「さすがのアンソニーホプキンス」ファーザー ke_yoさんの映画レビュー(感想・評価)
さすがのアンソニーホプキンス
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葉っぱが全て散ってしまった、といったような台詞が終わりの方で出てくるが、ラストシーンは青々とした美しい木々と青空で終わる、このコントラストが美しい。
四季のある日本では、季節や植物の芽吹きや枯れることを人の若さや老いに例えるけれど、記憶を亡くし命を亡くして、土に還ると木々の栄養にもなるという自然の摂理を思う。
何が何だか分からなくなる、認知症という悲しみは、死の恐怖を除くために起こるのか、果たして何なのか。
幸い私は両親義両親ともにまだ元気だが、先々こんなことが起きたらと、想像するのを止められなかった。
変わるがわる訪れる少しずつ違うシチュエーションに、果たしてどれが真実か等と考えて観てしまっていたが、その全ては施設で抱いた幻想であったというせつなさ。
あんなに嫌がっていた介護人をママと言って泣くその姿に、老いの悲しみを感じてしまった。
介護の現場などで働く人や、誰かの介護をしたことのある人からしたら、甘くて滑稽かもしれないが、とても、せつなくて、悲しくて、でも温かい、そんな作品でした。
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