「漫画も映画も根っこは同じスラムダンク」THE FIRST SLAM DUNK Yaさんの映画レビュー(感想・評価)
漫画も映画も根っこは同じスラムダンク
井上先生がこんなコメントを書いていた。
「原作をなぞりたくない。やるなら宮城リョータにスポットを」
そんなわけで、彩子さんに惚れて速攻バスケ部に入部した話とは別のストーリーが加えられて、映画は構成されています。
それについて批判してる原作好きの人もいるとは思いますが、さらにこんな事を井上先生は書き残しています。
「漫画もアニメも映画も、根っこは同じスラムダンク」
私はこれを見た時に、スッと映画を受け入れることができました。
オープニングで、5人が鉛筆で書き起こされる場面で早くも涙。「あの5人がここにいるんだ。」そんな気持ちになって昂揚しました。
漫画の世界がそのまま動き出したような、3Dアニメーションの出来栄えが実に見事。
アニメでは表現しにくかった、バスケの試合風景やスピード感、10人それぞれが試合中に動いてる様子など見事に表現されています。
井上先生のタッチもそのまま表現されているようで、本当に満足度が高いです。
原作にあった名シーンが試合の流れの中に、サラッと自然に組み込まれていて、大袈裟に表現しない印象。
映画という限られた時間の中なので、端折られてるシーンや、間が足りないなと思うシーンもあるんですが、この自然体な感じがアニメとは違った、今回やりたかった演出なんだと見受けられます。
映画を見ていると、漫画の各1コマが感情の波と共に脳内で完全に再生されます。
映画では口パクですが、見ている全員が「左手は添えるだけ」を再生してたと思います。
各所にそんな場面が散りばめられています。
「大好きです、今度は嘘じゃないっす」といった場面なども入れて欲しかった。でもそうすると、花道が主役になってしまうから、かなりバランスがとられてる印象。
アニメーションの作り方が素晴らしいので、完全に原作に沿い、時間をたっぷり使ったアニメを放送して欲しいなとも思いました。
長い年月をかけて、井上先生を口説き落とし、新しいスラムダンクを見せてくれたスタッフさんに大感謝です。
本当に素晴らしい作品でした。