「ノスタルジックなSFハードボイルドに、まさかジョン・ヒューズ味まで感じるとは!」レミニセンス 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ノスタルジックなSFハードボイルドに、まさかジョン・ヒューズ味まで感じるとは!
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怒る人がいても不思議はない。というのも、記憶を扱ったSF大作というイメージと、実際に観た際の印象とが、ものすごくかけ離れているから。実際、一体何を観ているのかと上映時間の大半は戸惑ってばかりいた。21世紀になってだいぶ経つのに、あまりにも古色蒼然としたハードボイルドタッチのメロドラマ。ガタイはいいけどさっぱり使えないキャラのヒュー・ジャックマン、気恥ずかしくなるようなファム・ファタル、行き当たりばったりなシーンを重ねる展開……。しかし、突如始まる2丁拳銃アクションに目を瞠った瞬間、すべてを受け入れていい気になった。ああ、ここには監督・脚本のリサ・ジョイがやりたいことが詰まっている。やたらと古臭いのも、この物語が本来備えているノスタルジーとシンクロしている。そもそもコレは、ノーラン印のSF超大作などではない、とても私的なやりたい放題の結晶なのだ。しかもどうみてもタンディウェイ・ニュートンの役柄は『恋しくて』のメアリース・チュアート・マスターソンである。主人公2人との関係性も、役名も瓜二つ。意識的か無意識か、まさかジョン・ヒューズの80年代ラブコメまでぶっ込んでくるとは!この趣味性の高い怪作が、この規模で完成したことはもはや快挙ではないかと思うのです。
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