サンドラの小さな家のレビュー・感想・評価
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つまらなかった観客の雑感 + 日本のこと
真面目でハートウォーミングな作品ながらも、ビターな風味が入っているところは良かった。
しかし、「DVからの逃避者が自分で家を建てました」というのは、因果関係からしても、居場所を特定されるリスクからしても、リアリティに乏しい無理筋な展開に思われる。(だから映画になるのだが。)
また、DVそのものを扱った作品ではないし、DV男から逃げ出した後の話としても、映画「ジュリアン」ほど興味深い作品ではなかった。
不幸なDVと幸福なDIYという、全く無関係なテーマを、ショッキングなラストで結合して見せた着想がすべての映画だと思う。
他にも不自然なところがある。
司法の場で、顔のアザや末娘のパニックを、初めから訴えなかったのは、なぜなのか?
裁判官が、サンドラの告白で態度を変えた(ように見えた)ことも奇妙だ。そんな情緒的な場所なのか?
エンタメとして成立させるために、“逆転劇”を仕組んだとしか思えず、興ざめした。
エンタメにしたいのなら、初めはDVのフラッシュバック映像は出さず、次第に事実が明らかになっていくような法廷サスペンス形式にすべきではないか?
アイルランドは日本と異なり、とりあえず双方の言い分を公平に扱うシステムになっているようだ。
一方、日本では、将棋棋士の橋本八段が、妻が子供を連れて出て行ったことで、廃業に追い込まれた。
日本の裁判所は「母親かわいそう」という前提しかなく、母親の証言を鵜呑みにして、一方的な「連れ去り」を許容しているとのことである。
本作品では、観客は真実を知っているから良いが、一般的には、第三者の勝手な臆断は慎まなければならないだろう。
良い意味で裏切られました
この作品を観ようと決めた時点で想像していたのとは違う形の、もっともっと深い幸せが描かれているように感じました。
愛情、真心、信じる心、ひたむきさ・・・に惹きつけられて人は集い、力を貸してくれる。
それは目に見えない、誰にも奪われる事のない「彼女自身」の財産なのだと思わせてくれる、遠くにかすかな希望が見えるような良い作品でした。
こうでなくちゃ!
夫の暴力に苦しむ女性サンドラ。2人の娘を連れて家を出るが、待つのは先の見えない暮らし。。そんな中、娘の話がきっかけで、自分で家を作ってしまおう‼となるが…といった物語。
当然、家が簡単に建つはずもなく、問題は山積み。それでも、親切な人達が少しづつ集まり、念願の家建設が始まっていく。
こんなうまい具合に助けてくれる人って現れる!?…と思いつつも、行動するからこそ奇跡も起こるのか。皆も2人の娘の為に頑張るサンドラに心を打たれたのでしょう。
法廷のシーンも見所。サンドラを励ます先生の言葉に涙‼後ろめたいことはあっても、真実に勝る正義は無いですよね。…ってかその前に、あの旦那、普通に勝ち目なんてないんじゃないかとも思ったけど。大人の世界はそう単純じゃないのか…。
その他、助けてくれる皆さんも魅力的。思うのは、この人達も色々な問題に悩んでいるというのは想像に難くないっていうのがね、苦しみを知るからこそ、無償の供与ができるのでしょうか。
特に先生。サイドストーリーが見たい。アシュリンの隠れ家(だっけ?)、説明されていましたっけ??
