劇場公開日 2021年5月14日

  • 予告編を見る

「なんとなくすべてが中途半端なのだが、、、」クー!キン・ザ・ザ pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0なんとなくすべてが中途半端なのだが、、、

2021年9月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

難しい

アニメ版に関してはあまり予備知識を持たずに鑑賞した為、携帯電話やレーザーポインターには面食らった。
エンドロールでは目を皿にして「年度」を探したが2012の数字を発見して納得。なるほど、描かれているのは現代ロシア。ロシア連邦に変わっても、厳然たる貧富の格差、階級格差は何も変わらないという訳だ。
(ましてや、プーチン永世大統領様が20年間君臨しておられるw)

主役の2人は「権威主義代表」と「自由主義代表」のようだ。う〜ん、それぞれに長所・短所が悪目立ちして感情移入しにくい。
実写の2人の方が遥かに好感度が高かったなぁ。

実写版では、マシコフとゲデバンはウエフ&ビーを助ける為に地球に帰れる貴重な機会を敢えて2回も棒に振る。
その意思決定に観客も心を動かされるというものだが、アニメ版のウラジミールとトリクはどうもこういう点も弱い。まったく描かれていないという訳ではないが、心を揺さぶる程じゃないんだなぁ。

ダネリア監督の遺作となってしまったから、あまりあれやこれや言いたくはないが。
共同監督&脚本のタチアナさんの構想も相当入っているのかな?
でも、タチアナさん1960年生まれらしい。今ドキの若者達とはアニメに対する感覚に大きく差があると感じた。
そうであるならば、敢えて今「アニメーション」でなくても良かったなぁ。

アニメにした事により、リアリティさが下がり、なんでもありになってしまうので、観客にメッセージ性が残りにくい。
滑稽さというよりも、シュールレアリズムでも追求しているのか?という曖昧模糊な感覚。
悪くはないよ?悪くはないんだけどね。
実写版の「これ、いいじゃん!」という味わいは失われちゃってるんだなぁ。残念だ。

まぁ、ものすご〜くうがった見方をすれば、この「なんとなくすべてが中途半端」というのが現代ロシアを象徴しているのかもしれない・・・。

pipi