オートクチュールのレビュー・感想・評価
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ドレスの裾を揺らす音楽。なんとも至極
粗雑で騒々しく繊細でエレガントな静寂が、
人種、宗教、性、そして様々な人格が交錯しその光と影の木漏れ日が窓辺に飾られたオートクチュールに映る。
ヒトの心と生地は破れやすく傷つきやすくパリジェンヌとパリジャンをつなぐパリジェンダーの表情や仕草のおもいやり感に見いった。
人の弱さや脆ささえ美しく感じられた。
新たな始まりを
予感させる映画。特に僕にとっては一緒に観に行ってくれた方がバッチリだったので忘れられない映画になりそうだ。
この映画そのものの僕の感性が働いた箇所を散文的にピックし書くと、フランスがアートで世界の優位に立ち続けるのはこれからも確実だな。と言うことと、ほかメゾンの自伝的プライド映画と比較し流石フランスを代表するメゾンとしてのディオール感充満の映画だったわ。と言うことと、ラマルセイユのフレーズが出てくるシーンと移民街に主人公の師匠がいると言う設定がファッションの産業としての強靭さを表している。と言う感想が本作鑑賞後の正直な感想である。とにかく良かった。良かったわぁ◎
世界トップクラスの老舗ブランド、オートクチュールのお針子さん。
DIORのオートクチュールのアトリエを舞台に、引退直前の超ベテランのお針子女性がひょんなことから移民の女の子をスカウトし、衝突しながらも育てていくお話。特に大きな見せ場はなくても、人間ドラマに引き込まれてついつい見入ってしまうのは仏作品ならでは。
そして、平坦な布が立体的なドレスになっていく…
チュールにタフタ…
ドレス好きにはたまらんよ!
ただ、せっかくの「オートクチュールのアトリエが舞台」という珍しい設定、もっと面白くできたような気はする。ジャドちゃんの恋愛も中途半端な描き方で、要らなかった感じ。焦点がぼやけた。
でもやっぱりフランス映画のこういうこだわりの強い雰囲気、好きなんだわあ。
なんとも
フランス映画を観るといつも、彼らとの価値観の違いを思い知る。このお話が大団円を迎えたのか、今ひとつピンと来ない…
ママの鬱はあんなに簡単に片付くようなものだったのか?差別主義者の同僚はみんなに言われて納得したのか、それとも単に黙らせられたのか?
主人公はけっこうヒドいこと言ってたけど、全部エステルが折れてるのが正しいのか…?
役者も演出も適切かと思うが、音楽の使い方だけはあまりにも古いと言わざるを得ない。ちょっとアレはなくない…?
仕事に生涯を捧げた女性の新しい希望
何もかも捨てて夢中で没頭していたら、いつの間にか誰よりも頂にいて隣には誰もいない。周りの人間は誰もついて来れない。上を目指す者に孤独はつきものだ。
エステルも家庭を顧みずにお針子のの仕事に没頭し、アトリエの責任者まで上り詰めたが職場を追われることになってしまう。人生の全てを仕事に捧げていた彼女に残ったのは“虚無感“のみ。そんな彼女が街角でギターを弾く少女に目を奪われる。
もう一方の主人公、少女ジャド。彼女は移民ということでの差別や自称うつ病の母親の介護と様々なものに縛られており、将来に希望をもてない生活をしていた。
そんな2人が出会う。2人とも本当に口が悪い。罵り出したら止まらない。喧嘩が絶えない。
でも、エステルはジャドのことを決して見捨てないし、自分の娘のように大切に思っている。ジャドの方も、いつもあれだけ罵り合っているのに、他人がエステルの悪口を言うとムキになって止めようとする。
全体を通じてあまり盛り上がったりはしないが淡々と2人の関係性の変化を描いていて叙情的。ディオールのドレスはどれも美しく飽きさせない。“フランス映画らしい“と言うのはこういう映画のことを言うのだろう。
そして、本作では様々な問題が描かれている。
移民、人種、宗教、ジェンダー、貧困、嫉妬による差別。毒親、ネグレクト等の自分ではどうにもできない問題。これらの問題は決してすぐに解決できるような問題ではない。しかし作中を通して、少しずつ少しずつ変化していく様子が描かれている。
