劇場公開日 2021年3月12日

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「絶望的なvsタリバン戦に身を投じるセレブ2世と3世たち」アウトポスト 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5絶望的なvsタリバン戦に身を投じるセレブ2世と3世たち

2021年3月15日
PCから投稿

泣ける

怖い

興奮

四方を山に囲まれた谷底にあるアメリカ軍の前哨基地に、300人以上のタリバン軍が総攻撃を仕掛ける。2009年のアフガニスタンであった実話と聞いて、ちょっと耳を疑う。こんな自ら望んで銃弾の標的になるような、誰が見ても勝ち目のない戦いが本当に存在したとは!?しかし、だからこそ映画になったとも言えるわけで、事実を忠実に再現した戦闘シーンは、兵士個人の視点で銃撃戦を描きながら、それを画期的なロングショットで繋ぐなどして、終始気が抜けない戦争の恐怖を観客の鼻先に突きつけてくる。一瞬の判断で次の行動を決断し、それが即生死を分けることになる兵士たち各々に課せられた運命の残酷に、心を奪われる暇もなく。戦闘の過酷さに於いて、第二次大戦のヨーロッパ戦線を戦った米陸軍空挺隊、人呼んで「バンド・オブ・ ブラザース」(TVシリーズにもなった)を上回ると言われる米軍のvsタリバン戦を描いた本作は、描き尽くされたジャンル映画をさらに一歩前進させたのかも知れない。一方で、これはスコット・イーストウッド(クリント・イーストウッドの息子)、ミロ・ギブソン(メル・ギブソンの息子)、ジェームズ・ジャガー(ミック・ジャガーの息子)、そして、ウィル・アッテンボロー(リチャード・アッテンボローの孫)、スコット・アルダ・コフィ(アラン・アルダの孫)と、名優の子孫たちが俳優としての可能性に挑戦した、"セレブ・サバイハル・ムービー"としての愉しみも少しあることを付け加えておこう。

清藤秀人