「クズから抜け出すためには、クズのルールに従わなければならないのか?」少年の君 taroさんの映画レビュー(感想・評価)
クズから抜け出すためには、クズのルールに従わなければならないのか?
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クズ(貧困・いじめ)から抜け出すために、クズ(受験競争)のルールに従う事を決めた少女と、クズ(不良)で上等と居直り、クズ(暴力)のルールに従う少年。この二人が出会う事で、クズ同士の連帯が生まれ、クズから抜け出す道が拓けていく。そこには、二人の間に生じたエンパシーの作用があり、真っ当に生きる事は可能だと信じる大人のオーバーラン気味の関わりがある。成長の物語であると同時に純愛の物語。
過酷な現実を直視し、それでも人間の善性を信じる糸を手放さない製作者の意志を感じる傑作。
物語は、序盤・中盤の絶望的な状況からは想像できなかったハッピーエンドを迎える。しかも、その美しい終り方に強靭な説得力が宿っている。素晴らしい。
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