残念なところは、ジャドのパッと見ただけで分かる程の天性の素質の描写がほとんどなく、あまり説得力というかエステルが感じた燃え上がるものが伝わってこず温度差を感じた。もっと観客からも分かるようにギターを弾く滑らかな手のアップとか入れてもよかったのかもしれない。
そういえば、ポスターの赤いドレスは作中に出てこなかったな。
二人とも完璧じゃないけど幸せを願いたくなる
年齢差もバックボーンも超えて女性同士が連帯する、好きな映画だった。ジャドもエステルもまったくパーフェクトじゃなく、バンバン問題行動を取るし暴言も吐くし性格がいいとは決して言えないんだけど、不思議なぐらい彼女たちの幸せを願う気持ちになる。仕事にはストイックな職人のエステルが、糖尿病を患っているのに甘い物を全然やめられないの、かわいいとまで思ってしまう。
性格がいいのはアトリエ副責任者のカトリーヌ。ジャドに最初からずっと優しいし、エステルのことも心からリスペクトしている。対照的に性格悪いのがアンドレで、移民いびりにこれでもかと精を出す。挙句、自分が意地悪してしまう言い訳みたいに、自分はみんなから好かれていないようなこと言うんだけど、そこでカトリーヌが返した言葉が「みんな、あなたを好きになりたいのよ」。あのセリフは秀逸すぎて、つるちゃんの「いじわる選手権」かと思った。
ジャドがトレーナーとかで普通に出勤しちゃうのを見てエステルが「醜い!」って言うところは、こちらまでウッとなる。大の大人が楽な服装、安い服装をして出歩いている率でいうと、日本って先進国で一番ぐらいなのではっていう気がして、とりあえず自分のことを反省した。ちゃんとヒールのある靴履いたりしよう……。
そうやって「美」にとことん厳しいエステルが、新年を迎える移民の団地のにぎやかな様子を見て「美しい」ってつぶやくの、ずるいと思うけど好き。ナタリー・バイ、よかったなあ。73歳ですってよ。
ちょっと期待はずれだったかな
リナ・クードリさん、移民の役多いなー。というか最近よく見ますね。売り出し中なんでしょうね。
さて、本作。同女優さんも出演されていた「ガガーリン」同様の移民、団地住まいの貧困層を社会的背景とした作品です。職人サクセス物語と思いきやフランスの日常にある差別、分断などの問題をサラッとを取り扱った作品でした。ちょっと意外でしたね。
ただ、ちょい企画倒れかなーーって。ドラマの展開が雑で。登場人物の背景をしっかり描かれているけど、それらがあってこうなりました・・・のプロセスが結構強引で。ラストは「え?そーなっちゃう?」って感じで(笑)プロセス度外視な感じではありますが、ラストのあの感じは製作者の願いなのかな?そうあってほしいって。
ストーリーの展開はちょっとステレオタイプな前時代的な感じで「どうなんだろう?」って感じでしたね。個人の憤りや社会への不満はあるだろうけどなんかよくある展開で、どうにもテンプレ感あります。ディオールの舞台裏や仕事の部分がどう絡んでくるのか?期待していましたが、そこもイマイチで・・・。ディオールの仕事内容や何かがストーリーに重なってくる感じがあまりなくって、「あくまで仕事」でしかない。裏をちょっぴり見せましたって感じ止まりなんです。
移民の人間にフランスの老舗ブランドであるディオールに関わらせる・・・というなんだろうなぁ安易な融合?・・・これが相互理解だ!なぁんて聞こえぬ声が聞こえちゃうんです。フランスの驕りのような高い目線からの声が。・・・というくらいに、人間関係を紡ぐ部分がすごく軽く描かれていると思うのです。人間関係を繕うオートクチュール・・・・ってものではなかったなぁ。
とにかくみんなすぐに怒るし、大きな声出すし、争うし、バンバン蔑むし(「スシ、どけよ」の台詞は悲しくなったなぁ)息するように差別があるんだろうなぁ、フランスは。って思いました。
シルクの裸エプロン
水曜日のサービスディのシアターはご婦人方でいっぱいでした。オートクチュールって昔よくラジオのCMで耳にしました。
じゅわいよくちゅーるマキ。
じゅわい・よく・ちゅーる?
