劇場公開日 2021年7月16日

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「歩いてろ。いつもうしろにいるから。」少年の君 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5歩いてろ。いつもうしろにいるから。

2021年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

イジメ問題は、どの国や地域にも存在する。いじめる奴の思考は幼稚で、罪悪感の欠片もないのが始末に負えない。
貧困は、どの国や地域にも存在する。富は富を持っている者に集まり、貧しきはその窮地を抜け出せない。
イジメられる者と、貧しき者が、あるきっかけで出会う。お互いの傷を嘗めあうのではなく、相手を救うために自分の身を惜しげもなく差し出そうとする純真に、心が打たれる。それが犯罪であろうが、相手が救われるのならば、それは、自分も救われることだ、という信念のようなものがある。
イジメの現状の描写と言えば、いまだ30年近くの前の「人間・失格」(と言ってもこちらはドラマだけど)に敵わない。だけど、この映画の二人には、相手のためならどんなことでも、という犠牲心があって、それが画面から熱のように伝わってくる。「七月と安生」のチョウ・ドンユィが、またいい演技を見せている。中国は、このクオリティの映画を軽く作ってしまうような気がして頼もしい。

栗太郎