「過去は人に取り憑く」レミニセンス 海堂さんの映画レビュー(感想・評価)
過去は人に取り憑く
厳しい評価が多いレビューであるが、私は3.5の評価とした。確かに、何故他人の記憶を利用してまでも、消えた女性に主人公が執着するのかについての説明はない。しかし理由なんてなく、ただ愛してしまったんだと思えば良いと思う。自分の経験に照らし合わせれば、見た目だの、性格だのと騒ぐわりには、フィーリングという無形の感覚で好きになることが多い。映画だからといって、そこは深く追及しなくても…。SFミステリーと思わせて、その実はラブミステリーだったという結末。見方によっては、評価が別れる作品となった。予告を見た方は裏切られたと言うが、私は予告を見なかったので、余計な期待を持たないで見ることができた。
ヒロイン、メイを演じるレベッカ・ファーガソンや相棒役エミリーのタンディ・ニュートンが現れた時は、主演はトム・クルーズか⁈と思った程である。ミッション・インポシブルではどちらもヒロイン役でしたから。
ヒュー・ジャックマン演じるニックは、この二人の女性から愛されるが、結局は悪女という仮面を外し、正義を貫いたメイを選ぶ。事件を追うと、記憶の中に存在した彼女は、身を挺してニックにメッセージを残す。きっとこの記憶に辿り着くであろうことを願いながら、目の前の人物を愛するニックに見立て、二人にしかわからないキーワードを告げる。すべてを理解したニックは、そこで探していた彼女が、もうこの世に存在しないことを認識する。それまで死は概念でしかなかったが、初めて死の意味を知ることになる。事件は解決をみるが、現実を受け入れることが出来ないニックは、自分の幸せに満ちた過去の中で永遠に生きることを選ぶことにする。未来を選択したエミリーはニックを失いながらも、彼の希望を受け入れて、現実を生きていく。アイノカタチは様々なれど、それぞれの選択を私たちは認めるしかないだろう。
ヒュー・ジャックマンが退役軍人という設定であったが、最初のシーンこそ強く見えたが、後は、殆ど相手に歯が立たない。戦闘能力が中途半端で、エミリーの方が遥かに強く見える。また悲哀を背負う主人公というイメージに合わないかな〜と思ってしまったことが、減点とした理由です。もしも涙の似合う他の俳優だったら…評価は少し違ったかも知れない。