じゅわい・よ・くちゅーる?
じゅわいよは joyaux=宝石
くちゅーるは couture=縫製、仕立て服の意味らしいです。
ディオールに長年勤めてきたベテランのお張り子さんのエステルはお張り子のトップとして最後の年を迎えようとしていました。母親もそうだった。仕事一筋でかまってもらえず、15で同じ道に入ることで認めてもらおうと必死に生きてきた。その結果、自分の娘にも同じような淋しさを感じさせてしまったと思っていて、疎遠になってしまった娘とは別々のひとり暮らし。糖尿なのにお菓子や炭水化物が主食。健康より仕事を優先する職人気質。体調を崩しがちで、ジャドに助けられる。タバコ🚬もよく吸います。
高級なシルクの生地を扱うのにヤニ臭くなんね~のかよ❗
と何度も思いました。
自分はマクドナルドでポテトばかりのなのにエステルの健康を心配する優しい娘のジャド。
フランスのパリ郊外の団地住まいのティーンエイジャーのジャドは同じ棟の下の階にすんでいるイスラム教のアラブ系の移民の友達のとひったくりや手先の器用さを活かしてスリ稼業でのその日暮らし。病気で臥せっている母親と二人きり。でも、熱心に母親の世話を焼くヤングケアラーなんかではありません。
映画の冒頭、通勤時間帯の地下鉄で居眠りしてい青年のギターを失敬して、地下道で即興の弾き語り。旨いじゃない。そこへ通勤前のエステルがボーッと立ち止まって聴いているところを友達がバックを引ったくって逃げる。あっけにとられて立ち尽くすエステルに「捕まえるから待ってて」と嘘言ってギターをあずけて逃げる。
いっぱしのプロですな。
エステルはギターを持ってそのまま出勤。
この前まで公開していた映画【GAGARINE】でロマ族の娘でヒロイン役だったリナ・クードリがジャド役なので観ました。主に北アフリカ系などの多民族国家でもあるフランスの庶民の現状を描いた映画として、2本立ての続きを観ているみたいでした。ガガーリンも雰囲気のあるいい映画なので、リナ・クードリを気にいった方は観て下さいな。
エステルのバックにはユダヤ教徒の証の金のネックレスが入っていました。
ジャドはバックのなかの社員証を見て、エステルの働くパリのディオールのデザインスタジオ(アトリエ)を訪れる。警備員もアラブ系の男。
もちろんオネエも出てきます。
炭水化物ばかりのエステルの食事習慣を改めてようと野菜中心の食事を作ってあげようとする場面ではオネエが大きなズッキーニを見て、「美味しそう」と言います🤭
一番気になったのはデザインスタジオにいるいかにも東欧出身の綺麗なモデルさんでした。透き通るような白い肌に小顔。髪もプラチナブロンド。
シルクの裸エプロン風シーン。左斜め後ろからのはみ乳シーンがとても素晴らしかったです。
このモデルさんはタイムガードは押さないものの、アトリエに丈の短い純白のガウン一枚の薄着姿で、一日中立っているらしい。ホント?
