「麻薬のようなレミニセンス」レミニセンス Jun Tanakaさんの映画レビュー(感想・評価)
麻薬のようなレミニセンス
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近未来SFサスペンスと思いきや、近未来ラブロマンスだった。
この作品の肝は、記憶を映像にして可視化できる装置。これは便利なようで恐ろしい。楽しい思い出を、もう一度たっぷり味合わせてくれる反面、忘れたい記憶まで引っ張り出し悪夢を蘇らせる。主人公ニックは、その装置で、記憶を思い通りに引き出し顧客に提供する。
そのレミニセンスを駆使しながら、事件の核心に迫っていくニック。雰囲気は、なぜか1950年代西海岸のマーロウが出てくる探偵映画のようなレトロ感満載。
最後、事件は解決するが、恋人メイを失う。ニックはメイが忘れられない。ニックの助手エミリーは、密かにニックに心を寄せている。この三角関係がどう結ぶのか。ラスト、ニックは、メイとの思い出から離れられず、レミニセンスで過去の記憶にすがってしまう。逆にエミリーは、失踪した娘を探す未来を選択する。ハッピーエンドだったのか、なぜか虚しさが漂う。麻薬もそうだが、都合の良い機械に頼ってしまう人間の弱さに、少し腹が立った。
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