「少年のような君と俺は、同じ世界に生きる。」少年の君 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
少年のような君と俺は、同じ世界に生きる。
「ソウルメイト」を観て、この監督は高い頂きを知る演出家・・・そう思いました。
3年後の2019年作品は「少年の君」
2019年(香港/中国)監督:テレク・ツァン
「少年の君」は更に高い頂きへと登った・・そう感じます。
主演のチョウ・ドンユイは出演時30歳近い年齢。
なのに15歳に見えてしまいます(驚き!!)
進学高校の「イジメ」の標的にされる高三の少女チェン・ニェン(チョウ・ドンユイ)
熾烈なイジメに屈しないチェンは、偶然知り合ったストリート・チルドレンの少年・シャオベイ
(イー・ヤンチェンシー)にボデイガードを依頼する。
対価は「シャオベイに借りひとつ」
(たったひと言ノートに書く・・・それだけ)
物語は138分かけて複雑で美しく残酷な「詩・映像・音楽・演技」で、
チェンとシャオベイの「運命だった」というしかない物語を描きます。
あらすじ(ストーリー)を語ることは無意味に思えるのです。
なぜなら「イジメ」を発端にして、
貧困であり、
犯罪であり、
社会であり、
愛であり、
信じるに足ること・・・であり、
社会組織に抗うことで警察権力との闘いが生じて、
(2人は屈服したのかのように見える!)
しかしその結果として、
頑ななまでに少年は、少女を「守ること」
を、貫きます。
チェンを演じるチョウ・ドンユイ。
「13億人の妹」と呼ばれるそうです。
この映画では少女以下の性を感じさせない無臭の硬い果実。
「ソウルメイト」の主役の安生の女臭さとは真逆。
しかし運命に闘いを挑み屈服しない強さを、か細いか弱い姿で表現した。
シャオベイを演じるイー・ヤンチェンシーは、アイドルグループに所属。
不思議な頼もしさと複雑さを感じさせる少年でした。
中国政府に目を付けられない内容の映画ですが、
社会の病巣を暴き出すことに、
違いはないです。
過去鑑賞
ラストシーンにホッと息を吐きました。
コメントありがとうございます。映画は余計なことを考えず観たいですね。でも、どうしても気になってしまいます。ラストがなければ、演技も素晴らしいですし、いい映画だと思います。
昔から映画はプロパガンダに使われてきましたから、巧妙に中国マネーは入り込んでいると思います。ラストの教育ビデオのようなカットも、本来はいらないものだと思います。
そもそも香港で共産党の意に反した映画を撮れるわけもなく、デモをやっている最中に撮っている映画もあるので、なかなか恐いと思います。