普通にマネキン(トルソー)もあって、作りかけのドレスを掛けて、直接裁縫する場面もありますが、モデルさんに着せて、直接裁縫する場面があります。病的に意地の悪い中堅のお張り子がいて、ヒール役を発揮する恐ろしい場面があります。
男のお張り子さんもひとりいて、まずまず重要な役ですが、それは観てのお楽しみに。
なかなかセリフは辛辣で、ジャドは恩人のエステルに「しわしわババア」呼ばわりします。
でもそれだけ、お互いとても気になる運命的ものを感じて、師弟愛を越えて二人が成長するハートフルヒューマンドラマで、大変よかったです。
リナ・クードリはキリッとした美人さんで、アルジェリア人の血が混じっている。
今後が楽しみな若手です。
でも、正直に言いますといちばん気になったのはモデルさんでした。
それなりに見応えはあった
女性同士の会話は男には理解し難い部分がある。ものの本には「男は知っていることを話し、女は相手が喜ぶことを話す」と書かれていたが、本作品に登場する女性たちは少し違っていて、相手の立場を貶める言葉を連発する。しかしそれには理由があった。
ひとつは登場人物があまり豊かではないこと。もうひとつは移民の子であることだ。宗教の違いも絡んで、人間関係は見た目以上に複雑である。誰もが不利な立場で生きていて、悩みを抱えている。それは互いに相手を貶めるためのネタでもある。立場がぶつかると言い争いになる。最後は出ていけとなったり、自分が出ていったりする。さすがに死ねとは言わないが、殴り合いになることもある。フランス映画でこんなに激しい女性同士のシーンは初めて観たかもしれない。
自分の勤めるブランドであるディオールを身に纏ったエステルは、ウールとシルクを好み、フリースを一笑に付す。ナイキのジャンパーなど雑巾扱いだ。ナイキのコレクター青年がコレクションだと主張すると、コレクションとはそんなものではないとエステルは言う。エステルのコレクションは、パリ・コレクションやミラノ・コレクションなどを指しているのだろう。青年には何も理解できなかった。当方にも理解できない。
洋服について、何が美しいかの判断は人それぞれに認められていいと思う。ユニクロがバカにされてディオールが讃えられる世の中なのかもしれないが、世界でディオールを着られる人の割合がどれくらいいるだろうか。ディオールの背広1着で廉売のスーツが50着は買える。庶民は廉売のスーツを着るのだ。廉売のスーツでもロブションに入店できる。
衣服は身を守るためのものだ。寒さや紫外線や衝撃や摩擦から身を守る。目的に合わせて洋服は進化し、実用性という点では軍服が最先端を行く。服の中に風を送り込む扇風機のついた作業服もある。とても涼しくて作業効率が上がるらしい。
本作品はエステルを肯定的な存在としているのか疑わしい。ディオールとかいうブランドに心酔するのは成金趣味と同じである。値段が高いことを自慢するのだ。エステルはそうではないと言うが、ディオールがフリース並みに安かったら納得しないだろう。もっともディオールのドレスが、本作品で見るほどの人件費をかけているのであれば、安くなりようがない。そこで疑問が浮かぶ。そんなに高額なドレスが必要なのか。金持ちの成金趣味ではないのか。
移民の子ジャドは、そんな趣味に反発する。エステルがどんなにきれいごとを並べても、結局は金じゃないか。美しいドレスを作っても、貧しい人々はそれを買う金がない。結局は金持ちが買うのだ。そして一度着て、飽きて捨てる。
エステルはドレスの行方にはそれほど興味がない。美しいものを作る。それが仕事だ。それで食っていける。素晴らしい。そういう考え方である。
価値は永遠ではない。ドレスは経年劣化で破れて朽ちる。人も歴史も朽ちていく。人類の存在のなんと虚しいことか。しかし人生や歴史を長い目で見る必要はない。過去はもはや過ぎ去ったものであり、未来はまだ来ていない。存在しているのは現在だけだ。若くて美しい肉体がドレスをまとえば、一体となって光り輝く。素晴らしいではないか、ジャド。多分それが監督のメッセージだ。
移民問題や難民問題を抱えるフランスの、移民や庶民の側から見た真実を、お針子の仕事を通して描き出そうとした部分と、人生に背を向けて刹那的な生き方をしていたジャドが変わっていく有様を描こうとした部分の両方がある。呉々も女同士のマウンティングの映画だと誤解しないでほしい。それなりに見応えはあった。
かなりの広範囲の知識を要求されるので注意かな。
今年87本目(合計360本目/今月(2022年3月度)29本目)。
なお、私自身は男性です。
このお話「それ自体」はフィクションとしても、フランスにおいてこうした仕事があること、また移民大国とされるフランスでこのようなことは起きるのも想定できるので、「フィクションではないが、準フィクションもの」ととらえることも可能かな…と思います。
とにかく求められる知識がかなり広く、かなりの知識量を必要とする映画かなと思えます。
{ オートクチュールに関すること … 6割(男性の私よりも女性より?)
