ブックセラーズのレビュー・感想・評価
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そりゃあ、好きな本とジャズと猫がいれば、至福の時間が過ごせるでしょう!な作品ですw
前からちょっと興味のあった作品を鑑賞しました。
柏の「キネマ旬報シアター」は良作を上映する、割りと好きな映画館。
都内の映画館が殆ど休館とあって、柏に足を運んでの鑑賞です。
で、感想はと言うと、割りと良い。
心地好い時間を過ごせた感じで結構好きかも。
どんな世界でもコレクションの対象となる物は無限にあって、それこそ人の興味をそそれば収集対象にならない物はこの世に無いと言っても過言でないくらいに収集癖の闇は暗く深く果てしないw
その中で本は比較的安易に収集対象となりうる物で本を1冊も持っていないと言う人は多分皆無に近いかと思われます。
でも、普通はコレクションすると言うよりも家で好きな本をじっくり読む為に買って集めると言う動機かと思うので、最初から読む目的ではなく、集める目的の人は少ないかと。
また、本の本来の意図は読む為の物なので、集める為だけに購入すると言うのはなんだかなぁ~と思ってしまう。
それでも収集する、したい気持ちは分かる。
キャッチフレーズには「本に魅入られた人達」と書かれてましたが、本の収集に取り憑かれたと言うのが正解かもw
読む事よりも、本の文化を残そう!としながらも収集に全てを賭け、いろんな本を集める。ブックハンターと言うのがまさしく正解。
でも、いろんな本があって、人間の皮を使っての装飾カバーにしているのなんて、「馬鹿と天才は紙一重」を地で行く感じw
これは本か?と言う様なのもあったりに興味津々になったりして、「まんだらけ」や中野ブロードウェイ、神田の古本屋の住人をもっとこじらせた様な人々ばっかりw
でも、楽しそう♪
好きな本に囲まれて、ジャズを聴きながら、コーヒーや紅茶、時折ウイスキーを飲みながら、傍らに猫がいるなんて、ここは天国か?と思ったりしますよねw
そんな憧れに触れられる様な作品です。
でも!満点ではないんですよね。
苦言を言うと、中盤辺りから割りと同じ事の繰り返しの様になってて、結構中弛みがする感じ。
なので、99分の上映時間が結構長く感じたりします。
最初はジャズのBGMとコレクションの世界を楽しく観られて、良い感じなのに、後半から本の定義とコレクションの定義の物凄く細かい所に話が入っていく。
「自分の好きなモノを他の人も知ってもらいたい」「自分の好きなモノを語りたい衝動」の典型的なマニアの悪いクセが出ているw
もっと様々なジャンルの紹介やライトな部分、それこそアメリカのマンガの単行本や中国や日本の本について紹介や、本にまつわるもっとマニアックな事をしてくれてたら良かったのにと思ったりします。
例えば、ブックカバーと言う文化は日本特有の物と聞きますし、新刊等でついている推薦文の書かれた「オビ」や「コシマキ」と呼ばれる物だけを売買している業者もいると聞きますが、やっぱりそういう眉をしかめながらも聞きたくなる様な本の雑学なんかも聞きたかったなぁと。
多分、本に触れた事が無い人は皆無かと思いますが、それでも昨今の電子書籍化で出版業界はかなり苦戦していると聞きます。
本を読むと言うのは好きな方ですが、やっぱり以前程購入はしなくなったし、電子書籍やネットで読めるなら、ある程度の物なら、それに越した事はないかなと思います。
でも、やっぱり好きな本は購入したいし、揃えたいと思う衝動はあります。
ミニマリストに憧れながらも収集癖は多分にあるので困ったものですw
でも、本を読むと言うのは様々な世界や自身の知らない文化や知恵に触れたり、感化されると言う、ある意味崇高な文化交流かと思うのですが、行き過ぎた収集は本の本来の意味や意図、意義をちょっとねじ曲げている様にも感じる。
かと言って、情報だけを知れば良いと言うのなら、それこそ電子書籍やネットで十分ですが、個人的には電子書籍やネット本で情報を読んだのを「本を読んだ」と言う風には感じられない。
この辺りは個人的に動画配信サービスでの映画をスマホで見て、「映画を観た!」と言うのには些か抵抗があると言うか、なんか納得が出来ないのとよく似ているかも。
映画は出来れば映画館で観る事、少なくともある程度の大きさのテレビやパソコンの画面で観ないと映画を観たと個人的には思えないんですが、まぁ個人的な勝手な解釈と拘りに過ぎないのも重々承知ですw
本を収集するのは良いとしても、大前提は「読むもの」なので、行き過ぎた収集や過大な価値付けはなんだかなぁ~に感じます。
劇中でも語られたネットの登場で古書や希少本の市場は良くも悪くも大きく変わったと言うのは大いに頷ける。
先月公開された「騙し絵の牙」でも同じく出版業界の事をテーマにして、ラストでは物凄い高額ながら、話題の本を出しましたが(あっちの作品のネタバレw)、ああ言う本が後にコレクターアイテムになるんでしょうねと観ている時に思いましたw
公開時期がちょっと被っているのがなんか面白いですよね。
年々縮小傾向で本の需要が少なくなり、町の本屋さんが無くなりつつあるのはやっぱり寂しい。
本を読む時間は掛け替えの無い時間と言うか、自分には好きな時間の過ごし方でもあるので、改めて本を考えさせてくれる作品。
ドキュメンタリーなので淡々と語られる作品ですが、時折「分かる分かる」と頷ける思いにも共感。
ラストで辛口のオバチャンが「本を絶対に貸さない。何故なら『絶対に返すから。』と言われても絶対に返って来ないから」には笑いました♪
大事な本を返さずに天国に召されたのか、デヴィッド・ボウイw
この辺りの描写と言うか、演出をもう少し中にも入れてたら、肩の力を抜いて観られてたのは惜しい。
でも、なんか、良い作品を観た気になるw
本が好きな方には結構お勧めの作品なので、興味があれば如何でしょうか♪
終焉に向かう世界
本を“モノ”としてコレクションする欲望は、自分には理解できない。
もちろん、豪華な装飾写本までいかなくとも、見事な“挿絵”があれば別だ。それは、文と絵が一体となった“美術品”だからだ。
しかし、「初版本」など集めて何になるのだろうか?
