を雇ったのは地主であると思われたが、地主の息子だった。
警官が主人公を襲う直前、地主は病死していた。
雇用主は地主本人ではなかった。
父が不倫相手に財産分与するであろうことを、息子は恐れていたのだ。
主人公は地主の息子の犯罪を暴露。
女性の子供を保護する。
息子の犯罪を知った貧民の怒りは爆発し、暴動が発生。
主人公は警官を廃人にした落とし前をつけるため、愛しいメイとの記憶に浸りながら永遠の眠りにつく…
この物語全体もまた、主人公の回想であったよ、というオチ。
「レミニセンス」というタイトルは、この物語全体が主人公の回想であるよ、という意味であった。
【補足2】
※A 映画.comによる本作の紹介は、次のようなものだ。
「記憶に潜入し、その記憶を時空間映像として再現する「記憶潜入(レミニセンス)エージェント」のニックに、検察からある仕事が舞い込む。それは、瀕死の状態で発見された新興勢力のギャング組織の男の記憶に潜入し、組織の正体と目的をつかむというものだった。」
しかし、主人公の仕事は『インセプション』において主人公が夢の中へ潜入したのと同じように「記憶に潜入する」というものではない。
また、「検察からの依頼で組織の正体を掴む」という内容も、今作の本筋ではない。
ストーリーはあくまで「女性を探す」というフィルム・ノワール的なものだ。エキサイティングでジリジリとヒリつくような内容を期待させる映画紹介には注意すべきだ。
※B 「記憶のループ」も、『インセプション』における「夢のループ」に似た要素だ。『インセプション』において、夢に潜ることの危険性が強調されている。それと同様に、本作においても「レミニセンス」することに伴う危険性がいくつか用意されている。
※C 不倫好きの地主が黒幕である…と思わせて真犯人は息子である。ミスリーディングのためとは言え、主人公が暴漢に脅された際に殺されずに済んでいたり、主人公の目の前で雇用主に電話をかける警官であったり、タイミングよく病死する地主であったり、ご都合主義だ。(ご都合主義を避けようと整合性をつけようとしすぎるクリストファー・ノーラン監督作品もやや盛り上がりに欠けるが)
※D 暴動というオチにカタルシスを持っていくのが『ジョーカー』風。
「海面上昇・水没」「経済・住居格差」という大きな舞台設定が、「失踪した恋人」というプライベートな感情をモチベーションとして行動していくうちに回収されていく。
「個人的な動機で行動するうちに、人類や世界・社会全体に関わる大きな問題を解消していく」というのはノーラン兄弟風。『インターステラー』が顕著にそうだったし、『ダークナイト』3部作や『インセプション』もそうだった。
「水問題」という伏線、運命の女が登場するフィルム・ノワール探偵物…『チャイナ・タウン』風。この作品もまた、都市、水、魅力的な女性、妊娠、地主...といった要素を持つ。
※E「記憶も現実も区別が不可能」という論法を展開する人にとっては、物語は幸福な終わり方を迎えたようにも思える。厳密には「水槽の中の脳」とは状況が異なっており、主人公には肉体が存在するのだが。
そのことを記憶の中で主人公が自覚しているかどうかは定かではない。
一般的に我々が記憶を反芻する場合、我々には、記憶を反芻している自覚がある。
その点において、記憶は夢とは異なる。
夢の中ではしばしば、我々はそれが夢であると気がつかない。
それゆえに『インセプション』の説得力は増す。
『レミニセンス』は「記憶に潜入」しないうえ、記憶にインタラクトができないし、現実生活において記憶は記憶であるという自覚があるため、説得力が劣る。
夢と同様に、「記憶であると気づかないような記憶」は起こりえるだろうか。
『インセプション』『13F』『マトリックス』のような映画は基本的に現実に価値を置くけれども、本作は記憶の中(夢の中)にこそ価値を置いた終わり方で、少し新しい。
字数制限が理由で、内容をかなり割愛しました。
本作で描く近未来の物語から窺える人類普遍の本能
舞台は地球温暖化による海面上昇で土地が水に浸かった近未来の戦争後のマイアミ
戦時中は拷問用として使用されていた「記憶潜入装置」
戦後、それをあえて幸せだった頃の記憶に浸りたい顧客のニーズに合わせて、過去を反芻(再体験)させるサービスのため、その装置を提供する主人公とその相棒
その店にのちに主人公と恋仲となる女性が現れるのだが、その女性が失踪したところから物語が本格始動する。
盲目的なまでに失踪した謎多き彼女を追う主人公
そして、全ての真相が詳らかになったあとに訪れる結末とは?
