少年の君のレビュー・感想・評価
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心揺さぶる傑作
誰にも気に止められず社会の暗闇を生きる若い2人が出会った。
境遇はまるで違うがどこか似たにおいを放ち、求めているのは金でも学力でもなぐさめでもない。
心を包みこむあたたかい素手のような愛の不在、それが共通点だった。
〝ドブに住んでいても星空を眺める者はいる〟その言葉を
何故チェンがノートに書き留めていたか理解した時、シャオべイの鋭い眼が穏やかな慈しみの色を取り戻す。
やりきれないかなしみを救うように沿うバリカン。
このシーンは2人だけに通じる痛みと彼のやさしさが溢れる。
静けさが心境の変化を際立たせ、鏡越しにみえる2人の空気を変えていくのがわかる。
かけがえのないものを知った者は本能にある守ろうとする力を目覚めさせるのだろうか。
前を向きだした2人に気がつく若い刑事は、学校で起きた冒頭の事件で担当した彼女を見守り続けた末、思わぬ展開で仕事の手柄を上司に褒められることになる。
しかし、刑事の心を掻き乱す何か。
彼の動揺は立場に消耗される人生を違う角度から問うのだろう。
重いハンドルでゆっくりと閉ざされていくドロアーが、栄光への切符に身を削る嵐のような時間を無機質な過去に押しやる。
この社会は、自分は、何を求めて突き進む?
我を保つ為に少しでも仕事を忘れようと眠るしかない刑事には、あの虚しい瞬間と重なる思いが少なからずあったと思う。
数年後、星は確かな光を彼らに届けていた。
彼女はこどもたちを救う立場で自身の経験を生かし、彼は相変わらず彼女を見守る。その姿は堂々とこちらをみすえる。
2人の出会いが結んだあの時代からの脱出の一歩と意志で変わる未来を感じさせるラストだ。
星空は眺め続ける者の〝希望〟をみはなさないのかも知れない。
固まった頬にたくさんの涙が落ち続けるエンドロール。
抜け出せない貧困のループ、いじめの仕組みの複雑性、罪悪感なき暴力の多様化、学歴にしばられる社会と狂う家族、栄光にすがり死にゆく時間への疑問など、作品を通してこんなに厳しい日々に生きる少年たちが現実にいることへの衝撃を隠すことはできない。
主演の2人の感性がスクリーンいっぱいに映し出す世界、知らずにいてはいけない世界。
傑作だ。
純愛映画
終盤、統一試験と同時進行で、いじめっ子の 死体が発見され、彼が容疑者となる。ところが、実際には彼女が犯人だったと言うまさかのどんでん返しがあり、それ以降ラストまで目が離せない展開となる。
冒頭、彼女は英語の教師となっているシーンがあったので、彼女は無罪とされ、彼が罪を被る彼の思惑通りの展開になるのだろうと思われた。この流れで行くと彼が殺人犯、最悪死刑となったらかなり後味の悪い映画になっていただろう。統一試験で良い成績だったことを母親とともに喜んでいるところに、刑事が現れ、彼が死刑判決となったと報告をする。それを聞いた彼女の後ろ姿、力の抜けた抜け殻となったようななんともやるせない気持ちがよく表れて、こちらまで泣けてきそうだった。
しかし結局、彼女は罪を認め、4年の刑期で出所して、大学に入学して、卒業後、教師になったということなのだろう。
いじめ問題がテーマとなっている映画だが、最後のほうの2人の相手を思う感情から見ると、まさに純愛映画だ。
感情を揺さぶられるすごい映画だった。
学校のいじめ問題提起の良作(感動仕立て)
この所余り心を動かされない作品ばかりだったので、久々に良かったです。
いじめ問題から事件、その後まで鑑賞後もスッキリさせてくれますし、よくあるパターンかなと思いきや何度も泣かされました。
ラストも感動です。
まだ続いてるんだ、アレ。
格好が好青年のソレ。
演出の上手さと、俳優の名演技、もちろん脚本の素晴らしさ。
役者が全員キャラ立ってる!
