レミニセンスのレビュー・感想・評価
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【叙情的で哲学的で深い愛の物語をサスペンスとSF要素で味付けしました】
・2021年公開のアメリカのSFサスペンススリラー映画。
・戦争と温暖化による海面上昇でもはや希望のない世界に変わった近未来。移動は船が必須という世界の中で、マイアミに住む元軍人の主人公ニック。彼は、戦争時代に捕虜から情報を取るために使っていた過去の記憶を取り出す装置を使い、希望のない世界に住む人々に過去の良い思い出を追体験させるという商売をしていた。そこに突如現れた謎の女性メイ。落とし鍵の場所を知りたい、という彼女の要望に応えるために過去の追体験をさせて在りかを突き止める。それから二人は恋をしていくが、ある日突然彼女が消えた。ニックが彼女を追う中で見えてくる真実。なぜ二人は出会い、この先、どうなっていくのか… という大枠ストーリー。
[お勧めのポイント]
・叙情的×哲学的な台詞が素敵
・絶妙に融合したSFと愛とサスペンス
・連ドラの延長線上のような映画であり、映画しか見ていないのに連ドラから観たような満足感
・恋愛-恋=大人の愛の物語
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[物語]
・人の過去を追体験させるニックの職業は、あらゆる物語を生み出す可能性があるものです。故に、まるで1話完結型の連ドラがあって、その締めくくりとしてこの映画が存在しているかのような奥深さを感じるものでした。中盤辺りから少しだれ気味に感じて、「なぁんだ、単なるヒューマンドラマにちょいとサスペンス要素が足されただけか。わざわざ映画で観なくても…」なんて感じていましたが、終盤戦で一気に畳みかけられると「す、すごいかも…」に一変。笑
・しっかりと見応えのあるサスペンスに仕上げてくれているのはもちろん、そこに「愛」というテーマが絶妙に混ざってくるところが、「犯人は誰だ?!」「真相は何だ?!」というサスペンスとは一味も二味も違う魅力を感じました。戦争と温暖化による海面上昇で、希望を亡くした近未来の社会もどこかリアリティのあるSF設定で、共感度高めです。
[演出]
・「記憶の魅せ方」が素敵です。一昔前なら、記憶映像をモニターに映して終わりなところ、3Dのリアルな表現。しかも、謎の繊維に光が当たることで、そのシーンが具現化するという設定も理屈はわからなくとも、練り込まれた設定であることが理解できるとともに、それがリアリティとなってよかったです。
・多少のアクションシーンはありましたが、なくてもよかったかなぁという印象。笑 ただ、映画(≒アトラクション)の要素として、緩急をつけるためにいれらたものかと思います。家でDVDで観る分には不要でした。笑
[映像]
・冒頭の鳥観的なカメラワークは一気に引き込まれます。これこそ、映画館で観たかったぁ…となるシーン。そして、そのシーンこそが近未来の世界を端的に表現してくれています。一石二鳥。
・近未来ですが、どこか荒廃した世界。それが妙にしっくりくる映像になっています。雰囲気がありました。
[音楽]
・際立って感じたことはありません。
[演技・配役]
・主人公ニック役のヒュー・ジャックマンさんは安定すぎます。かっこよい。
・謎の女性メイ役のレベッカ・ファーガソンさんは、角度やシーンによって強さと可愛らしさが変化して見える演技をされていました。これぞメイの「謎」とマッチしていてよかったです。
・この物語で一番好きでした、ニックの相棒エミリー。タンディ・ニュートンさんが演じられるようです。なんといいますか、優しくも強いんです。暴走しがちなニックをいつも彼女の止めてくれる、助けてくれる。ニックに救われたから、とここまでする彼女の大きすぎる器と強さがすごい。一方、母としての弱さも持ち合わせているところに人間味を感じる。このバランスの良さがとても魅力的で惹かれました。