そして母さん…、ある意味、全部持っていきましたね。今彼女は何を思うか。。
とにかく、それぞれ立場も性格も異なる親切な人が沢山のポカポカする作品だった。
サンドラだけでなく、皆で建てた家ですからね。涙が物語っています。新たな決意を感じる表情も◎
一つだけ挙げるならば、クレームのお隣さん。正直彼の気持ちはよくわかるw
出て来るの良い人ばかりだし、どうせなら…手伝った方が早く終わるんだろ?とか言って協力してくれたらムネアツだったのに(笑)
あ、あとBGMのセンス、最強。
こんな時期だからこそ響いた
題名、予告からなんとなくストーリーは予想がついていたけれど試しに観てみた。
先入観を打ち破って、この時期だからこその人の温かい心、諦めない心に感動した。
音楽もよかった。
映画はやはり良いな。
メハルの精神、そして「家」を持ちたいという気持ち
DV夫から逃げるために、自らの手で家を建てる女性の物語。雑にまとめるとこうでしかないのだけれど、計算され尽くしたハートウォーミングなドラマだった。「計算され尽くした」というとネガティブな印象を持たれるかもしれないので使うのを躊躇うが、そうとしか言いようがない、巧みに組み立てられた脚本と演出、演技、更にBGMまでも見事な構成だった。
夫からの激しいDVに、幼い娘二人を連れて逃げたサンドラ。しかし生活基盤のない、恐らくは専業主婦であったろう彼女にとって、公的補助はあれど子供二人を抱えての生活は厳しい。
そんな中、娘が組み立てていたブロックの家を見て、自分で家を建てることを思いつき、ネットで検索したところ、まさにうってつけの図面と建て方をレクチャーするサイトを見つける。ただ家を建てるには土地がいる。放置された公有の空き地を見て回って溜め息をついているところに、雇い主の医師から土地を提供するとの申し出を受ける。
雇い主の医師オトゥール先生、建築業を営むエイドとその息子フランシス、パブで働く同僚エイミーとその同居人たち、ママ友ローザ、みんなサンドラの誠実でひたむきに生きる姿に共感を覚え、サンドラの協力してほしいという依頼を快く引き受けてくれる。
エイドは言う、これは「メハル」だと。
アイルランド古来の伝統、皆が助け合う精神を「メハル」というのだそうだ。いい言葉だ、と思った。
細かく見ていくと語りたいものがたくさんあるのだが、特にいいシーンだなと思ったところが二つある。
一つは、元夫との間で娘の親権を争う法廷に向かう時、サンドラの左目のあざを隠すコンシーラを拭い取り、サンドラはこうでなくては、と勇気づけるオトゥール先生改めペギー。どうやらこのあざはメイクではなく、サンドラを演じるクレア・ダンが生まれつき持っているもののようだ。実際、あざを隠さずに生きるということが、サンドラの、演じるクレアの強さを現している。
もう一つが元夫の母親、つまり元義母との会話。彼女はずっと、画面の隅で何かを言いたげにサンドラを見つめる姿が描かれていたが、ラスト近くでようやくその重い口を開く。正確に言えば彼女が思いを吐露しただけなので独白なのだが、長年抱えた苦しみを告げる口調が、忍耐の日々を思わせる疲れ切った姿と相まって痛々しい。
他にもオトゥール先生がどうして相談してくれなかったと詰め寄るシーンや、何度かの逡巡の後エイドが助力を引き受けてくれるシーンなど、語りたくなる場面の多い、良い映画だった。
そして、観終わって改めて考えてみた。「家」というのは、常に家族が安心して暮らせる場所なのだ。DVに遭い、逃げ出しても常に生活に追われ、家賃補助があってホテルで暮らしていてもずっと心が休まる場所ではなかったサンドラにとって、娘二人との安住の場を求める気持ち。わたしにはそういう経験がないから完全には理解ができないけれど、サンドラが家を求める気持ちは分かる。彼女たちが何にも邪魔されることなく安心して暮らしていけることを願ってやまない。
フランシスがよいじゃ無いですか
ポンコツチームが活躍する話は大好物です。
ちょっと、多様性を気にし過ぎているように見えるけど、本職の俳優かは存じませんが、フランシスが出ていて良かったよ。
日本ではある意味隠されていくけど、フランシスは安全靴履いて仕事をして、ビールも飲むし、気の利いたことも言う。でも、特別な存在じゃ無い。他の作品もこうであって欲しいです。
「37セカンズ」の佳山明とか、「ドレンディドラマ」とかにガンガン出ればいのに
まあまあだった
家を自作するノウハウを楽しく知ることができるかと思ったら、深刻なドラマが展開され、ノウハウはあまり語られない。主人公の、タダ働きの親切な人たちへの態度がひどくて、あんまりだ。お礼は結局ビールだけなのではないか。家が燃やされたまま終わって、いくら子どもが明るくてもやりきれない気持ちになる。
DVの元夫の対決 + 家を建てる話 + 隣人のありがたみの話
「3万5000ユーロで建てられる小さな家の設計図を提供する」という建築士の話をネットで見て、自分で建てようとする話がプロットの大きな柱の一つです
3万5000ユーロって450万円くらいみたいです。450万でも大きなお金ですが、これで小さくとも家を建てられるなら安いですよね
でもそれは建築に必要な材料の費用、ということみたいです。土地は別
まず書類申請が通らないといけない。映画では詳しくは出てきませんでしたが、建築の資格がある人が監督しなければならないのでしょう
そして土地があって申請が通って材料を揃えたとしても、実際に家を建てる技術がある人がいなければできません
いろんな道具も必要。そして実際に作業をする人手が必要
みんなで家を建てている様子はなかなか楽しいです
ただ、家の建物は出来ても電気はどうするのかなあ。ガスは? 上水(水道)と下水は?
