「"老い"を受け入れるまでの物語」ファーザー ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
"老い"を受け入れるまでの物語
クライマックスに大きなネタバレがあるので、これを伏せてのレビューというのは中々難しい。
正直なところ、終盤までは退屈に感じてしまった。
認知症のアンソニーと、彼の強情さに翻弄されるまわりの人々、そのどちらにも感情移入してしまった。
その為、認知症高齢者の疑似体験…と言うほど主観的に入り込む事なく映画を見続けた。
しかし、ある出来事を経てここまでの印象がひっくり返る。アンソニーが見てきた世界や、彼自身への印象も大きく変わる事となった。
映画を見終えた今振り返ると、強情でいたアンソニーこそ、実はギリギリの一線に踏みとどまっていたのだと感じた。それを超えてしまってからの彼はもう。。
大衆向けエンタメと対を成す地味な映画ではある。
しかし、今後我々が必ず触れることになる"老い"。そしてそれを受け入れる過程を予習する意味でも、見る価値のある作品である事は確かだ。
アンソニーを演じきったアンソニー・ホプキンスの名演、その素晴らしさは見た者誰もが疑わざるを得ないだろう。
彼がアンソニーを演じたからこそ、この映画の余韻がより印象的に残るのだ。
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