劇場公開日 2022年3月25日

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「二人とも完璧じゃないけど幸せを願いたくなる」オートクチュール デブリさんの映画レビュー(感想・評価)

二人とも完璧じゃないけど幸せを願いたくなる

2022年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

年齢差もバックボーンも超えて女性同士が連帯する、好きな映画だった。ジャドもエステルもまったくパーフェクトじゃなく、バンバン問題行動を取るし暴言も吐くし性格がいいとは決して言えないんだけど、不思議なぐらい彼女たちの幸せを願う気持ちになる。仕事にはストイックな職人のエステルが、糖尿病を患っているのに甘い物を全然やめられないの、かわいいとまで思ってしまう。

性格がいいのはアトリエ副責任者のカトリーヌ。ジャドに最初からずっと優しいし、エステルのことも心からリスペクトしている。対照的に性格悪いのがアンドレで、移民いびりにこれでもかと精を出す。挙句、自分が意地悪してしまう言い訳みたいに、自分はみんなから好かれていないようなこと言うんだけど、そこでカトリーヌが返した言葉が「みんな、あなたを好きになりたいのよ」。あのセリフは秀逸すぎて、つるちゃんの「いじわる選手権」かと思った。

ジャドがトレーナーとかで普通に出勤しちゃうのを見てエステルが「醜い!」って言うところは、こちらまでウッとなる。大の大人が楽な服装、安い服装をして出歩いている率でいうと、日本って先進国で一番ぐらいなのではっていう気がして、とりあえず自分のことを反省した。ちゃんとヒールのある靴履いたりしよう……。

そうやって「美」にとことん厳しいエステルが、新年を迎える移民の団地のにぎやかな様子を見て「美しい」ってつぶやくの、ずるいと思うけど好き。ナタリー・バイ、よかったなあ。73歳ですってよ。

デブリ