住める家にするにはそこが大変だと思うのですが、そのあたりはあまり触れてなかったのが少し不満かな
そんなこんなの家を建てる話でもあるのですが、プロットを進めるいちばんのメインはDVの元夫との話でした
===!!以下、軽いネタバレ含むので、未見のかたは飛ばしてください!!===
手を骨折?するほどの暴力を受けて、子供二人を連れて離婚した女性が主人公です
ある女医さんの家の清掃の仕事とパブの清掃の仕事をかけ持ちしているが、収入が少ないので住める部屋が見つからない
市の福祉で一時的なはずのホテルの一室での生活が続いていて、公営住宅も何百人待ちの状態で順番までまだ数年はかかりそう。(それで家を建てることを思いつく)
DVの元夫とは完全に縁が切れればいいのですが、娘たちの父親ということで毎週末に子供たちと面会させる取り決めになっていて、会わざるを得ない
元夫はあれだけ酷いことをしているにも拘らず「僕たちが離れ離れなのは子供達のためにもよくない」「僕は変わろうとしている」とかそういう甘言を弄してヨリを戻そうとしてくる。その一方で、下の子供が父親と会うのを嫌がると「お前の躾が悪いからだ」「お前が悪い話を吹き込んで会わないようにしているんだ」とか言いやがります
かつての暴力で酷い肉体的および精神的な苦痛を受けているのに、その元夫と定期的に会わなければならない苦痛。刺激して怒らせないよう、嫌がる素振りは見せられないし、子供にもそういうことは悟られないようにしなければならない。接触禁止のはずの元夫が、仮住まいのホテルに現れたときの恐怖。そして何もなかったかのように優しい素振りをして復縁しようとするのに、上手くいかないと彼女をなじる
そういう状況のツラさがよく描かれており、この映画のメインはそこだと思いました
((英語だとこういう人のことを manipulative personと言ったりしますよね。直訳すると「操作的な人」ですが、自分の責任には一切認めずに、巧妙に相手に罪悪感を持たせたり心理的な弱みにつけ込んで、他人を意のままにしたり利用するような人。そういう元夫が上手く描かれています))
あと三番目の話の軸は、人の人情ですね。家を建てるには土地も必要だし、建築の技術や知識のある人も必要だし、人手も必要
それほど深い仲でもない人たちが徐々に手伝ってくれる話の展開は少し都合よすぎる感じもするし、日本人なら申し訳なさすぎて頼みづらいと思いますが
それでもダメ元で頼んでみるし、頼まれた方も気軽に手伝ってあげたりするのはアイルランド的互助精神・人情ということらしいので、良しとしましょうw
女医さんは準主役ですが、その他の色々な脇役の人たちも皆おもしろそうな人物な割にはあまり掘り下げてないので、その辺りの話をもっと増やしいればまた別な、より楽しい話になったでしょうね
ただ上記のとおり、本作の話のメインはDV夫との対決となっているので、致し方ないでしょう
===!!以上、軽いネタバレ終了!!===
総評としては
DVの元夫との対決が話のメインなので、そういう話は見たくないという方には向かないと思います。物理的な暴力場面が多く出てくる訳ではないです。ただ本当は顔も見たくもない元夫に子供を会わせるために何度も会わなければならない
ただそういう人間のありさまを見るのも勉強になりますし、全体に暗い話ではなく、家を建てているところは楽しいし、脇役の人たちも上手だし、そんな話なら見てもいいという方にはお勧めできます!