この映画は、題名通り、純粋なコレクターの話ではなく、目利きディーラーの話に終始する。扱うジャンルは、人それぞれだ。
彼らもまた、本という“モノ”を愛するコレクターの側面をもっているようだ。
だから、彼らの“独特の感性”に触れることはできるが、本作を見ても、純粋なコレクターの“ディープで狂った世界”を、あまり垣間見ることはできない。
そこがつまらない。
ただ、ディーラーの話なので、その方面での面白い情報を、いろいろ聞くことができる。
・絵画のオークションとの違い。本は絵画とちがって、他人にみせびらかす“戦利品”になりにくいこと。印刷物なので、よほどの「稀覯本」でない限り、一品モノでもない。
・最近は「初版本」などより、手稿や手紙、本への書き込みなど、“資料”としての価値が注目されていること。ダ・ヴィンチの手稿などはその典型だろう。
・ブックカバー(ジャケット)が、アートとして扱われ始めていること。
あるディーラーがぼやいていたが、基本的に市場は狭い。
インターネットの登場で、中古市場も様変わりしている。
読書を愛する人も減っている。中身を知らずに、本という“モノ”を愛することもできまい。
映画のラストで語られる通り、多様化しないと、終焉に向かう世界のような気がする。
本が好き、と言うよりは…。
【本の”ラビリンスワールド”に自ら身を嬉々として投じた人々。本好きには、興味津々のドキュメンタリー。ビル・ゲイツさん、お金の使い方、分かってるなあ・・。】
ー 今作に登場するブックハンターたちは、ブックディーラーであったり、古書店主であったり、個人コレクターであったり・・。だが、皆、本をビジネスとして扱いつつも、本への愛情が半端ない人たちである。
彼らが、本に対して語る時の、生き生きとした表情と言ったら・・。ー
■感想
1.今作は、本を愛してやまない人達が多数登場し、本への想いを語るが、一方では電子書籍の流通に危惧を抱いていたり、ネットで”簡単に”希少本”が変える状況を嘆いていたりもする。
ー アナログだと言われればそうだが、矢張り本は自ら本屋へ出向き、数ある本棚の中から面白そうな本を探すのが、正当であると思いたい・・。ー
2.今作で扱われる本は、多種多様で、
・モロッコ革(マロカン)、子牛のなめし革(ヴォー)で装丁された数々の革装本であったり、
・「不思議の国のアリス」の手稿本であったり、
・ジャンキーなマガジンであったり、
・”白鯨”の初版本であったり、
・署名人のサイン本であったり、
・”華麗なるギャツビー”の装丁付きの本であったり、様々である。
そして、時流によって様々な本の値段が変わる事などを、観る側は知るのである。
3.ナチスや、毛沢東による焚書のシーン。
一昔前までは、女性がブックセラーの世界に入る込めなかった事も描かれる。
ー 本を燃やすとは実に愚かな行為である。けれど、文化の精神は燃やされないぞ!と思う。ー
4.絵画のオークションのシーンは偶に観るが、本のオークションの風景は鹿島茂氏の幾つかの著作で読んだことはあったが、映像では初めて観た。
そして、ビル・ゲイツがレオナルド・ダ・ヴィンチのレスター手稿を、史上最高額の二千八百万ドル!で競り落とすシーンも・・。
<上記に記したように、一部の人は本の電子化により、紙の本が無くなることを危惧している。
だが、一方では”本は生き残る!”と明るい顔で、主張する若い女性ブックセラーの言葉も紹介される。
いずれにしても、本好きには夢心地の時間であった。>
個性豊かな古書店主とコレクター達、古書に魅せられた人々の金言がパンパンに詰まったとにかく楽しい99分
世界最大規模の書籍市、NYブックフェアに集う個性豊かな古書店主とコレクター達が語る古書に魅せられた人々の実態を綴ったドキュメンタリー。書籍に限らず何かに取り憑かれた人達というのは魅力的ですが、マンモスの標本付探検記等の希少な大型本を取り扱うソフトボール狂のデイヴ、父から引き継いだアーゴシー書店を切り盛りするジュディス、ナオミ、アディナの三姉妹、米国版お宝鑑定団的な番組で全国的な知名度を持つ若手ブックセラーのレベッカ・・・本作に登場する人達もとにかく皆チャーミング。皆それぞれの理由から本の魅力に魅せられて古書の世界に飛び込んできた人達。ビル・ゲイツが史上最高額で競り落としたダヴィンチのレスター手稿から二束三文の奇書まで取り扱われる本も様々、それらを求める人もまたそれぞれに歴史を持っている。書籍の中にも外にも無限の世界が広がっていることが本に憑かれた人ならではの圧倒的な蘊蓄とユーモアで嬉々として語られるのを眺めているのは至福のひとときで、何度も温かい涙を流してしまいました。