[全体]
・世界を巻き込んだ陰謀とか、そんな大それた話じゃないんです。近未来の世界で、記憶の追体験をさせる仕事をしているニックに起こった(世界的にみれば)小さな出来事、を描いているだけ。なのに不思議と引き込まれていく。謎とキャラクターと愛と世界観に。
・そして、引き込まれるもう一つの要素が、叙情的であり哲学的な台詞の数々。その台詞はスクリーンの内側を飛び出して、私の現実世界でも役立つかも?!と瞬発的に思うようなものばかりでした。以下に、そのいくつかをご紹介します。(厳密な台詞ではなく要約です)
※ネタバレになる可能性もありますので、ご注意ください。
- 彼は非難しないけど、私を見る目は変わる。あなたは非難するけど、きっと私を見る目は変わらない。だから話すの、真実を。
- 俺は大事なものを何もかも取り逃がしてきた。一番の幸せは過去にはないんだ。未来で君を待っている。
- 過去は人にとりつく。過去とはある瞬間の連続。それぞれの瞬間は純粋で完成している。 - 過去は幽霊ではない。我々を覚えてもいない。幽霊がいるとしたら、過去にとりつく我々だ。過去にとりついてもう一度見ようとする。また会いたい人、前に見逃した何かを。
- 寂しさは世界の一部なの。もし悲しさがなければ、幸せも味わえない。昔私たちは結末を選んだの。彼は過去へ、私は未来へ。どちらも正しかったって信じたいわ。
・思い出して悲しんだり、後悔したり、楽しんだり・・・あらゆる過去への執着を良いとも悪いとも言わない感じ。人の本質を少し変化球で語らう感じ。それによって、自分自身の世界を客観的にとらまえて、より幸せに生きていかなきゃ、とほんのりと考えさせてくれるヒントになりました。
・愛の物語としての見応えも十分あります。恋愛の「恋」を抜いた「大人の愛の物語」として愉しまれるのも在りかと思います。ありがとうございました。
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#全体3.6 #物語3.7 #演出3.6 #演技3.7 #配役3.7 #映像3.6 #音楽3.4
過去の記憶は変えられない。たとえそれが残酷であっても。
"reminiscence" 「過去の記憶が、直後よりも時間が経った後の方が鮮明に思い出せること」
最初はストーリーに、ん?ってなりました。難しい話なのか、と思ってたけど、最後まで観てみると思った以上に爪痕を残してくる作品でした。心の奥にぐっと何かを押し込まれる感覚を覚えました。過去は変えられない。過去は戻ってこない。だからこそ、過去のことを悔やむより、今を生きることが大切です。
舞台は、街が水に沈んだ近未来。本当に世界は水没しそうで怖いですね。そんな現実味ある世界で、「過去の記憶ととある女性を巡る巨大な陰謀」との戦いが始まります。SF要素はモリモリです。SFといっても宇宙ではなく、一人の人間の記憶に潜む謎を探し出すいわゆる記憶潜入です。この手の作品も僕は結構好きで、SFに上手くめり込んでくるサスペンス要素が心を掻き立ててくれます。以前「秘密 THE TOP SECRET」を観たときにかなりの衝撃を受け、話が壮大すぎてとんでもなく大きいものが心に刺さった感覚がありました。今作はそこまでではないものの、過去に逃げる主人公の心の葛藤や何か見えないものに囚われるような苦悩はどこか共感できるものがありました。誰だって、守りたいものがある。守りたい人がいる。受け入れたくない現実がある。過去に囚われて動けなくなる時がある。この作品において記憶潜入の一番のテーマはこんな感じのことなのかもしれないです。過去を変えられたら・・・なんて誰しも一度は思ったことがあるでしょう。この映画は、そんな心情に深く突き刺さるような作品だったと思います。
ストーリーは確かに難しいです。でも、それでこそ映画というもの。こういった映画がもっと増えたらと思います。最後に、あなたの変えたいと思う過去の記憶は何ですか?