もっと助け合っていこうよ
主人公の苦境も周りの方々の優しさも分かるが、いくらなんでも甘えすぎでは?と考えてしまうのは日本的な自己責任論に毒され過ぎているのか…
もっと助け合っていこうよ、ということなのかもしれないが。
生きる力の象徴としての「家」
DVを受けたシングルマザーのお話。
いくつかある同様のお話と違うのは、
「家」がテーマになっているところでしょうか。
ラストの展開にびっくりしました。
義理の母のお話は胸詰まるものがある。
負の連鎖の重さ。
逃げられなかった母と逃げられた主人公の差は、
時代の違いでしょうか。
家づくりに参加してくれる仲間があれだけ集まるのは、
都合がいいなと思って見ていたけれど、
参加することで得ていたものが各々にあったようで、
こちらはプラスの連鎖になっていた。
人が集まって助け合えば結果的に自分も助けられることを意味するメハルという言葉が印象的でした。
どれだけ隠れて、、、
私は、この映画を見て、正直家を建てる過程とかどうでもよくて、このコロナ下、どれだけの大人が、「家で隠れて子供を傷つけているのか」という事例の暗示だと受け取りました。
おうち時間が増えました。
良い方にとれば、それは素敵な時間です。
でも、そうじゃないお家だってあるはず。
大人は、いつだって忙しければ自分のことしか見えません。知らず知らずのうちに子供を傷つけます。でも、大人も人間だから、それが悪いことだと気がつくこともあるだろうし、自分のことで本当に精一杯になって、分からなくなってしまうことだってある。それは分かってる。
でも、大切なのは、サンドラのような、子供のsosにしっかり気がつくことができる大人の存在ではないでしょうか。
法律は、あくまで基準。それがあるから成り立つことはたくさんある。けれど、それだけでは通用しない、「ハート」の動きがあります。
【”メハルと言う、アイルランドの共助の精神が、心に響く・・” 幼き二人の娘との安住の地を創るために奮闘するサンドラと”「メハル」の精神”を持つサンドラを支える人々の姿が印象的な作品。】
ー ”皆が集まって助け合えば、助けた自分も救われる・・。俺は今まで大した仕事をして来なかったが、今は良い気分だ・・”
大工のエイドが完成間際のサンドラ(クレア・ダン)の家を前に言った言葉である。
サンドラの家をたった3万5千ユーロで建てる事に協力した仲間たちの顔が、皆、誇らしげだ。
可なり心に沁みるシーンである。ー
■感想
・サンドラは、愚かしきDV男ガリーと結婚して、10年目。二人の可愛い娘もいる。だが、冒頭描かれるのは、ガリーによるサンドラへの激しい暴力シーンである。
ー 非常に不愉快になる。上の娘に”ブラック・ウィドウ”と告げ、警察に告げるよう送り出すサンドラ。下の娘は、窓のある小さなクローゼットに隠れ、父親の所業を怯えた表情で見ているのである。PTSDになってしまうだろうが!、と思いながら鑑賞。ー
・二人の娘を連れ、家を出たサンドラ。だが、アイルランドだけではないだろうが、公営住宅の空きはなく、仮住まいの家として提供された部屋も住める状態ではない。仮でホテルに住み、昼夜清掃作業やパブのアルバイトをするサンドラ。
そして、週末になると二人の娘を迎えに来るガリー。この男は実家に戻っているようだ。俯き加減の母親の姿。
ー 何故に、接近禁止令が出ないのか! 何故に毎週末、DV男の実家まで、サンドラが二人の娘を送り届けているのか! アイルランドの法制度が、実の娘に暴力を振るっていなければ、接近禁止令を出せないのか・・、サンドラが被害届を出していないのだろう・・、と中盤のシーンから推測。
サンドラの母が長年仕えていた、ペギーの態度も、最初は良く分からず・・。モヤモヤするなあ。ー
・ペギーが、自分の土地の一部を貸し、そこに家を建てる事を許可するシーンから、物語は進み始める。ガリーを知っている大工のエイドやパブの同僚や、移民の女性達の協力の元、家は着々と出来上がって行く・・。
ー 協力者たちが集まって来るシーンをもう少し、丁寧に描いて欲しかったなあ・・。けれど、皆、社会的弱者だろうという事は、分かる。そして心優しき人たちであるという事も・・。ー
・サンドラが、昔の優しかったガリーの事を思い出し、涙を流す姿。
ー 未だ、未練があるのかなあ・・。あんなに酷い事をされたのに・・。それで、被害届を出さなかったのだろう・・、と推測。ー