{ フランスにおける移民問題 … 3割
{ フランスにおける、宗教・文化 … 1割(ハサミを落としたら手を洗うとか何とか)
「オートクチュールに関すること」は女性の方、特に被服科など出ていればわかるかもしれませんが、フランスは移民大国で、その部分も絡めて問うてくるので、かなりマニアックな展開が進みます(あれば有利な程度ではなく、最低限の知識もないと、まるで???な展開になる)。もっとも、この映画をとおして、「パリにおけるこうした文化の吸収」という論点があろうことは理解できる範囲です。
※ 「針子」はもちろん「祭り縫い」や「●番針り」といった語程度は知らないと、最初の1分で置いてけぼりにされるので注意です。
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(減点0.3) 「オートクチュールに関すること」は男性の方でも最低限学習していればわかるのですが、フランスは移民大国で、日本以上に難民・移民に関する考え方が違います。このことと、オートクチュール(というより、主人公エステルのアトリア)の話と混ぜたために、かなり理解が難しいかなと思えます。
少なくとも、「オートクチュールに関すること」だけでは6~6.5割の知識になりかねないので要注意です(普段から外国人問題にアンテナをはっていても、7~7.5割にしかならないと思います)。
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素敵な服を着て観れば良かった(泣く)
ファッション雑誌の映画お勧め欄に載っていたので観る気になった映画。タイトルも(オートクチュール)でディオールが舞台となればプラダを着た悪魔やクルエラみたいにキレイなお洋服がさぞかし沢山と思いきや、ディオールのアトリエの縫子さんのお話でした。お針子に向いている女の子をスカウトして自分の後継者にしようという中年女性と女の子の葛藤。最後はメデタシメデタシなんですが、中年女性エステルの(コートは表地はウール、裏地は絹、化繊なんてダメよ、)のセリフにグッときました。彼女はウェストの切り替えがキレイなコートにトートではなくて手持ちバックにハイヒール。王道の通勤服。流石フランス映画です。オシャレ!観ているこちらは仕事帰りでいつもの通販の(やれやれ)ワンピにガーディガン、化繊のトレンチでした。もっと素敵なお洋服で観たかったかな。ハウスオブグッチでも語られていた良いものは良い精神を改めて思い、星は4です。
【”伝承"ディオールのオートクチュール部門を統括する女性が、奔放だが天性の縫製技術の素養を持つ若き移民の女性と出会い、紆余曲折を経て、夫々の新しき道を切り拓く姿を描いた作品。】
ー 縫製をテーマとした映画と言えば、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ファントム・スレッド」を想起するが、今作でのハイファッションブランド、クリスチャン・ディオールのオートクチュール部門で黙々と働く女性達の姿も印象的だ。
シルクやモスリンの生地を裁断し、縫い合わせ一つのドレスを分業制で製作していく。
勿論、一品モノであり出来上がり近くになれば、モデルの女性が半裸になりながらドレスを纏い、裁縫士の女性達は細かい修正をしていく。
通路には、汗の匂いを消すために香水を振りまく女性が歩く。
そして、その全体を妥協なき厳しき目で見ているのは、定年間際のエステル(ナタリー・パイ)である。-
◆感想
・ハイソなエステルと、移民街の団地で暮らすジャド(リナ・クードリ:今、注目の女優さん)との接点は内容に見えたが、意外なところにあり、ジャドのスリ仲間がエステルのバッグをひったくる所から始まる。
- ジャドが、別の有色系の友人にエステルのバッグの中にあったネックレスをプレゼントしようとした際に、逆に咎められ、ジャドがエステルに返しに行くシーン。
ジャドの言葉遣いは粗いし、彼女の母ミュミュは”歩けない”と言って怠惰な日々を送る風景が描かれる。-