「知らぬが仏」という諺のとおり、現実的には
過去を掘り返すのはあまり良いことではない。ましてやこういう色恋沙汰で自分の記憶だけをあてにし過去を美化し、それに固執することは愚かさ極まりない。
当然、主人公も証人の記憶に潜入する過程で見たくなかった現実に苦しめられることになるのだが。
そして、劇中に漂う「いずれ沈没するくらいなら幸せだったときの記憶に溺れたい」という虚無感と現実逃避をしてしまう人々の心情は理解できなくはない。
それは深層部分でどんな時代でも誰もが抱えてしまうある種の弱さであり、分岐点でもある。
幸福感に浸れる記憶が多いほどに人生はきっと豊かになるものなのだろう。
終盤、ある人物のセリフでも言及しているが、それは「悲しみ」を経験してこそなのかもしれない。
ともあれ、予想していたものとは趣きも異なり、良い裏切りもあるので、大切な方と一緒に観てみてもいい作品なのかもしれない。
SFの設定を借りたがっつりファムファタール物
ノーランはノーランでもクリストファーでなく、弟のジョナサンノーランがHBO制作の「ウェストワールド」シリーズで監督したリサジョイと映画でコンビを組んだ作品(これは脚本もリサジョイ)
このポスターといいインセプション的なSFを期待していくとガッカリするかも。
話は記憶に侵入出来るエージェントが一目惚れした魔性の女に翻弄されて身を(ある意味)滅ぼす
というがっつりファムファタール物という作品だった。
ファムファタール物らしくヒュージャックマンがずっと昔の記憶に囚われてグジグジしてるのは見たことないかも‥(見たいかは別)
水没した未来設定も恋愛世界観の装置的なものになってたなあ。
監督のリサジョイはウェストワールド的なハードなものでなく、ロマンチックのがやりたいかもなあ。
しかしポスターとコピー「J・ノーランが仕掛ける新感覚体験」のクリストファーノーランとのミスリードで行くと肩透かしくらうと思う‥
いわゆる、かたり商法。
ロマンティックです。純愛です。ヒュー・ジャックマンと、産休明けのレベッカ・ファーガソンと言うGSMカップルとか萌えます。
でも凡作。壮大な凡作。
そもそもですよ。
あざといんですもん。おはなしが。よく言う「御都合主義」。あのディストピアで、その経歴の男が、あの女に、なんでそこまで入れ込むのかが分からなくて置いてけぼり。女は悪魔から女神に突如大変身。この脚本、ホンマにジョナサン・ノーラン?
でエンドロールですよ。ジョナサン・ノーランとか、製作に名を連ねてるだけで脚本にはクレジットされてません。
なんか。ここまでお金を掛けずに、サラッと撮ってる映画なら「面白い」って思えたと思うんですが、なんせ予告動画が「ノーラン祭り」なもんで。
こりゃ、無いよ。
って事で。
レベたんの復帰は嬉しかったです。
未来があっての過去か、過去があっての未来か
本作では酒や薬物、金に執着してなかなか前に進めない人物が登場する。
主人公のニックは謎の女性メイに(惚れるべくして)惚れ、やがて姿を消したメイを追って動いていき、その過程で自分や周りの人と向き合っていく・・・ウ~ン人間関係やストーリーが複雑なので自分でまとめるのが難しい・・・。
終盤はラブロマンスの要素が強くなっていてメイのニックへのメッセージ、あとニックのワッツへの『娘と向き合っていっしょに暮らせ』的なセリフはグッときた。
メイはニックへの想いを記憶(過去)として未来にたくして死んでいき、ニックは彼女との幸せな記憶・過去に自分の未来を見出し、その世界で一生を終える道を選ぶカタチで愛が成立していった。
SFラブサスペンスとしてのできはいいと思う。
未来に対しての過去と過去に対しての未来の関係を考えさせてくれるいい作品だと感じた。
あと愛する女性はとっくに死んでいるが、男の内面で愛が成立するところはトム・クルーズ主演の『バニラ・スカイ』を思い出した。あっちは記憶じゃなくて夢だけど。
色々と惜しい。80点になれるポテンシャルは持ってる50点の作品
