劇場公開日 2021年5月14日

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「鑑賞者の翻弄がまさに製作者の意図するところ。」ファーザー Rewind Thatさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鑑賞者の翻弄がまさに製作者の意図するところ。

2021年8月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

その翻弄こそが患者の主観であると伝えたいのだと受け取りました
さまざま媒体から自分から欲せずとも介護という現実の厳しさ、認知症の絶望を知った気分になっていました。そうこの映画も含めてです。私は介護の問題にことさらに興味があってこの映画を鑑賞したわけではありません。しかしこの映画は最もその現実に肉薄してそれをこちらに伝えてきたと感じます。重く、厳しく、とても当事者ではない自分が語れる問題ではありません。そうこの安っぽい逃げの感想を読んでお分かりの通り、この映画を鑑賞した後に至っても私のこの問題への理解はあくまで頭での理解であり、真なる心からの「理解」ではありません。例えば私が個人的に当事者意識のあるアルコール依存症問題とは全く別次元にある理解です。
しかしそれでもこの映画は胸を打ちました。不幸な映画を観た時は、ただ幸せを祈ることしか出来ませんがこの映画においては幸せというものがどういう状態か分からず、苦しく混乱しました。フィクションですら迷い苦悩します。ましてや現実においては…。祖母の葬儀での親父の涙をほんの少しだけ理解できたような気がします。
伝えるべき主題はもちろん凄いものですが、映画としてのレベルが非常に高くとても面白かったです。ここまで素晴らしい映画だからこそ難しい問題を多くの人に届けられていることに深い感銘を受けました。素晴らしかったです。

Rewind That