「納得の構成」アンテベラム Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
納得の構成
本作はホラー映画としてではなく、人種差別をテーマとした社会派ミステリーとして鑑賞するべきだろう。ジョーダン・ピール製作の作品は毎度人々に巣食う差別意識を徹底的にまで洗い出した内容の物だが、それを改めて具体的に表したのが本作なのだろうか。
まず、本作はネタバレ厳禁である。それを知ってからと知る前では、明らかに衝撃度が変わってしまうから注意が必要だ。
「ゲット・アウト」や「US/アス」の様に、複雑な物語の構成で最後に衝撃を与えるような作品とも違い、映画としての基本的な部分を省略することで観客が感じることの出来る衝撃を用意している。少々日常シーンの尺が長く、こちらが期待した様な急展開が中々描かれないのがもどかしいが、油断をしていると最後の最後で大きな衝撃を喰らうことになる。
設定としてはあり得ない事かも知れないが、平和ボケした我々日本人とは程遠い生活を送っている人々がいるのは事実だ。これまでも多くの人々が様々な形で迫害を受けている。本作で描かれる強者と弱者の扱いの違いや圧力は、それらのほんのごく僅かな部分に過ぎないだろう。そんな事を考えさせられる様な稀な作品だ。
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