CHAIN チェインのレビュー・感想・評価
全5件を表示
意欲作なのはわかるのだけど、肝心なことに日本映画なのに聞き取れない…。
今年199本目(合計263本目)。
この時期を描いた映画といえば、10月だったか「燃えよ剣」がありましたが、あの映画、妙な展開(後からの回顧形式)であるため、なかなか感情移入できなかったという意見はここでも多かったし、私も「まぁそういう描き方もあるけど、なぜそれを選んだのだろう…」とは思いました(ただ、あちらにも書いたように、おそらく海外放映を想定しているため?)。
さてこちら。結局のところ新選組を描く映画ですが、あまり焦点のあてられることがない事件なども絡めて描かれています。京都市はこういう歴史的な場所は保護する立場であるようで、実際に大きな事件と言えるものは大切に保護されているようです。
パンフレット等に描かれているのは京都タワー。映画内は現代と幕末の日本を行き来する展開になります。なぜに現代が描かれているのかは、この映画のタイトル、「チェイン」にヒントがあろうかと思います(中途半端に書くとネタバレになるので回避。もっとも、歴史ものなのでネタバレという概念もないとは思うけど…)。
他の方も書かれていた通り、余りこの手の映画では触れることがない、武士や農民、商人などだけでなく、いわゆる「描かれることがほぼないであろう」人にも焦点があてられているなど、(ある程度は作話もされてはいるとは思うのですが)時代考証はしっかりされているなという印象です。そこはやはり、大学(の映画学科?)と当該大学の後輩の方が作ったという特殊な事情もあること、さらに大阪市も含めて近畿圏は資料検索はやろうと思えばほぼ無限にできるので、そこは安心できるところです。
一方で、これもまた他の方も触れている通り、他のことも出てくることは出てくるのですが、時間調整の関係か中途半端に出てくる(なお、余りにもマニアックな語は、説明不足にならないように日本語で説明が入るなど、かなり良心的)など、「出るのはすごく良いのだけど、出たら出たっきりでそのままになっている」という点はどうしてもあります。
とはいっても、この作品はもともと大学の映画学科とその後輩の方が作ったという、どちらかというと特異な作品であり、そこは気にしませんでした。
採点に関しては下記のようにしました。
タイトルにも書いたのですが、「日本映画なのに聞き取れない」という珍妙な映画になってしまっているのが非常に痛いです。
---------------------------------
(減点0.3) この映画はテアトル梅田さんで観たのですが(座席数70程度のミニシアター。シアター1と2がある)、かなり発言が聞き取りづらいです。一つは方言(特に会津や薩摩など)、もう一つには単純に「早口に過ぎる」点で、正直「何を言っているのかわからない」点があります。
※ ツイッターなどで少しずつブレイクして多くのミニシアターで放映された「ベイビーわるきゅーれ」に似た部分もあります(最後には聞き取れないという意見が多くて、日本映画なのに字幕放送をやった映画館もあり、それでやっと「何をいっているのか」わかった部分もあった、と言われている)。
日本映画なのに聞き取れないというのは正直初めてで、私1人だけならまだしも、他の方もそうなので、程度の差はあっても聞き取れないか聞き取りにくいのだろうと思います。もっとも、わかりにくい語に関して字幕説明があったりと配慮はあるのですが、この「聞き取りにくい」という点は試写会などでも相当数出ていたと思うのですが、何の配慮もなかったのはちょっと残念です(とはいえこのご時世で音声だけまた吹き込みなおすというのも、またそれもそれでリスクとベネフィットの兼ね合いになる)。
---------------------------------
雁首
慶応三年、油小路の変の背景にいた無名の人々の話。
新撰組が絡んでくるので有名な人物も登場するけれど、あくまでもみせていくのは余り有名ではない人や、その周りにいた架空の人達。
新選組と御陵衛士の対立やそこに絡んで来る話は良かったけれど、陰間と夜鷹とか菓子屋のせがれとか阿片の女とか、中途半端に描くならいらなかった様な気がする。
それと、何故かチョロチョロと忘れた頃に差し込まれる現代描写の意味は、もしかしてラストシーンのセリフに絡める為ですかね?
どうなっているかはみせなくても当然知っているから、これまた中途半端に差し込むならいらないと思うのですが。
ただでさえセリフが多いところに、音響のせいなのか滑舌のせいなのか、セリフの聞き取り難さが気になったし、群像劇だから仕方ないけど話があちこちに跳びまわって、なかなか入って来ず、まとまりが悪く感じた。
「御陵衛士」「伊東甲子太郎」「油小路の変」などのワードにワクワクし...
「御陵衛士」「伊東甲子太郎」「油小路の変」などのワードにワクワクしてしまう幕末好きの人にはおすすめ。
京都芸術大学映画科の卒業生に教授や在学生が主演を含む主要キャストやスタッフとして多数参加されている作品で、公開に先立ち大学構内の劇場で催された完成披露上映会を鑑賞しました。
黒船の来航とともに鎖国から開国へと世界の認識が変わった幕末の人々は、倒幕だ佐幕だ、勤王だ攘夷だと揺れ動き、脱藩したり徒党を組んだりしながら、天下国家を論じ、同志を増やすために奔走した。
新しい価値観、新しい世の中を目指しているはずなのに、武士と言う価値観だけは捨てきれず恩讐に縛られ、敵味方に分かれ血を流し命を落とした。
でも当然、激動の幕末の中には武士以外の人々もいるわけで、夜鷹(娼婦)や陰間(男娼)など当時最下層とも言うべき人々を通しての幕末も描かれる。
「結局わしらの事なんかなんも考えちょらせんやないですか!」
「そんなやったらサムライも天皇もおらんでよかやないですか!」
和菓子屋の息子で伊東甲子太郎の下僕を務める松之助の言葉が、明治維新の裏の本質を射抜く。
昔の史跡や道が今もそのまま残っているところが多い京都、油小路の変のシーンでは実際にその場所がロケ地に使われたとか。
所々でひと味変わった風景や音がはさまれたりするんだけど私には抵抗なく観ることが出来た。
反面セリフの聴き取りにくさが少し目立ったかな(´ー`)。
5万回斬られた男の異名を持つ福本清三さんはこの作品が遺作となったそうで、その意味でも鑑賞出来て良かったと思える作品となりました。
全5件を表示