「作り方が少々残念」アンテベラム つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
作り方が少々残念
クリックして本文を読む
面白い仕掛けのある作品だったと思うけれど、作品自体はそこまで面白いとは思わなかった。
というのも、構成のバランスがおかしかったのかダラダラと間延びした作品に感じてしまったからだ(実際に間延びしているわけではない)。
まず、作品冒頭の過去パート(便宜上そう呼ぶ)が少々長い。
言葉が現代的なことや、身なりが現代的なこと、摘んだ綿花を燃やしていたりと、過去パートの違和感は多いのだが、これが仕掛けなのか作品の出来が微妙だからなのか判断出来ず、ただ黒人奴隷が酷い目に合っているのを見るだけになってしまっている。
言い換えるならば、数ある違和感は映画的都合やその他の理由で整合性が取れてしまい「何かあるぞ」というサスペンス的楽しみが生まれなかったのだ。
例えば「ゲット・アウト」なども大枠では似たような仕掛けの作品だったと思うが、序盤の違和感はもっと露骨で、「確実に何かある」と感じさせてくれた。だから怖いのだ。
一方本作は、この怖さがイマイチ生まれない。スリラーなのにスリリングに感じないのだ。
さすがに後半パートになればスリリングさも生まれるわけだけれど、その頃にはもうネタは割れたも同然になってしまうし、先がどうなるかは既に見ているわけで、何だか盛り上がらない。
現代パートと過去パートをもっと織り交ぜながら、共通する人物を少しずつ見せていくなどの工夫が欲しかった。
タイムパラドックススリラーだと認識していたのに全然現代にならないし、現代になったらなったで割とすぐにタイムパラドックスではないことにも気付けてしまう。せっかく面白い仕掛けなのに勿体ない気がした。
コメントする