「やっぱり面白い」アンテベラム kekeさんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱり面白い
南北戦争跡の観光地の裏に、黒人を奴隷にする場所が生きていたという話。
表面的には真正面から黒人差別に焦点を当てている。
あらすじ
↓
人権活動家の黒人主人公が白人に超嫌われている。
誘拐される。
白人たちの奴隷にされる。他の黒人たちも囚われている。
白人からスマホを奪って助けを呼ぶ。
脱出する。
文章で書くと淡々としているが映像で見ると全く違う。
誘拐の事実は後半まで明かされず、当時の南部の状況をそのまま再現した場所だったので、我々から見れば「過去」と認識するが、後から唐突にスマホが登場して「現代?」となり、奴隷もスマホの触り方を知っているし、「この奴隷ってリアルタイムの主人公だったの?」と一驚。
エンディング後は一つの都市伝説を知った気持ちになってレビューに書きたくなるので、映画として成功している。
この監督は黒人が好きなのか嫌いなのか度々疑問を持ってしまうが、
その答えは今後も知らないままでいたい。
社会が問題視しているテーマをホラー混じりの娯楽にしているだけで、
それ以外に訴えるものを感じない。
「人種差別って根深いな」とはなったが、
「人種差別って悲しいな」とはならなかったので。グリーンブックとは違う。
黒人が陵辱されている様子を黒人の観光客が間近で見物しているシーンとかあっても良かったのでは。
こんな映画を作る監督自身もそれを見て満足する観客も白人と同じ。
そこに気づいて苛まれた人は自分への釘刺しとして低評価を付けるかもしれない。
でも決して黒人を差別するつもりじゃなくて、題材がそれだっただけ。
たまたま黒人が娯楽対象になっただけ。
黒人の嗚咽とシンクロな動きとピッツィカートがとりわけ白人より似合うだけ。
この映画で何をどう深刻に考えたって何も解決しない。
自分が黄色人種のプランテーションに連れて行かれたときに考えればいいのだ。