劇場公開日 2021年7月24日

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「つまみ食い」夕霧花園 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5つまみ食い

2021年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

日本庭園と、謎の作庭家・中村。
彫り物(タトゥー)。秘められた“地図”。
英国による植民地支配、日本の占領と非道行為(強制労働と慰安所)、共産ゲリラの反乱というマレーシアの歴史。
「山下財宝」伝説。「金の百合」埋蔵金。
そして、憎しみを超えた男女の愛。

一体、どれだけの要素を盛り込めば気が済むのだろうか。
しかし、どれ一つとしてメインテーマと言えず、テーマが拡散し、“つまみ食い”のような感じだ。一本、筋が通っているとは言い難い作品である。
外国から見た“エキゾチック・ジャパン”とでも言えようか。
全体としてどういうストーリーを目指しているのかが、自分には見えてこなかった。

また、なぜ主人公が、“地図”から収容所の正確な位置が分かったのか。
中村とは、結局何者だったのか、その後どうなったのか。
なぜ中村は、主人公を信じていなかったと言えるのか。
もちろん大体は分かるが、はっきりしたことは、「キャメロン高原の霧」の彼方に隠れてつかめない。

“原作もの”らしいが、きちんと映画に移植できてないのではないか?
壮大なテーマは興味深く、主役の女優は魅力的で(入浴シーンが多く上品なエロティズムが心地よい)、目立たず離れずの音楽もいい雰囲気だ。
(ショパンの「ピアノ協奏曲第1番第2楽章(ラルゲット)」のような、つまらん曲で自分は涙は出ないが・・・。)
それだけに、残念作である。

Imperator