余韻が未だ続いてます。
最後の一コマは
鑑賞者に寄っては蛇足と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
僕も一瞬そう思いましたが、監督、製作陣は絶対必要だと思ったんでしょうね。
そこもよく理解出来ます。
また、この映画を通じて中国の受験戦争(日本に近いようでもっと深刻)、いじめ問題など知ることができ非常に興味深く感じました。
この作品で中国社会のイメージが僕の中で変わりました。
それは日本人として非常に共感できる点が多々あったからです。
後半、男性刑事さんが主人公たちの相手を思いやる良心を
ガクガクゆさぷる所はこの作品の大きな見所と思います。
観ている人はググッと引き込まれてしまうとおもいます。
特に最後の嘘は決定的でしたね。
絶対「えーっ」って言いそう。
いじめ問題のある種周知にもつながると思うので、特に若い方に観てほしいですね。
良い作品ですし。
観た方は是非紹介してほしいし、感想を知りたいな。
最初韓国映画かと思ってましたが、セリフが中国語で気づきましたが中国映画も素晴らしいですね!
今後も色々中国作品を見てみようと思います!
とても思いそれも現実
学校の中で起きている「いじめ」というものをテーマにした作品。
ある生徒が自殺をした。
それは、いじめ受けている事によるものだった。
その生徒が亡くなった事によってクラスで優等生の子が今度は、いじめの対象とされてしまう。
それは、また過激なものでいじめというよりも暴力でしかないかもしれない。
そんな中街のチンピラだった男に助けられる。
それを機に段々と仲良くなっていく。
どこかシンデレラストーリーの様でもあるが、それはとても綺麗なものではなく、どこにでもあるいじめをもっと現実的に受け止めるべきだ!というメッセージだと思う。
誰かが救ってくれる?そんなものを期待していては、いつまでも変わらない。
けれども、自分が抵抗する事で全てが解決するとも限らない。
どうしたら救われるのか?
誰が本当に味方なのか?
この主人公たちのの様にお互いを思いやる関係は、素晴らしいと思った。
だからこそ誰かに手を差し出したいと思う。
それには、自分が抱える苦しみを相手に打ち明ける所から始めないといけないのかもしれない。
自分とは、関係ないと言い切れない問題に対してものすごく誠実に作られた作品だと感じました。
痛々しさと信用できない感じと真実の不確かさと
いじめの壮絶な痛々しさで始まり,
仲間うちでターゲットがかわっていくことや勉強できるやつをじゃましたりすることなどを、たまたま重松清の小説を読んで知り恐ろしかったことを思い出し、これは見なくてと良い映画かな,とも思ったが、刑事もチンピラくんもカッコよく胡散臭く現実離れしていたのでおとぎ話としてみることにした。なんとも言えない後味。いやなかんじが残ると思ったら,中国映画なので、結局実話に基づいた話で、実際には本事件がきっかけでいじめに対する法整備が中央でも地方でも相次いでなされたと言う,国策宣伝映画に最後はなっており、街中の防犯カメラにもお墨付きと設置根拠が与えられたと言うオチつきだった。
子ども同然の若い二人が信ということを堅持してそれぞれに警察での取り締まりに臨むところがとてもよかった。
法は整備されても広い中国ほぼ閉ざされた学校という空間で、
日本と同様に、いじめられても傷つけられても暴力や勉強よを妨害されても、チェンの言う通り、誰が助けてくれるのか、いじめられてる方が疑われるのか、に尽きる。
それでも表面的であったとしてもいじめを防止じ犯罪として処する法律ができているなら日本より進歩している。
科挙のころから変わらない受験しシステム。勉強しないと良い人生おくれないのか。最低限の勉強教育は必要だが、そういう勉強じゃない方法で幸せになれる社会構成、多様性も必要だと思う。
教育も、真実も、そんなに信用できない。事実としての信実てはなく、この二人の信のような真実を生きたい。
