「文化の違いかはたまた。」少年の君 たこえびさんの映画レビュー(感想・評価)
文化の違いかはたまた。
前提として「こんなオチは見たくなかった!」との思いが根底にあるので、
フィルターがかかったレビューとなっていると思います。ご容赦ください。
あと中国ではどのように受容されているかわからないので何とも言えない部分が多々ある。(文化の違いかはたまた。というのはそういう意味です。)
さて、いくつか吐き出したいことがありますが
・テーマがぶれていた(いじめ問題とボーイミーツガール)
・このオチは嫌だった
・思想なのか?
という感じで書きたいと思います。
①テーマのぶれについて
最初と最後に「いじめダメ絶対」的な文章と映像が流れるので、一番書きたいのはそこ。
かと思いきや、貧困と成功、入試絶対主義、少年少女の絆と愛、自己犠牲…みたいにテーマの柱がたくさん出てきてしまっているんですよね。一番伝えたいものが何か分からなかった。
やはり「いじめ問題」だとしたら、それは失敗だったなと思います。
だって最終的にそれを解決したの暴力じゃん。
暴力ではいじめ問題は解決しない!みたいな逆説的な啓蒙がしたいのであればもう少しやり方があったと思います。
ここらへんテーマが少年少女の絆と愛だとしたらしっくりくるんですよね。(でもあのオチは納得できない・・・!)
②このオチは嫌だった
マジでこれ。良い悪いではなくノットフォーミーです。
一人が光を浴びる代わりに、もう一人が罪をすべてを背負って闇を行くみたいな関係性めちゃくちゃ大好きなんですよ。(罪を背負う彼に対する罪悪感を押し殺して生きていく光の住民っていうのも)
なので、いじめ女(サイコパス)の死亡発覚から取調室の「これから知り合いだな」まではマジで最高でした。これがおれの観たかったものなんだ…。
一転、アレですよ。
なんでバラしちゃうかな~~~~~!!!!!!! です。
あの時点でもう気持ちは「すん・・・」となってしまいました。
だって裏切りじゃん!世の中をよくしたいという気持ちどうしたの!彼の覚悟踏みにじってるじゃん!!!! という気持ち。
理解はできるんですよ。あの流れが好きな人もいるでしょう。
でも納得は出来ない!!!
③思想なのか?
これですが、↑で書いた主人公がゲロする場面で
善良な人間を装った警察の彼が、噓をついて、規則に違反して、ゲロさせようとしますよね。
ここに「国家権力の嘘」は正当化される、という思想を感じてしまいました。
日本においては正当化されないこと/許されないこと(フィクションであることはおいといて、証拠として認められないはず)ですが、
かの地では正当化されるのかなーなんて。穿ちすぎですかね。
逆にそういった政権の批判であると捉えることもできるような気もしますが。
とまれ、嘘を貫き通して、それを背負って生きていってほしかったぜ・・・。