「アメリカ史(南北戦争)に関して知識がないと混乱する部分もあるかも…(説明入れてます)。」アンテベラム yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ史(南北戦争)に関して知識がないと混乱する部分もあるかも…(説明入れてます)。
今年161本目(合計225本目)。
この映画、ジャンル的には色々分類できると思うのですが、おそらく、人権問題を背後に扱ったのではないか…と思えます。
もちろん、ホラーものと見ることもできるし、アクションものと見ることもできるし(ラストあたり)、複数の解釈が可能です。
※ 原題の Antebellum は「南北戦争前の」という意味の形容詞です。
現在(2020~2021)も、アメリカの人種差別問題は解消していないどころか、抱えている問題は人種問題だけではありません。男女同権の問題もあれば、身障者差別や職業差別、さらには宗教対立など言い出せばきりがないところです。現在ではこれらを全てまとめて「インクルージョン」(お互いへの理解)として理解していこうという流れが主流です。
お話は主に現代アメリカ(上記の問題を抱える)のほか、南北戦争とが描かれます。後者はそれこそ人種差別が現在よりさらにひどかった状態ですが、映画内でも描かれているように、「白人と黒人」という対立構造ではなく、さらに白人の中でも「貧乏白人」「裕福白人」という概念があり、カースト制度のような様相を呈していたわけです(もちろん、当時も女性の人権はあまり意識されていなかったので、それだけではない)。
主に登場する現代アメリカと、南北戦争のアメリカでも、差別との戦いでもありました。またこの映画では主に白人と黒人との対立が描かれますが、それだけではありません。太っている方や教育が足りていないと思われる方、異宗教と思われる方など、色々な方が(特に現代アメリカを描くシーンでは)登場します(表立っては登場しないが、ちゃんとわかるようになってます)。現在のアメリカは、コロナ問題も考慮しながら、こうした問題に取り組んでいるのであり、日本もまた同じような問題を抱えているところであり(もちろん、南北戦争に相当するものが日本にあったかどうかなど、細かい部分は異なる)、このような映画で人権問題に関しての理解が深まれば…と思いました。
なお、本国アメリカ作の映画である事情から、南北戦争の一部の描写が常識扱いされており、説明不足な部分はあります。それについては下記でまとめておきます。
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(減点0.2) やはり映画全体の筋として見た場合、人権意識を高めようという趣旨と見るのが妥当であり、ただそれだと映画館に足を運ばないので、アクション要素を入れたりしたのだとは思います。一方でアメリカ本国の作品で、南北戦争の記述など「本国で常識扱いされている」部分はどうしてもあり、日本公開で最低限の知識がないとやはり混乱する要素はあります(ただ、「最後の決闘裁判」ほどではない)。
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▼ アメリカの南北戦争について(1861~65)
・ 黒人奴隷に対して比較的寛容であった北部軍と、それに対して厳しく対立していた南軍とが戦った戦争です。アメリカ初の大きな戦争と言われます(歴史的経緯を見れば、当然)。
▼ 「ミリケンズベンドの戦い」 → 1863年に起きた小規模な戦いで、正直、大辞典クラスでないと載っていないです(日本では、およそどの私立でも世界史でこれを出せば、悪問奇問扱いされる)。戦闘自体も小規模で、南北戦争自体も短く、他に扱う戦いは多いので、正直優先順位は低いのですが、突然登場するので、知識がないと???状態になります。
▼ プランテーション → 南部では黒人奴隷の扱いがひどく、映画内で描写があるように、主に綿花栽培に従事させていました。この取り分も白人であったのですが、上記で述べた通り、白人の中にも階級があり「貧乏白人」「裕福白人」というような階級があったため、全ての取り分が領土(ここでは、プランテーションの農地の土地の範囲、という意味)の白人の取り分ではなかったようです。
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