「やわらかな日差しに満ちた縁側」メタモルフォーゼの縁側 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
やわらかな日差しに満ちた縁側
ゆるくて
あたたかくて
やさしくて
さりげなくて
もどかしくて
なつかしい
この映画を語るのには、画数の多い難しい漢字よりもひらがなのほうがよく似合います。
※そうは言っても、〝うっくつ〟はやはり〝鬱屈〟でないと感じがでませんね😅
宮本信子さんが信号待ちしていたのは、たぶん京浜東北線の王子駅前で、私が初めて一人暮らしをしたマンションの最寄駅。
サイン会場の池袋ジュンク堂とその近くのマルゼンのカフェは、今でも本を買うときによく辿るコースで、物語世界にどっぷりと浸かることができました。
若者(うらら)と高齢者(雪)を同時に描くことでとてもうまく描かれていたのが、人生の持ち時間の違い。
うららの人生には、まだたっぷり未来の時間があります。だからこそ早く自分の好きなことを見つけたいと焦ってしまうことがあります。クラスメイトなどの視線も気になり、〝好きなことを見つけてそこに向かう自分〟を演じることが最優先となってしまい、そのことに気がつけないまま、もっと大事なことを見逃してしまうことも。
人生は長くて人それぞれのステージがあるのに、今(他人から見た自分が)輝いて見えることにこだわってしまう。
若い時って、道の先が遠くて見えないから却って目先のスタートダッシュに気を奪われてしまうのですね。
雪に残された人生の時間はそんなに長くはありません。体のあちこちにガタがきているから、今自分が好きなことがあれば、他人の目なんか気にせずに、すぐに始めることができます。いい意味で、厚かましくなれます。
映画って本当にいいな、と思います。
深刻な問題を扱うことも、社会的な危機感を訴えることもできるし、誰にでも思い当たるような小さな世界のちょっとした奇跡を描くこともできる。
欣喜雀躍、捲土重来、艱難辛苦…みたいなことを気宇壮大に描くのは他の映画に任せて、ほんわか、ほんのり、ほのぼの…そんな世界を染み入るように描いてくれたこの映画、私は大好きです。
グレシャムの法則さん、コメントありがとうございます。宮本信子さんの演技、素晴らしかったですね。宮本信子さんは一連の伊丹十三監督の作品の中でも主役や準主役の立ち位置ながら脇を盛り立てる芝居をなさってたと思います。
グレシャムの法則さん、コメントありがとうございます。
>映画の中で走る、といえば、トム・クルーズ
不勉強、もしくはご縁がない
いずれにせよ、トム・クルーズの出演作を余り知らなくて恥ずかしい
のですが(…汗)、今上映中の作品でも「走っている」のでしょうか。
観るか迷っているのですが、行ってみようかな。。
(画面に酔いそうな予感がするのも躊躇っている理由ですが…)
共感の一言ありがとうございます。ホントに映画っていいなと感じます。歳取る毎に言葉による理解度があがっても何も伝わらない事を映画は感じさせてくれますね。自分も好きな映画です。