映画としては閉じ込められた学校,社会、街、空間、立体的な街の撮り方も、演者も良かったけど最後プロパガンダ的であり5星にはならす。ら
絶賛されるほどでは…
受験やいじめはあくまで純愛のスパイス。クラスメイト以外は基本みな善人、教師も警察もきちんと機能している。そこがまず違和感。肝心の恋愛要素も純愛かといえばそうでもなく強いていえば中国風の純愛というべきか?主人公は徹底して不幸でそれが純愛を引き立てるが、物語構成もイマイチでなんか二次創作でよくありそうと思ってしまった
主演2人の存在感
「サンザシの樹の下で」の主演:チョウ・ドンユィが、その後活躍したのかなと気になって調べて見て、鑑賞。
悲劇的で重いストーリーというのは、意味なく描いても悪趣味になるだけなので、扱うのが難しいんじゃないかと思う。
それをアイドルグループメンバーとシンデレラガールが演じるということで、深みの無い悪趣味な作品になったしまうんじゃないかという先入観を持っていた。
現に実際見てみれば、いじめという大きな社会課題を描いてはいるものの、内容の主軸はラブストーリーになっていて、特に何かしらの問いかけを感じることはできなかった。
しかし、この主演2人の存在感が素晴らしく、演出がことごとくハマっていて、作品に深みを与えていた。
特に作中少しずついじめがエスカレートしていったり、少しずつ男の子に想いを寄せていく過程においてチョウ・ドンユィが見せている泣き顔や笑顔の演じ分けが本当に素晴らしかった。
「サンザシの樹の下で」で見せた力は健在で、その存在と表情を追っていくだけで、心から応援したくなり、周囲の人間に本気で苛立ち、映画にのめり込むことができ、また鑑賞後にも彼女の細かい表情を思い出しては作品に与えられた深みを感じる。
これはイー・ヤンチェンシーについても、印象に残る表情をいくつも残していて、演技力のポテンシャルを感じた。
結果として、非常に感動的なラブストーリーとして非常に質が高いと感じるに至った。
あと、強いて言うほどのことでもないが、ラストのナレーションだけ要らなかった。
まさに純愛
どこの国にもイジメはあるけれど、チェンニェンの通う学校のイジメはなんとも酷い。みていてとても辛い。ひとりの少女が学校で自殺したのに学校は何故もっと対処しないのか。新たなイジメの対象になったチェンニェンは偶然ケンカで殴られているシャオベイを助ける。そんなことから2人は会うようになるが、最初にシャオベイのバイクの後ろに乗るときはしがみついていないのに、話が進むにつれて距離は縮まり、自然とチェンニェンはシャオベイの腰に手を回ししがみつき、背中にもたれて安心した表情になる。そんな2人がとても微笑ましく見えた。
ある事件がおき、2人はお互いを思いやりある結論を出した。それでいいの?何やらしっくりこない結論。チェンニェンを見守ってきた刑事に諭されて真実が明らかになる。チェンニェンには試練だが、2人の将来を考えればもちろん正しいこと。
冒頭とラストの場面から、罪を償った後、しっかりやり直し、学校の先生になった様子。がんばったねチェンニェン!シャオベイとはどうなったのか気になるところ。きっと一緒にいると信じたい。
髪を切られてしまったチェンニェンを坊主にするシーン、シャオベイも自ら坊主にする様子、シャオベイの思いやりを感じてなんとも切ない。
いゃ〜中国にもこんなにすごい映画があるんだ〜!主演の2人も素晴らしい。
いじめは、なくならない!
お受験優等生学校のいじめの中にある友情、ラブストーリー。監督はデレックツァン。主演は、チョウドンユイは、丸刈りしても、キリと可愛らしいね。借金やお母さんとの暮らし、学校のイジメに疲れてる。究極の位置にいるチンピラにジャクソンイー。アイドルらしいね。なかなかのハンサムだ。内容は、厳しい。イジメ苦の自殺。借金。ひとり親。中国は学歴社会だから、皆飛び出したい。警察や学校はあてにはならない。
ラストシーンには、希望持っていいのかな?
