劇場公開日 2021年7月16日

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「党の宣伝があろうとも満点をつけたい」少年の君 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0党の宣伝があろうとも満点をつけたい

2021年7月29日
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鑑賞方法:映画館

不良少年と優等生の少女の恋愛って昔の少女マンガでは結構な鉄板ネタだった気がする。怖いだけだと思っていた男の子が実は傷ついてきた過去を持っていて、同じように傷を持つ少女と恋に落ちていくというアレ。とは言ってもちゃんと読んだことあるマンガはあんまりないから偏見とか先入観がかなり入っているかも。
でも、この映画を観ていたら既視感がすごかった。こんな話あったような…みたいな感じ。いや、それは悪い意味ではない。きっちりと物語には入り込んでしまったし、感情移入もしてしまった。
彼女たちがとった行動は全て正しいわけではなくて、感情のまま突っ走ったりもがいた結果だった気がする。それを若いからと片付けることなく全力で応援していた自分がいた。彼女たち2人が心の距離を縮めていく過程をまとめたシーンとか、一緒に撮った写真(そして最終的なその扱い)とか、キスシーンとか、最後に2人が言葉をかわすシーンとか、もどかしかったり、切なかったり、キュンキュンしたり、心が苦しくなったり。いじめてきたやつらの態度にはものすごい怒りを感じたし、大人たちの対応に誠実さを感じつつも無力感に陥るし…、結局心を揺さぶられまくったってことだ。「君は世界を守れ、俺は君を守る」なんてセリフ、気恥ずかしいはずなのに、きっちりとおじさんに刺さってしまった。
ただの恋愛モノではなく、いじめがテーマだし、クライムサスペンス的な要素もある。最後にいつものようにオラが党の宣伝が入っていたけど、それを差し引いても満点をあげたい。
これ、日本でリメイクしないかな。ジャニーズ抜きで。日本の前に韓国でやりそうか。

kenshuchu