・だが、エステルは彼女の指使いを見抜き、自らのアトリエに招き、御針子の見習いとして働かせる。エステルとジャドは時に反発しながらも、距離を縮めていく。
- そして、徐々に描かれるエステルの孤独。彼女は縫製士として仕事に熱中する余り、娘との仲は疎遠になっていた。ジャドはその事実に気付き、自分の境遇と照らし合わせる。
ジャドの言葉遣いも多少、品よくなり・・、トオモッタラ・・。-
・オートクチュール部門には、意地悪なアンドレを始め、様々な女性が働いている。だが、エステル無しでは部門は成り立たない。ジャドは、同じ部門のアベルと恋仲になりながら、そして時にエステルの怒りを買いながらも、オートクチュール部門でなくてはならない存在になって行く。
そんなある日、糖尿持ちのエステルは階段から転げ落ち、手首を骨折。途方に暮れる部門の人々。エステルにとって、最後のショーの日が近づいていたのだ。
・ジャドは縫製士の楽しさに目ざめ、エステルを叱咤激励し、甘えた母親を一喝し、(私は、あんたの面倒を見るために生きてるんじゃない!ウワワ・・。)最後のショーの日を迎える。
- それまで、”歩けない・・”と言って娘に頼りきりだった母ミュミュは”自力で歩き始め”、意地悪なアンドレを皆が糾弾し(彼女にも事情が有るようであるが、上手く描かれてはいない。)無事にショーは終了する。-
<そして、娘の携帯に電話するエステル。”・・今度、会いに言っても良い?・・”
ジャドは友人達、母、恋人との距離を更に縮める。
そして、新年のお祝いをする移民街の団地の人々を見上げるエステルとジャドと友人達。
今作では”What a Wonderful World"(ルイ・アームストロングの曲ではない)が時折流れるが、エステル、ジャドを始め、それまでどこか鬱屈していた人たちが、ドレスを制作する過程で、新たな人生の第一歩を踏み出す姿が、印象的であった作品である。>
違和感
53本目。
昨日、ナイトメアアリーを観たけど、爆睡。
なので、ノーカン。
で、今日。
サクセスの始まりと終わり。
ちょっとした勝ち組みたいな感じが、ちょっと鼻に付くし、彼女を自身の娘と重ね合わせてるのかとは思うけど、展開の前と後にワンクッション足りない感じ。
その辺は読み解けば分かるんだけど、違和感が。
汗の臭い気にして香水シュッシュやるなら、タバコの臭いを気にしろと思ってしまう。
こんなに感情をぶつけ合うのがフランス社会?
アラブ系移民の娘ジャドは学生でもなく働いてもいない、盗み癖のある不良。ある日、ババアから奪ったバッグの中に、宗教上バチあたり的なネックレスがあり、周囲に意見されて返却しにババアの所へ。そこでババア、エステルが彼女の指先に才能を見い出し、ディオールのお針子にスカウトする。え?裁縫未経験な不良娘を一流の工房に雇うなんてあり得るの?
ジャドは感情のコントロールを一切しないので、エステルとも周囲とも怒鳴り合いばかり。なんだかんだ言いながら、職人としても人としても成長していくジャドなんだけど、怒って、もう辞めるとか、会わないとか言って飛び出してるのに、翌朝、普通に出勤の繰り返し??エステルは糖尿病なのに糖分取りすぎ生活を続けていた。ほんと死にたかったとしか思えない。
最後は2人ともほっこりハッピーエンドで良かった良かった。
オートクチュールってタイトルだけど、仕事はショーの為のドレス作りだけだったのが、ちょっと物足りなかった。けど、メインの話は生きていく事の大変さ。この前観たガガーリンもそうだったけど、パリの団地は移民系の下層階級の人達が住む所なのね。観てて1番考えさせられたのが、移民問題。差別や偏見やイジメって人類の難しい問題だ。誰もが平等に幸せな社会がくるといいね。
美しい布を見ているだけで幸せ
手や指を見ただけで器用でお裁縫に向いているってわかるのかなあ。コレクション直前は特に汗かくから匂い消しのために「ミス・ディオール」をシュッシュするっていうのも技術が必要だと思う。距離とか高さとか回数とか。アトリエに一人、攻撃的で差別的な言動をする女性が居る。有能なトップの指導力とチームワークが大事な職場なのにそういうのありなのかなあ。仕事の前に必ず手をきれいに洗うのは当然として、煙草吸っていいのかなあ。本数によるけれどあれだけ吸ってたら指先に色はつくし匂いも染み込む気がする。起床後にまずチョコ、朝食のコーヒーには砂糖3個、仕事場でもちょこちょこ飴を舐めてる。食生活ガチャガチャの糖尿病だってすぐわかる。