守ってくれる君
『ドライブ・マイ・カー』が本年度米アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされて話題だが、こちら昨年の同賞同部門にノミネートされた中国/香港合作映画。
続くアジア映画の勢いと底力を知らしめてくれる、メガトンパンチ級の力作。
進学校に通う高校生チェンは、大学受験を控え、日々勉強に向かう。内向的な性格で、友達は一人もおらず。
彼女の学費を稼ぐ為、母はインチキ商売に手を染め、借金を抱える。母はずっと家を空け、帰っても借金の取り立てが来る家にいつも独り…。
そんなある日、クラスメートがいじめを苦に自殺。その死に同情を示した事をきっかけに、チェンが新たないじめの標的に…。
OPやEDのメッセージから分かる通り、本作は反いじめ映画。
日本だったら文部省推薦のお利口さん作品になる所だが、本作はそんな生易しいもんじゃない。
とにかく衝撃なのは、その凄惨ないじめ描写。
仲間外れ、除け者、陰口悪口なんてまだまだ甘口。それら精神的ないじめに加え、体育時間でのボール当て、階段突き落とし、窒息寸前の羽交い締め、髪切り、殴る蹴るの暴行…。
集団での襲撃、果ては執拗な追撃、ナイフまで持ち出し、明らかな殺意…。
もはやいじめどころのレベルではない。れっきとした犯罪だ。
しかもそれを、隠れコソコソ陰湿にではなく。時には大勢の前で堂々と。
そんないじめを加えるのは不良少年たちであったり、クラスの女生徒だったり。そのリーダー格がクラスの優等生女子。決まって美少女というのが殊更ムカつく!
まるで生き地獄。
何故、いじめの標的に…?
明確な理由は描かれない。ある日から突然に。
そうなのかもしれない。だって、いじめそれ自体が、無意味無益な事。
少数のいじめが大きく、国レベルになれば、大国が小国へ軍事侵攻する戦争だ。
愚かさと恥を知れ!
いじめだけではなく、作品が描くのはいずれも重く、苦しい。
異常なまでに過熱する受験戦争。
先生から、時には自分で、重圧的なプレッシャー。
合格=勝てば天国、失格=負ければ地獄。
いじめ女子もプレッシャーとストレスの捌け口としていじめを…? 他に無かったのだろうか…?
皆、自分の開かれた将来の事だけ。
いい人生を歩みたいのは誰だってそうだが、それが全てなのか…?
情け容赦無い競争社会。
その社会自体も問題だ。いつの間にかそういう図式にさせてしまった社会システム。
敗者には地獄が待っている。借金、ほとんど一生陽の当たる事の無い暮らし…。
社会の底辺で生きる人たちは浮かばれない。救いも希望も無い。
現代が抱える闇であり、病気。…いや、地獄そのものと言っていい。
格差社会という名の…。
…しかし、そんな世界にだって、一筋の出会いがあった。
ある日チェンは、集団暴行を受けていた少年シャオベイを咄嗟に救う。
片や優等生、片やチンピラ。が、シャオベイも母親に捨てられ、住む家すら無い独り身。
孤独者同士、いつしか心を通わせていく…。
日本の少年/少女漫画の設定のような“優等生女子と不良”。
が、日本映画に氾濫する非現実的キラキラ甘々ラブストーリーにはならない。
チェンへのいじめは日に日にエスカレート。受験のプレッシャーものし掛かる。
チェンはシャオベイにボディガードを頼む。
ボディガードという異色の関係。勿論当初は恋愛感情など無い。
孤独な者同士の秘密の関係。そこから始まった二人の物語。
そんな二人に一貫して、ハードでシリアスでスリリングな世の不条理が襲い掛かる。
二人の関係は公然の秘密。当然かもしれない。
優等生と不良。知られたら、受験の際に不利になる。
だから四六時中片時も離れず、ぴったり傍にいるという訳ではない。登下校とか、いじめの標的になりそうな時だけ。
さらに、肩を並べて歩いていてもバレてしまう。シャオベイはチェンの少し後ろに離れて位置する。
何だかこれが二人の関係性を表している気がした。もっと寄り添い合いたいのに、それが出来ない。
が、必ず後ろに居る。時折ストーカーのように見られる。
周りがどう言おうと知ったこっちゃない。安心しろ。俺はここに居る。
