「構成の妙、Say your name! の意味」アンテベラム カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
構成の妙、Say your name! の意味
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事前情報は何も仕入れず、しかしながら何かしらのどんでん返しがあるとは思いながらの鑑賞だったが、恐らく多くの人が仕掛けに気付いたタイミングで自分も気付いたのでは、と思うほどしっかりと騙された。
ヴェロニカがホテルのフロントでレストランの予約を頼んでいる時に途中で電話を取られたり、レストランでは回収した食器が積んであるワゴンのすぐ横のテーブルを案内されたりと、「現在」においても少なからず差別はあるという状況を見せ、前半シーンは南北戦争時代の「昔の話」であるようにうっすらと思わせるミスリードは効果的で何気にうまいと思った。
どんでん返しのあるストーリーはそれがわかった時に、あーあのシーンはこういうことだったのね、という箇所が沢山あるほど気持ちよく、また面白くなるのだが、逆に言えば全てのシーンがその1点のためのものとなってしまい、作品として必要な厚みのようなものを若干欠いてしまうという危うさもつきまとう。
本作は人種差別というテーマも助け、シンプルにもかかわらずさほど薄めの印象は感じられなかったところが良かったと思う。
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カツベン二郎さんのコメント
2021年11月10日
当初、焼きゴテされるまで名前を言わず抵抗し続けている事に違和感があったのですが、勝手に名前を付けられるというのは人間の尊厳を真っ向から否定される最も屈辱的な行為なんですよね。
全て現代に生きる生身の人間たちの話ですが、未だに南部の上院議員達は皆差別主義の白人票で当選した人達ばかりというイメージがありますが、米国でもそんな感じなんですね。