・DV男ガリーの裁判所への親権申し立てのシーンも、可なり苛苛しながら、鑑賞。
ー ガリーの弁護士の言い分に対し、サンドラが言い放った”事実”のシーンで、少し留飲を下げる・・。
それにしても、ガリーは精神的に問題を抱えているのではないか・・、と思い始める。ー
◆ガリーの”許されざる行為”の後、ベッドに臥せるサンドラにガリーの母親が申し訳無さそうに言った言葉。
”あの子は、全てを失った。長い間、世間には出て来れないだろう。小さい頃から、父親の私に対して振るってきた暴力を見て、
”夫は妻に暴力を振るっても良い”
と思ってしまったのね・・。私は我慢してきたけれど、貴女には自由な世界が待っている・・。”
<サンドラは、幼き娘と暮らす家をどんな妨害があっても、何度でも建てるだろう。独りではなく、共助の精神を持った心優しき人々と共に・・。
彼女は、自分自身の強き意思を、自分の力で取り戻したのだから・・。
作品構成の細部の瑕疵が少し気になるが、サンドラの家を建てる時の、”メハル”の心を持った人々の爽やかで、誇らしげな表情と、夫のDVに屈せずに、戦うサンドラの姿がとても印象的だった作品である。>
DVクソ男(女)は撲滅すべし
ポスターが美しく、ずっと観たかった作品。
2児のシングルマザーが自分で家を建てる話だが、その背景には元夫からの過酷なDVがあった。
本作はDV、パワハラ、モラハラ被害者たちの心の傷やトラウマなどがリアルに描かれている。
弱者に対する社会や法律の不平等が浮き彫りになり、改めて弱者の生きづらさを感じられずにはいられない。
世間は弱者たちからきちんと耳を傾け真実を見れているのだろうか。
ラストのまさかの展開には衝撃を受けるが、これはこれで良かったのかもしれない。家は無くなったが、大切な大切な娘たちが居てくれる。原題にあるように“自分自身を立て直すこと”である。
ラストのDVクソ男の母の登場で再確認したことは、負の連鎖を断ち切ることは簡単ではないこと。
そして、人生何があるかわからないからこそ、女性は結婚しても子どもを産んでも、可能な限り仕事は続けること、女性こそ自立することの大切さを痛感した。(もうそんな時代ではないけど、今でも専業主婦に憧れる女性が少ない割合ではあるがいると聞くので)
サンドラの雇い主であり、土地を提供してくれるペギー演じるハリエット・ウォルターが素晴らしい!包み込むような包容力、彼女の人間性が溢れていて何度も何度も彼女のセリフに涙した。
一緒に家を建てる仲間たちも良い人ばかり。少し描き方が雑ではあるが90分なら仕方ないですね。
家とはどんな物か
人が生活する上で基本且つ大事な「衣食住」の「住」についての物語。
DV夫に耐えかね娘2人と家を出るも、行く宛がなくホテルで仮暮らしをするサンドラ。
公営住宅はなかなか順番が回ってこない。
そこで自分で家を建てることを考えつく。
なんてパワフルな人なのだろう。自分のことは自分で、と動ける人は魅力的だ。
だけれども、もちろん1人で家を作れなんてしない。
しっかり頼れる人には頼る姿勢も良し。
土木関係のおじさんに"この国に見返りなしで協力する奴なんていない”と言われたけれど、やっぱりいるんだよね。
もちろんギブアンドテイクがあるから、世界は成り立っているんだろうけど、それだけの世界じゃ寂しいじゃない。
協力してくれる人が少しずつ増え、心躍る音楽とともに完成に近づいていくサンドラたちの家。
その間間に元夫から受けた癒えない傷が差し込まれ、うまく物語としての波があり観ていていい緊張感があった。
ラストは何というか個人的には日本映画っぽいなと言うのかな。
悪くはなかったけれど、そうしましたかって感じだった(笑)
日本タイトルは"サンドラの小さな家”。
物理的には確かに小さな家でも、その存在は大きく、
普通に生活ができてしまっている自分に「住」について考えるきっかけをくれました。
#28 築くのは家じゃなくて自分自身
邦題だとサンドラが自分で家を建てるのがメインのように見えるけど、原題の『Herself』が示すように、家を作り上げることで自分のアイデンティティと周りとの絆を築いてくお話。
住む家も頼る人もいなくて、収入も低くて子供たちだけが生き甲斐のサンドラ。
子供たちのために家を自分で作ろうとすることで、周りの人達との信頼関係が生まれ自身も強くなっていく様子がわかりやすい。
それにしても暴力夫が彼女にあそこまで執着する理由は世間体のため?