二人になった時だけ、二人は唯一距離を縮める。
面と面を向かい合わせたり、肩を並べて寝そべったり、各々の事を話し合ったり…。
ある時、二人でバイクに乗って街中を快走。
息苦しいと思えた世界が、こんなにも美しい。一時の心地よさ、幸せ…。
大きな望みなど無い。チェンが受験に合格したら、この街を出て他所の街で一緒に暮らす事を誓う。
ただ、それだけなのに…。
シャオベイはいじめリーダー女子を脅していじめを辞めさせる。
いじめは無くなったが、今度は別の女子が標的に。
その女子はチェンとシャオベイの関係を知り、自分も守って欲しいとチェンに付きまとう。
そしてある時、裏切り…。
シャオベイにも婦女暴行の疑いが掛かる。
全てチェンとシャオベイを離す巧妙な罠。
これまでにない壮絶ないじめ…いや、報復が加えられる。
ある日、いじめリーダー女子が遺体となって発見された。
婦女暴行の疑いがあるシャオベイに容疑が掛かる。
実は、殺害したのは…。
衝撃。
警察からマーク。
受験を終えたばかりで、このままではチェンの将来が危うい。
二人が下した決断。
それは死別よりもある意味悲しい決別…。
全ての罪をシャオベイが着る。犠牲。
そうすれば、チェンの将来の妨げにならない。
しかし、自分はどうなってもいいのか…?
いいのだ。こんな希薄な孤独の世界なのだから。
悲しむ者なども居ない。
…いや、居る。ただ一人、心を通わせた。
彼女が真実を打ち明ければ、シャオベイは救われる。
が、二人共、一切口を開かない。
それどころか、一切知りもしない、会った事もない、“他人同士”を貫き通す。
彼女の為に。彼の思いを汲んで。
どんなに警察から問い詰められても。
例えどんなに我が身が苦しくなろうとも。
暗黙の了解で、二人で決め合ったのだから。
いじめは罪。断固許されない。
かと言って、二人の行った事も決して正当化されない。してはいけない。
だが、社会や他人には分かるまい。
こんな世界で、唯一心を通わせた二人だけの関係。
“恋愛”など安直な言葉で言い表したくない。
勿論それも込め、さらにそれを超えた、あまりにも純粋一途な想いと想い…。
メイン俳優業の傍ら、監督としても活躍。高い評価を受け、“傍ら”などではない。確固たる実力監督。作品を見たのは本作が初めてだが、確信した。
これが監督3作目の若手監督とは思えない、デレク・ツァンの堂々たる演出力。
重苦しい題材を扱い、テーマを突き付けながらも、瑞々しい青春ストーリーとして見る者の胸を打たせる。
主人公二人が置かれた境遇、壮絶ないじめシーンなど、見るに耐えないくらい。が、決して目を背けてはいけない。監督からも激しく、純粋な思いを感じた。
全身全霊体現したチョウ・ドンユイとイー・ヤンチェンシーの若手二人。
ヤンチェンシーのアウトローな姿、生きざま。そこから儚い刹那的なものも感じさせる。
ヤンチェンシーも素晴らしいが、やはりチョウ・ドンユイに尽きる。
私も以前見た『サンザシの樹の下で』で、“中国13億人の妹”と呼ばれるチョウ。
同作では純愛という言葉がぴったりの純情お下げ髪少女だったが、あれから数年。
あどけなさは残しつつ、孤独や悲しみ、苦しみや一時の幸せを感じさせる佇まい、魅力。
彼女の存在あってこその作品だ。
彼女と少年の出会いあってこその作品だ。
3つの若き才能が弾け合って生まれた“奇跡”だ。
時として、社会は若者の純粋な思いの障害となる。
二人を追い詰める刑事。彼もまだ若手だが、二人からすれば大人。
決して二人を酷く貶めようなんて気はない。寧ろ、最善の道で二人を助けたい。
チョウへのいじめも気に掛け、いつでも頼っていいと言いながら、大人の不条理。一番助けて欲しい時に連絡が取れない。
結局はこんな社会の中の大勢いる冷たい大人の一人…。
が、彼が最後に計らってくれた場。
その時の二人の心底からの涙と笑みが忘れられない。
大人も決して、若者たちの思いを奪おうとはしない。
ラストシーンは人によって様々な解釈があると見た。
一応作品上では…
罪を認めたチェン。禁固刑を受けるも、いじめで減刑され、4年で刑期を終えた。
