「過去に生きるか未来に生きるか」レミニセンス 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
過去に生きるか未来に生きるか
水没しかかっている都市が、ビジュアルイメージとしてモチーフとマッチしている。記憶を映像化し、過去の記憶に耽溺できる技術のある世界で、人は美しい思い出に浸って生きている。美しい思い出におぼれているその様が、水没しかかって、光が水に反射して美しいマイアミの光景と絶妙にマッチしている。美しくて甘美だけれど、それは滅びの道というか。そんな世界で、人はいかに未来を見て生きていけるのかが問われている。主人公のニックは過去に生き、助手のワッツはかろうじて未来を生きる選択をする。
SFとしてのアイデアの今回である記憶の映像化は、現実にも研究されている。脳の働きから近く映像を読み取り、画像化する実験はすでに行われている。将来は、この映画のような技術が実現するかもしれない。そんな時に、私達はどう生きるべきかをシミュレートしてくれる稀有な作品だ。
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