「底辺の世界が対角線で描かれる。」走れロム caduceusさんの映画レビュー(感想・評価)
底辺の世界が対角線で描かれる。
最初に、“デー”という闇賭博と、この映画が検閲を受け、検閲後の内容になっていることが字幕で説明される。
映画は、主人公のロムが走ることで構成され、カメラワークは斜めに傾き、ロムは対角線上を走る。
貧しいがゆえに、様々なことが起こる。賭博の予想が外れたと責められ、公安から追われ、人に騙されて金を取られる。その度に、ロムは走る。
日銭を稼ぐロムの未来はわからない。親もいない。住む場所も屋根裏のような場所だ。
映画では削除されているのだと思うが、“デー”という闇賭博は、汚職が関係しているのではないか。
私腹を肥やす人間と、欲望を支配され、搾取される貧しい人々。社会主義国家の闇は深い。
検閲をくぐり抜けて世に出てきた、この作品にどのような意味があるのか?到底、知ることはできないと思うが、本当に知らなければならない問題は検閲で削除された部分にあるのではないだろうか。
いつの時代も存在する問題だと思うが、やはり、国家による検閲は悪と言って、間違いはないだろう。。
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