住まいがパリかそうでないかで層とリッチ度がわかる。団地に住んでるのは殆ど移民。「最強のふたり」「レ・ミゼラブル」などの映画でさんざん見てきた。移民と「白人・フランス人」の分断は凄まじい。
でも、美しい絹、オーガンジーやタフタやシフォンを見ると胸がときめき夢の世界に入ってしまう。見るだけでもいいけれど触りたい。触っているだけで幸せになる着物と同じ。形は「指帽子」の指貫は銀色で美しかった。運針が滑らかになるように髪の自然の油を使うのは日本と同じ(由利徹の最強のネタの「裁縫芸」!これは色っぽい!)。最初のお稽古はまつり縫いなのかー、勉強になる。
エステルは外出時は黒地にグレーの入ったコート、黒のパンプス、黒のバッグ。それが毎日、毎日、毎日。上等で気にいっているものだから毎日身につける。エステルにとってもディオールのコートは高価なもの。大事にするからこそ日々着用は理にかなってます。
母と娘の間によくある共依存、娘を省みない母親、母親に認めてもらいたい娘の葛藤もテーマになってたけれど、ごく軽く振りかけられたミス・ディオール程度でした。
イギリス人から"Language!"と叱られそうな言葉遣いでした。一方でハイブランドの王道はフランスよ、パリよと自慢している空気とか、フリースやナイキの悪口も言っていてフランス人の意地悪さを感じてしまった。
みんな沸点低すぎ
ディオールのオートクチュール工房の責任者に気に入られてその世界に足を踏み入れた若い女性と、引退間近の責任者の話。
地下鉄の駅でギターで弾き語り気を引いて、仲間にバッグをひったくらせたやさぐれジャドとひったくられたエステル。
後にカバンを返したけれど、この時必ずしも犯人とは判らない筈なのに暴言吐きまくりのエステルにちょっとポカ~ン。しかもめっちゃ口悪いしww
エステルは手を見ただけで器用かどうか判るとかムチャクチャな理由でジャドをスカウトするは、ジャドはなんの脈絡も無く突然仕事に楽しさを感じちゃうは、と結構強引な始まりだけど、フランス料理でいうところのシェフに期待され鍛えられる、センスだけはあるアプランティの生長と交流のストーリーという判りやすいやつですね。
まあフランス料理は関係ないけど、一応スーシェフがどうとか…ね。どちらかというと一昔前の板前的な職人気質だけどw
上品ぶってるけれど、ババァも根っから上品な訳じゃない…どころか実は下品だったり、ある意味フランス人らしい差別意識ややっかみを持つヤツがいたり、起伏の激しい気性の新人ちゃんだったり、がぶつかり交流し成長し打ち解けて、と単純明快だしここという見所があるわけでは無い割にはなかなか面白かった。
優しい気持ちになれました
フランス映画の特徴なのか、メリハリはなく、終始マッタリとした感じなのです。人種や階級差別、またタバコのシーンや、乱暴な言葉使いなどたくさんなのですが、何故か心地が良いです。
最後はちょっと嬉しい気持ちになれます。
昔ながらの典型的なフランスが苦手な人はお薦めしません。
ひと昔前のフランス映画かなぁ…。
しょっぱなから、ベタなシャンソンがかかり、ちょっと厳しい感じが漂う。
低予算であることはわかるが、ディオールというには、衣装の華やかさにも欠け、ショーなどで盛り上げるシーンもない。
ただただ、盗みグセのある娘ジャドと、引退間際のお針子エステルのふれあいと葛藤が描かれていく。
揉め事を起こし、アトリエを飛び出したり、エステルから「出ていけ」と言われるジャドだが、そのたびにエステルに連れ戻され、お針子の仕事を続けていくことになるが…。
ちょっと、中途半端ですかね。ラブストーリーもいらなかったんじゃないかと思います。
予告編にまとめたら、後はそれほどの内容はない感じの映画になってしまいましたね。
劇場でお確かめください!
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