日本の場合収入がなくても母親が親権を得る場合が多いけど、アイルランドはどんな暴力夫でも子供に手をあげなければ親権が得られるのね。
論理的だけど心情的には理解できません。
【頭の痛い問題】
改めて、ドメスティック・バイオレンス(DV)が、世界的な問題なのだと認識させられる。
日本でも、凄惨な事件のほか、コロナ禍の下でDVが増えているように報じられているが、子供に対してはもちろん、配偶者への暴力なども迅速に取り締まれるような体制づくりは喫緊の政治課題だろう。
僕らからしたら、この家を建てるストーリーは、ちょっと出来過ぎ感はあるが、これがアイルランドの「メハル」という伝統的な協力し合う試みからなのであれば、なんか良い国だなと思ったりもする。
最後の事件は、更にDVの闇を濃くするが、それをも乗り越えようとする親子や周りの人のモチベーションは応援したくなるだろう。
※ ところで、菅義偉が、「自助、共助、公助」の順に…などというが、ほとんどの人は、自助も共助もしているのだということが理解できていないのかと考えたりする。
安倍もそうだが、学業をおそろかにして政治は家業だと言ってる人間や、上昇志向だけの人間に日本国の首相などやらせてはいけないと心の底から思う。
※※ ところで、最近、映画のレビューとは関係のない、特定のレビュワーに対する批判を繰り返す書き込みを見ることが多くなっている。
退会したユーザーとなっているところから考えると、アカウントを開いてから批判を書き込んで退会するヒットアンドウェイ方式だ。
内容は、不正をして共感数を水増ししているというのだが、対象のレビュワーがユーザー名を複数回にわたって変えているとか、こんなことを許容している映画.comからレビュワーが他の映画SNSに流出しているという記載も、既に消去された書き込みにはあった。
不正という批判はいかにも曖昧だが、おそらくは、Twitterの捨て垢のような複数のアカウントを保持して、自身に共感を繰り返しているというようなことだと思う。
もし、そんなことがあるなら、直ちに止めるべきだし、止めさせるべきだし、モラリティに依存しても変化がないのだとすると、映画.comは、セキュリティを最大限に強化して、電話番号と紐付けるような措置を講じるべきだと思う。
Twitterは、その辺はかなり改善してると思う。
ユーザー名を晒されているアカウントには気の毒だけれども、誤解を受けて、あちこちに書き込まれるよりは良いのではないのか。
多分、もう既に多くのレビュワーは、この事態を認識しているし、この映画.comという老舗の映画SNSから、他のSNSにレビュワーが流出しているのも事実だと認識もしている。
既にキャッチアップできるような差ではなくなってしまっているが、映画.comの存続意義にも関わることだと思うから、対応を考えてみたらどうかと思う。
DVから逃れ貧困に喘ぐ母親の決意を見守りながら、容赦ない社会の非情さからも目を逸らさない凛とした人間ドラマ
台はアイルランドのダブリン。夫ガリーによる暴力に耐え切れず二人の娘を連れて別居したサンドラ。市の福祉制度は脆弱であてがわれた郊外のホテル住まいは職場からも遠く、住宅を借りようにも民間のアパートはボロいのに高家賃、公営住宅に申し込もうとしても内覧すら長蛇の列。そんな中サンドラは低予算で自分で家を建てるというアイデアを思いつき、彼女がハウスメイドを務めている家の家主ペギーや、DIYショップで知り合った大工のエイドといった友人達の援助を受けて週末にコツコツと建設作業を進めるが、サンドラを見つめる世間の目は冷たく様々な妨害に晒される。
温かみのある感じの邦題に騙されましたが、これはかなり辛辣な人間ドラマ。『家族を想うとき』にも通底する容赦ない貧困に健気に立ち向かう親子と彼女達を支援する人々の絆を優しく見つめながらも、親権を守るためにはDVに耐えたことすらデメリットになってしまう絶望的な状況や痛々しいDVそのものも容赦なく描いているので、終始曇天のダブリンの街に微かに灯る希望の灯が鮮明に映えます。アイルランド映画なので著名なキャストは一人もいませんが、短い尺の中でそれぞれが印象的な演技をさりげなく披露していて、地に足のついた演出が深い余韻を残す印象的な作品となっています。
家を建てる
よりも、旦那のDVから逃れるための経緯が中心で、怒っていたものとは違ったかな?最後に家を再構築する前向きな感情だけで無く、もっと大勢の協力を得て家も人生も立て直す感じで終わって欲しかったです。
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