「タイトルなし」メタモルフォーゼの縁側 Don-chanさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
宮本信子さんが演じた”雪”の上品さと知性と積極的なところが素敵。
”雪”のメタモルフォーゼは何だろうかと考えると深みがある。
”うらら”も読者から作者へ、ラストの描写は明るい未来の世界線にメタモルフォーゼしたようにも感じる。
”コメダ先生”も何か変わった。
登場人物が皆、僅かかもしれないが確かにメタモルフォーゼしている。
個人的に、漫画を読んだり描くのが好きだった自分の思春期を思い出した。
今作の見どころは、雪が住む年季の入った庭付き縁側付きの一戸建て(の内装や装飾品)、それとは対称的な団地の雰囲気(と置いてある物)。貧富、若者と老人、学校におけるオシャレグループと孤立しているオタク、本屋と同人誌即売会、プロと素人、漫画の中では男同士の愛の物語で現実世界では女性同士の友情物語、対称的なものが沢山登場していて、見応えがある。
今の日本をリアルに描いていると言い換えることもできる。
日本の少女漫画文化の描写も丁寧で、そのうち将来は貴重な映像資料になるかもしれない。
「きょうは完璧な1日でした」「私も」というセリフで、爽やかに締めくくった雨の夜が印象深い。
最後、風に乗ってくるカレーの匂いに言及するシーンが好き。
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