出所後、英語教師となったチェン。孤独そうな少女を気に掛ける。
一緒の帰り道。その後ろを、シャオベイの姿が…。
二人の関係が今も続いているような、一見ハッピーエンド。
中国では2018年にいじめ防止が条例によって定められた。
いじめを無くす。その代わり、ラストの不穏な監視カメラ映像から滲む、新たな犯罪への警鐘。いつまでも付きまとわれる“ストーカー”。
これはあくまで深読み過ぎた別の見方。
私はそんな背中に冷や水を落とされたような気持ちで本作を見終えたくない。
私の解釈は、間違ってると思うが…
あれ以来、二人が会う事は無かった。
だけど今、私がいじめから子供たちを守っている。
かつて、君がそうしてくれたように。
私はもう孤独じゃない。だって、私には、
後ろに今も居てくれる。守ってくれる君。いつまでも。
少女と少年の無垢な願い
いじめを背景に交わることのなかった少女と少年の物語。
学校という閉鎖的な空間が産む魔物の様な悪意に対して彼らがどう立ち向かうのか?
いままで育ってきた境遇の中で産まれた純粋だからこそ取れる行動。その行動に心を揺さぶられ、その決断に悲しみを禁じ得ません。
そして捜査する刑事もその重さを噛み締めつつも彼らの将来における心の平穏を願っての行動が胸を打ちます。ラストに映し出された2人の姿に、なんとも言えない喜びを感じました。
ずっと2人が忘れられない…
ずっと2人が忘れられない。
受験、貧困、いじめ…過酷な問題に飲み込まれながらお互いを守ろうとする一途な想いが胸に刺さった。
優等生と不良、孤独な2つの魂が灯す微かな光が愛おしい。
チョウ・ドンユィの佇まいとイー・ヤンチェンの眼差しに心掴まれた。
君は世界を守れ。俺は君を守る。
大号泣でした。
必ず後ろにいる。。
壮絶ないじめ問題、受験戦争、家族関係のひずみ。特にいじめ問題はSNSの普及もあって、その態様はより卑劣なものになっているのだろう。日本でもいじめ自殺のニュースが消えることはない。「いじめられる側が悪いのか。」「復讐をすればよいのか。」チェンに言葉をぶつけられて言葉を飲み込む女性刑事。いじめ問題に、私たち大人は何をすべきなのだろうかと考えさせられた。
とても辛いテーマで、途中からずっと涙が出た。チェンとシャオベイの2人の絆、警察の取り調べに口を割らずに2人がまっすぐカメラを見つめる視線には鳥肌がたった。2人が頭をバリカンで刈るシーンも、もう、耐えられなかった。。
主役2人の演技はみずみずしくて秀逸。チェン役の女優さんはアラサーと聞いて聞いてビックリ。シャオベイ役の俳優さんも、超絶イケメンだなあと思ってたら、アイドルだったのね。
静かに熱く育む愛
声が漏れそうなくらいに泣いてしまった。
いじめ問題について訴えている
自殺して亡くなった子に対して、他の生徒達がカメラを向ける異様な光景。
これは身近に起こっている、よく見る光景ですよね。
自分でもやってしまう時もありますが、、
自殺の光景でなくても、何かあれば(それがいい事だとしても)、すぐカメラを向けますよね。
少し考えてみた方がいいと思います。
向けられている人がどう思うか、向けている自分が人としてどうなのか。
この作品でSNSによるいじめ描写も取り上げられていますが、やはり嫌な物ですよね。
そんなことよりもチェンとシャオベイの関係性。
とてもピュアな関係。恋といえば恋。でも、直接的なシーンはあまりないのに、2人を見守りたくなるし、応援したくなる。
2人の現実は良くなることはなくて、むしろどんどん悪くなっているけど、2人の世界は2人だけ。
とくにグッと来たシーンは、バリカンで髪を剃ってあげて、自分もそうするというシーンと、留置場で再会したシーン。
どちらもほぼセリフがなくて、無言なのに2人の感情が痛いほどわかる。2人の関係がわかる。
特に留置場のシーンはどんどん2人の表情が変わっていって、最終的にぼろぼろに泣く。
2人のホッとしたような表情から笑い出して最後には大泣きする。
本当に良いシーンって、セリフなくても伝わるんですよね、
わたしはそんな映画が好きだし、もっと観たい。
コレコレ!こういうのが最高の青春映画だよ!!
