劇場公開日 2021年5月14日

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「高い演技力、計算された脚本・演出」ファーザー Masayaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0高い演技力、計算された脚本・演出

2021年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

アンソニー・ホプキンスの演技もさることながら、何よりも脚本が素晴らしい!

少ない出演者とほぼ室内だけで展開される本作は、ホプキンスの一人芝居のようであり、まるでワンカットで撮られた映画であるような錯覚に陥ります。老人が部屋を出入りするだけで観客も虚構と現実の歪んだ時間に引きずり込まれ、老人の脳内を疑似体験させられてしまう見事な脚本と演出。衣装一つにも計算された仕掛けが施され、特に娘の着る鮮やかな青色の服が効果的だったなと思いました。
故・橋本忍の著書の中に「脚本は映画の設計図」という記載がありましたが、まさにこの様な映画のことを言うのでしょう。
観客は混乱するが、決して難解で退屈な映画ではありません。ラストではホームに入所させたばかりの我が母を思い、涙が止まりませんでした。

Masaya