「予備知識は少なめがオススメ。」ファーザー キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
予備知識は少なめがオススメ。
緊急事態宣言の中、公開して頂いたことにまずは感謝。映画関係企業の皆さんには引き続き踏ん張って頂きたい。
ファンは映画館にちゃんと足を運びますので。
…で、観賞。
描かれる内容自体はとてもとてもシンプル。…ってな訳で、何を書いてもネタバレっぽくなるのでご注意を。
かなり冒頭から「何が起きているのか分からない」戸惑いを観客も味わう。
それが結果として主人公の不安や孤独の一端を追体験することになるという、後になってその計算された物語に唸らされる。
不安であるからこそ、肌身から離れることなく常に変わらず刻み続ける「時」に執着してしまう。彼にとっての腕時計とはそういう象徴なのかも知れない、と思ってみたりもする。
「フラット」も同じ。
認知症という、他人が把握しにくい感覚を、「確か」なはずの何かが全く「不確か」であることの不安で表現する。
やはりアンソニー・ホプキンスの名演に尽きる。
時に可愛らしく、時に切なく哀れに、時に憎たらしく。
そりゃオスカー獲るはずですわ。
繰り返しになるが、とても内容は静かでシンプルなので、予備知識はできる限り少なめ(予告編どころかポスターさえ見ない方がいい)で、ちゃんと戸惑いながらご覧になるのがオススメ。
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