「奥さまはフシギな魔女から…」ワンダヴィジョン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
奥さまはフシギな魔女から…
MCU初の配信ドラマシリーズ。
Disney+に入会していなくて見れなかったり、入会してもなかなか見るタイミング無かったりだったけど、この度やっとこさ鑑賞。
実は物語に関するネタバレは知っちゃってるんだよね。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を見るに当たって調べて。
配信開始時に見ていれば驚きだったろう。知った上で見ても充分面白い。よく出来ている。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』後、ワンダとヴィジョンは結婚し、アメリカ1950年代みたいなのどかな町で幸せに暮らしている。
…って、この設定が謎だらけ。
何故そんな時代…? そんなホームドラマ設定…?
そもそもヴィジョンはサノスに殺された。なのに何故…?
配信開始時は多くの人が謎解き合戦しただろう。当たった人、いたのかな…?
それにしてもよくこんな発想思い付く。
最初の数話は懐かしのシットコム。美術や衣装だけじゃなく、映像や音も再現。
やがてカラーとなり、スタイルも60年代~70年代~80年代~90年代へと。いつしかシットコムじゃなくなり。
変わるのはスタイルだけじゃなく、ファッションや内装や周りや町の雰囲気も。
ベイビー誕生!…と思ったら、あっという間に成長。
もう何でもあり。ワンダが超能力者だから…?
謎めいた事や現象も。ちょいちょいの言動、モノクロ庭に落ちていたカラーのドローン、謎の防護服の男、ラジオからの声、住人の中に何処かで見掛けた顔が…。
中盤からは“外”からも描かれ、次第に謎が解き明かされ、衝撃の“設定”が…。
シットコム、ホームドラマ、ミステリー、SFが巧みに融合。勿論MCU作品なので、終盤にはアクションも織り込まれる。
手掛けたクリエイターたちに拍手!
ワンダの悲しみを思うとやるせない。
ヴィジョンと共に生きたかった。幸せに暮らしたかった。シットコムのように。
何故シットコムなのか、ワンダの悲しい過去。
忌まわしい能力が。周囲からはまるで“魔女”。
両親を失い、兄弟を失い、愛する人を失い…。
悲しみに囚われた現代の魔女は、その力を解き放って、“夢”と“理想”を作り出してしまった。
いや、作り変えてしまった。町丸々一つや住人たちの記憶さえも。
決して危害は加えず、作り出した“理想”の中で一見幸せに暮らしているに見えるが、それはまた強大な力で支配し、自由を奪っているようでもある。魔女が奇術で。
そしてこの“町”の中に、ワンダの力を狙う“本物”が、“お節介な隣人”として居ようとは…。
エリザベス・オルセンとポール・ベタニーの続投。特にオルセンは回毎に喜怒哀楽やファッションやヘアスタイルや魅力がぎっしり。
キャスリン・ハーンも印象残す。間もなく彼女主人公のスピンオフドラマが配信。
MCU他作品のサブキャラたちも活躍。なるほど、モニカはこうして…。
ラスト、ワンダが決めた別れと終わり。
夢理想であっても、現実世界では手に入れる事出来なかった幸せを、他にどうする事は出来なかったのか…?
その現実世界では…。代わりに手に入れた恐るべき力…。
ここに、覚醒。
その後起きる事分かっていても、改めて『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が見たくなる。
いよいよMCU配信ドラマの世界へ。これから少しずつ見ていこう。
MCUの世界を複雑にし、離れを加速させたなんてよく言われるが、全部見た上で、やはりそうだったか、よく作り込んだユニバースか。