助かって欲しいとか 幸せになって欲しいとか 露ほども思えない主人公
クリストファー・ノーランの弟とその嫁さんと・・・
ノーランファミリー?で作った映画だそうで
途中で寝てしまったので話がいまいち
わかっていませんが
登場人物の誰一人として魅力を感じなかったので
(最近こういう作品多い)登場人物が
どうなっても、どうでもいいというか
アクションしててもふーん、って感じで
醒めて見てしまう
助かって欲しいとか
幸せになって欲しいとか
露ほども思えない主人公
メイの見た目以外のどこに惚れたのかさっぱり
女性監督らしいのに、そういう「女の事が
何もわかっていないのに愛を語る」的な部分が
クリストファー・ノーラン色ぷんぷんで。
話もやたらこんがらがってわかりにくく
面白いと思えなかったです
よわい
ブレードランナーがモチーフ?
SF設定の自叙ハードボイルド
要素が定まらず
舞台が未来環境になっているハードボイルド。主人公バニスター(ジャックマン)はさながらフィリップマーロウだが仕事は探偵ではなく時間遡行の案内人。とはいえ美しい依頼人と謎が絡んでくる。オリジナルのようだがチャンドラーの翻案みたいな話になっている。
幾つかの大戦と海面が上昇した近未来。
街は水浸しでヴェネチアのようにボートで往来する。その雰囲気はいい。
物語は探偵ものを踏襲してバニスターの独白が随所に挿入される。深い低音域のあるジャックマンのナレーションはいいが、意欲的な外観の未来とは裏腹に、あんがい陳套な探偵話が展開する。
バニスターはマーロウのようにストイックではなく、美しい依頼人メイ(ファーガソン)に、溺れ、のめりこむ。
探偵ものには美しい依頼人が付きものだが、女を追う体になっていることで、ハードボイルドが失速した。
そもそもSFと恋愛とディテクティブストーリー、ぜんぶ入れようとして散漫になった。
結果、批評家からも酷評を浴び、tomatoesでは36%と37%、imdbも6点に届かなかった。ボックスオフィスも爆死している。
監督はTVシリーズのウェストワールドのクリエイターと紹介されていたが映画は初めて──とのこと。
本作だけではなんとも言えないが巧い演出ではなかったと思う。
批評家たちはとくに既視感(過去の映画で見たような絵面)をあげていた。
『バラエティ誌に寄稿したオーウェン・グレイバーマンは映画を「過去に観たことがあるものを完璧に調整した2時間の蜃気楼」と表現し、「『ブレードランナー』のようでもあり、『ゴッドファーザー』のようでもある。ビルや路地が残る水浸しのマイアミの風景は、『ウォーターワールド』や『ハンガー・ゲームシリーズ』の続編を思い起こさせる」と批評している。』(ウィキペディア、レミニセンスより)
とか、
『シカゴ・サンタイムズのリチャード・ローパーは2/4の星を与え、「『チャイナタウン』に向かう『バニラ・スカイ』のどこかで、『マルタの鷹』と『インセプション』が出会ったかのような独創的で野心的な作品だ。しかし、荒々しくて複雑な、そして最終的に失望させられるSFノワール『レミニセンス』は、あちらこちらへ進んでいくが、最後にはレールを外れてしまう」と批評している。』(ウィキペディア、レミニセンスより)
とか、言われていた。
個人的には記憶をいじる要素に「記憶探偵と鍵のかかった少女」(2014)を思いうかべた。いずれにしても既視感過多な映画だった。
ハードボイルドな探偵ものを未来設定でやった映画──といえばブレードランナーだが、思えばブレードランナーは1982年の映画なわけである。今(2022)となっては40年も昔なのだった。その光陰に愕然となる。
ややこしいと言うより行き当たりばったり
意外と良かった
レンタルで観ました。
気候変動の影響で海水面が上昇し水没した街、マイアミが舞台のSFサスペンスです。
レミニセンス〈記憶潜入〉を生業とする主人公ニックのもとに、謎めいた美女メイが仕事の依頼に訪れます。
当然のように惹かれ合う2人でしたが、別れも告げずに突然メイが行方をくらまして、そこからストーリーはサスペンスの様相に。
メイを追うニックは膨大な記憶と映像に翻弄され、予測もしなかった悲しい結末に向き合うことになります・・・。
巷ではあまり評価が高くなかったので期待せずに観ましたが、自分的には面白かったです。ストーリーにツッコミどころはあるものの、良作といえるのではないでしょうか。
ヒュー・ジャックマンは顔がアップになると年齢を感じました。
レベッカ・ファーガソンは、どこかで見た女優さんだと思っていたら、数日前に観た「DUNE/砂の惑星」に出ていたのですね。役で印象が全く違いますが、人間の記憶なんていい加減。
一昔前によく見たSF映画
2022年 84本目
女性監督らしい視点
SFかと思いきやラブストーリーかぁ
いずれは記憶にございません…?