一方で急速に変化する世界の中で本が果たす役割も様変わり、丁寧に装丁された紙の書籍に代わって電子書籍が台頭、古書の売買もネットで簡単に出来る時代。そんな時代の変化に対する考え方も人それぞれで、この世の終わりが来るかのように悲観する古参の古書店主もいれば、多様性が尊ばれる世界に変容しようとしている今だからこそ古書の存在に新しい意義が与えられ様々なアイデアが湧いてくるのだと快活に笑ってみせる若手もいる。形あるものであるが故に失われるものもあるけれども、それでも彼らのような変わり者が元気に跋扈している限り古書店の灯は消えないという希望が、彼らが一堂に介したダイニングテーブルの上を飛び交う陽気な会話の中にはっきりと見えます。
とにかく楽しい99分ですが、そこに辛口のユーモアをドンとのっけてくるのが本作のガイド役を務める作家のフラン・レボウィッツ。彼女が要所要所に放り込むコメントが痛烈で場内に観客の笑い声が何度も響きました。そしてエンドクレジット後にも彼女がとっておきのネタをブチまけるので最後まで席を立ってはいけません。
そして本作に纏う軽快で優雅な雰囲気をさりげなく盛り上げるのがジャズのサウンド。その繊細な響きは映画館の音響だからこそガッツリ堪能できるものですので、是非とも映画館で鑑賞して下さい。特に読書家の方には猛烈にオススメします。
本好きの端くれとしては見逃せない作品
ニューヨークのブックフェアを中心に、ブックディーラーたちを追ったドキュメンタリー。
本好きの人たちって、洋の東西を問わず似たようなものだな、と思った。わたしも端くれの端くれもいいところのブックコレクターなので、ああ分かるわその気持ち、と頷き通しだった。
本という媒体は歴代の所有者の思いをすべて載せて流通される。とにかく本を集めたいというコレクター、資料として必要な研究者、中身にこだわる愛好家、それぞれ本の扱い方も読み方も違う。だから、本を見れば、特にその本が長年様々な人の手を渡ったものであれば尚更、これまでの所有者がどのような思いをもってその本と向き合ってきたかが年輪のように積み重なっているものだ。
そして、本の愛好家たちはその積み重ねまでを含めて、本そのものを愛している。汚れているならそれなりに、この本は大事に扱われなかったのだなと労るし、どんなに大事に扱われようと経年劣化で痛むものだから、様々な修復手段も開発されている。
映画は、本のディーラーや収集家、書店経営者などを中心に、それぞれがどんな思いで本と接しているか、これからの本の行く末についてどう考えているかなどをインタビューで聞き出している。見えてくるのは、それぞれの思いは違っていても、皆「本」というスタイルで形作られた商品をこよなく愛しているということ。同じ本好きとして立場は違えど共感するものが多かった。
本を取り巻く状況が将来どうなっていくのかという部分については、考えさせられることも多かった。作中でも、ウェブの登場によるブックディールの激変と、デジタルデバイスの進化による読書スタイルの変貌について、やや悲観的に描かれている。特に後者については、本という媒体そのものがなくなるかもという未来予測もある。
たしかに、本をテキストデータの集積と捉えるならば、デジタル化したほうが扱いやすいし、紙媒体であることの付加価値が消え失せることによる恩恵も大きい。稀覯本について言えば、これまで入手困難で読めなかったものが簡単に読める時代が近づいているとも言える。
けれど一方で、それは出版文化の息の根を止めかねないものでもある。とはいえ、わたし自身はそれほど悲観はしていない。本でなければ成立しないものが必ずあるからだ。いちいち例を挙げて詳述はしないが、まだまだ本は必要とされていくはずだ。
それにしても、背景として映し出される映像に含まれた情報量とその多彩さには圧倒される。画としては然程内容に関係ないものも含め、なんと魅惑的な情報たちか。ビデオでいちいち一時停止しながら画を読み取りたいと本気で思った。
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