冒頭から詩的なモノローグに合わせて夜の水上都市が映し出されていく。この時点でチンタラしていて「あ、ダメかも」と思ってしまった。
設定や世界観はフィリップ・K・ディックの原作クレジットがないのが不思議なほどのディック的世界観。
主人公がヒロインに惚れるのが一目惚れ。なんか歌に惹かれたとか言ってるけど、完全に一目惚れです。いくら顔がヒュー・ジャックマンとはいえ、おっさんが若い娘に一目惚れする姿を見せられたら「なんなんこのオッサン」と思わずにはいられない。一応、主人公がヒロインと付き合うように仕組まれていたことは後にわかるのだが(それも結構終盤の方で)、それまでは若い女に熱をあげたおっさんの暴走を延々と観せられるので、観客としては感情移入しづらい。
このように、この映画には雑な点が多々ある。数例を挙げると、
主人公の相棒のおばさんが雑に強い。(従軍経験あるとはいえ)ほぼ一人でマフィアを殲滅させてしまうのはやりすぎ。登場するタイミングも都合がよすぎると感じた。映画は創作されたものなので、劇中の出来事は全て都合よくできているのだが、それを踏まえた上であまりにも都合が「よすぎる」。つまり単純にへたくそ。
ヒロインが子供を助けるシーンも、「いや、母親が殺される前に出てこいよ」って思ってしまった。
終盤の元汚職警官との格闘シーンは無駄に長い。せっかくヒュー・ジャックマン主演だから入れとくか、って容易な発想が窺えた。
ヒロインの正体は最初は主人公に明かされず、主人公がヒロインを追っていくうちに徐々に判明していく。これは現代のSNSを通したコミュニケーションのメタファーだと思える。
水没しつつある世界という設定は映像的には映えていたが、ストーリー上では持て余していた印象。
伏線は綺麗に回収されていくが、なんか、そんなに驚かない。「あー」って感じで。小粒な伏線を淡々と回収していく。
似た作品としてプロデューサーの兄のノーランが監督した「インセプション」が思い浮かぶと思うが、あちらの映像のこだわり、設定のギミックの使い方とは雲泥の差がある。
ヒロインの正体が判明していく過程であったり、海面上昇による貧富の差の拡大、記憶潜入と過去等、観せたいテーマがあるのはなんとなくわかるが、どれも深く掘り下げられずに中途半端な形で出されてしまった印象が残った。
地味に今年観た映画の中では1番の駄作だったかもしれないが、頑張れば良作になれそうなポテンシャルは感じた。
壮大だけど内向的な舞台で、内向的な愛と葛藤を描いた作品
半分水没した未来の無い世界で、過去をリアルに体験する装置でささやかな慰めを得るという静かなディストピア。
そんな装置を商売にしてる男が、客として来た女と恋に落ちるも女は突然いなくなりその後を追い続けるというストーリー。
主人公の決断は賛否あるだろうけど、否の人も理解はできるだろう。
まあなんというか記憶に残りそうな作品でした。
設定は良いが単調
ブレードランナー的退廃世界とノワールちっくな物語。基本プロットはヒッチコックの"めまい"と同じで、美しい女のピースを集めていく。
レミニセンスする近未来機器や温暖化で水位が上昇し昼夜逆転したなんていう設定は非常に良かったし物語とうまく相関性を持てていた。
また水をテーマに貧富の差、民主の不満、一変した暮らしなどもよく考えられていた。
とはいえ全体的にテンポが悪く途中で退屈になるし、
敵役がものすごい悪いやつという感じがしなく、起伏が少ないので感情移入がしにくい。
あとレベッカファーガーソン&ヒュージャックマンのコンビはグレイテストショーマンの不倫コンビを連想するのであまり個人的によろしくなかった笑
よかった
ノーランより話がちゃんとしている。ヒロインが子どもを守ろうとしてたのが分かって、ちょっとじーんとした。彼女は彼女でヤクにおぼれたりして大変なのだけど、心根が正しい人でよかった。
それより、一緒に働いていた黒人の女性をもっと大切にしろよと思っていたのでラストよかった。
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