痛々しくて切ない。これこそ青春映画!
●とにかく主演の二人がいい。女の子もかわいいけど美人過ぎないのがいいし、キャラが強い。男の子もイケメンだけど、無骨なのがいい。役にのめり込んでいるからかリアルな感情が伝わる。
●二人の絆の演出がよかった。警官に保護される瞬間を二人が引き裂かれるように見せたのが素晴らしい。取り調べ室でのやり取りも二人は離れているのに心が通じているのがいい。
●セリフがいい。ちょっとした返し方にもセンスを感じる。
●でも根底は丁寧、丹念に描いているからよりテーマが伝わってくる。現実世界でもいじめ問題は難しいと感じさせるのはこの丁寧な描写だからだ。
●あくまでいじめっ子を悪く描いたのは英断だな。テーマがぶれない。
単純に感動した!
クズから抜け出すためには、クズのルールに従わなければならないのか?
クズ(貧困・いじめ)から抜け出すために、クズ(受験競争)のルールに従う事を決めた少女と、クズ(不良)で上等と居直り、クズ(暴力)のルールに従う少年。この二人が出会う事で、クズ同士の連帯が生まれ、クズから抜け出す道が拓けていく。そこには、二人の間に生じたエンパシーの作用があり、真っ当に生きる事は可能だと信じる大人のオーバーラン気味の関わりがある。成長の物語であると同時に純愛の物語。
過酷な現実を直視し、それでも人間の善性を信じる糸を手放さない製作者の意志を感じる傑作。
物語は、序盤・中盤の絶望的な状況からは想像できなかったハッピーエンドを迎える。しかも、その美しい終り方に強靭な説得力が宿っている。素晴らしい。
〜僕が君を守るから
受験者数923万人による「高考」、狭き門を巡っての熾烈な競争。
北京大学を目指す高校三年生のチェン・ニェン(チョウ・ドンユイ)、不良少年シャオベイ(イー・ヤンチェンシー)、若い二人が互いを案じ想う姿が切ない。
繰り返される凄絶なイジメ、若き刑事との交流、終盤でのドラマティックな展開…嗚咽する少女、互いに見つめ合う瞳。見応えがありました。
ーused to be
映画館での鑑賞
重いテーマ
いじめ、格差、受験戦争、貧困とかもかな
かなりテーマとしては重めよね。パクリとか言われてるみたいだけどそのパクリ元しらないからそこは置いといていい作品だなと思ったよ。
一方は優等生、一方はチンピラ、ひょんなことから出会い惹かれあってというのが大筋の話だけど人の本質の話だなぁと思った。人の闇の部分としてのいじめやそれを見て見ぬふりしたりする残酷さ。そして光の部分のシャオベイの優しさや刑事さんのどうにか力になってあげようとするこれも優しさかな。チェンニェンとシャオベイは立場や境遇は違えどお互いがお互いを必要とするそんな特殊な形かもしれないけど関係って素敵たなぁと思った。だいぶ割愛するが、私は男だからシャオベイに感情移入して見ちゃっってて、好きな人があんな目にあったら復讐しようと思っちゃうよね。これも多分人の本質だし仕方ない感情なんだろう。
好きな人の為に殺しちゃったかと思ってたらそんな話と思ってなかったせいもあってか終盤まさかの展開でビックリ。最後には救いもあってほんとに良かったな。
2人の涙は痛々しく見えてつらくて苦しくてたまらなかったけど、あのあと2人で幸せになれたらいいなと、そうであって欲しいなと思った。
硬い? えっ、なにが?