クリストファー・ノーランの弟ジョナサン・ノーランがプロデュースし、その妻リサ・ジョイが初監督。
話も“記憶潜入”のSFサスペンス。
嫌でも『インセプション』の記憶が蘇る。
まあ、まるっきりの劣化パクりではなく、これはこれで別の味気はあったけど…。
世界の大半が水没した近未来。
特殊な装置を使って人の記憶を立体映像として再現させ、追体験させる“記憶潜入(=レミニセンス)”。
そのエージェントであるニック。
ある日、無くした鍵を探したいと現れた美女、メイ。
次第に情熱的に愛し合っていく二人。
が、突然メイは姿を消す…。
ニックは“レミニセンス”で彼女との過去に入り浸り…。
“レミニセンス”は顧客に記憶を追体験させるだけではなく、時には何かしらの事件の調査や手掛かりにもなる。
ある日検察から、瀕死の状態で発見された新興ギャングの男の記憶に潜入し、そのギャングの正体を探る依頼を受ける。
男に“レミニセンス”すると、そこに、メイの姿が…!
彼女は何か関わりがあるのか、巻き込まれたのか、今何処に…?
彼女の行方を必死に追う…。
水没した終末世界感溢れるビジュアルは見もの。殊に“水”を扱った映像やCGは美しくもある。
壮大なSF大作…と思いきや、話の始まりや雰囲気はSFを纏ったフィルム・ノワール。見た目は美しく見える“水の世界”の中に入っていくと、滅び廃れた町や暗い大都会。探偵とハードボイルドの暗黒街のようだ。
話が進んでいくと先述からも分かる通り、消えた愛を探し続ける男の“哀路”とでも言うべきか。
ラブストーリーというより、メロドラマ色の方が濃い。寧ろ、ディストピアSF×フィルム・ノワールよりこちらの方が主軸。
彼女を追い、彼女に関わる人物からも“レミニセンス”し、徐々に分かってきた彼女の姿。
悲劇。決して幸福ではない過去。
危険。周囲をうろつく男たちや組織。
“レミニセンス”していく中で知ってしまった真実。
それは、裏切りか、愛か。
哀愁たっぷりのヒュー・ジャックマンもさることながら、光ったのは二人の女優陣。
レベッカ・ファーガソンの美しさと悲しさを纏った魅力。
ニックを支え、心配するタンディ・ニュートンの好助演。
見る人によってはハッピーエンドでもあり、切なくもあるラスト。いやそれとも、ダメダメ未練たらたら女々しいだけの男の話…?
悲しいメロドラマとして見ればそれなりに悪くなかったが…
SF、フィルム・ノワール、メロドラマ…これらが全て巧みに合わさったら良かったのだが、今一つ巧みとは言えず。やはりどうしてもメロドラマ味が強く出過ぎている。
そうなると、せっかくのフィルム・ノワールのムードが勿体ない。
SFも然り。と言うか、水没した世界にした設定は絶対的に必要だったのか…?
全体的な話も所々面白味あったり、面白味無かったり。
題材や設定はいいのに、あっと驚く斬新さは感じられず、既存感を感じてしまった。
CG面でもそう。『インセプション』のような見た事のない驚異的な映像はあまり期待出来ない。あくまで世界観のみであった。
『インセプション』の劣化パクりではないが、何もかも遠く及ばず。
いずれ私が“レミニセンス”しても、本作の記憶が蘇る事はうっすらぼんやりだろう。
決めるのは自分だ
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