同級生が校内でいじめを苦に飛び降り自殺をしてしまい、その亡骸に自分の上着を掛けるところを多数の生徒に撮られてSNSにあげられ、代わりにいじめのターゲットになってしまったヒロインは「13億人の妹」。シングルマザーの母親はあやしい行商で家計を維持し、出張で家をあけがち。しばしば、借金取りが押しかけてくる。進学校でも成績優秀なヒロインは北京大学を目指し、貧乏からの脱出を大いに期待されている。
もう一人の主役は味のあるイケメン。彼も離婚した母親に蒸発されて、ストリートチルドレンとして、チンピラに摂取される毎日を過ごしている。ある夜、彼が不良たちに囲まれ、カツアゲされて、ボコられているところに出くわしてしまうヒロイン。運命の出会い。不良たちはふざけ半分で二人がキスすれば、今夜はこのへんで許してやるとけしかける。意を決して、彼にキスするヒロイン。不良たちはそれを見て照れてしまい、あっさり二人を解放してしまう。助けられたお礼を申し出る彼にヒロインはボディガードを頼む。
いじめ三人組のボス役は親が高級官僚なのだが、複数の不良少年を雇い、対抗してくる。全国共通試験の数日前にヒロインを襲わせ、裸になれと脅し動画をSNSにあげたり、髪をハサミで切ったりと執拗な極悪非道ぶりをみせる。
嵐の夜、いじめ三人組のボスの遺体が工事現場の土砂の中から発見されることから始まる刑事サスペンスストーリーでもあった。
刑事役のイケメンは若いときの妻夫木聡にかなり似ていたが、彼女を守りたい気持ちと手柄をあげたい気持ちの間で揺れて、結局、懲戒免職になったとか、彼は実は成人だとか、彼は自白したとか、嘘をこいてまでして彼女に自白させることに成功するのだが、そこが実にいけすかない奴たった。
青春クライムムービーは好み。とくに男は少女を守って死のうと思った的なキャッチコピーの映画が私にはごちそう。13億人の妹に納得。日本も個性的な俳優をもっと増やそうよ。
ただ、最後が説教臭くて、シラケてしまいました。非常に残念。中国共産党がでしゃばってきた感じでございました。
学校にロッカーないんかいな
厳しい受験戦争の中、いじめに苦しむニェンがある日不良少年と出会い自分のボディーガードをして貰ううちに惹かれ合う話。
.
私は大学受験も高校受験もしてないから「ドラゴン桜」で得た知識しかないので、実際の日本の受験がどれぐらい過酷なのかは分からないけど、中国の学歴社会と厳しい受験戦争がしんどかった。
.
この映画冒頭の全員が大量にテキストが積まれた机に向かって勉強をしてる様は異様だったし、「栄光を必ずこの手に掴みます!」って生徒が全員で宣誓するのなんていかにも中国って感じ。
.
こういう志望大学に受からなかったらもう今後の人生終わりと切羽詰まった状況の中で親との関係、友達との関係などがこじれて、その先にいじめやニェンとシャオベイの選択があるんだろうな。
.
でもこの映画は北京大学に行けず、レールを外れてしまっても大丈夫という救いが最後にある。2人が面会室で微笑み合う時、レールを外れたのに1番暖かい瞬間だった。
.
ニェン役の人20代後半なのに全然違和感なかった。すごい童顔。
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