「泣けるシーンもある。背景の絵は緻密。キャラクター設定も悪くない」漁港の肉子ちゃん p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
泣けるシーンもある。背景の絵は緻密。キャラクター設定も悪くない
肉子ちゃんの純粋さと、まっすぐな明るい性格にずっとハラハラしながら観ていた。オトコに何度も騙されてきたという説明も入ったので、この漁港でもまたつらい事件が起きてしまうのかと心配していた。豪快な食べっぷりや、太りっぷりを見ても、このあと身体を壊すのでは?とか。明るすぎる性格を見ても、誰かに騙されて泣くことになるのでは?とか。
でも、そんな悲しい出来事は起こらず、肉子ちゃんの「純粋さが輝くシーン」(←あらすじには「最高の奇跡」とある)がラスト近くに来る。ピュアな肉子ちゃんだからこそ、言葉がまっすぐで大きな愛を感じる。ここはけっこう泣けた。
主人公は小学生の娘キクコ。彼女が女の子のグループの勢力争いに巻き込まれたりするが、このエピソードを入れた意味がわからなかった。西加奈子の原作でもページを割いているエピソードらしいが、映画で伝えたいことがぼやけてしまうような気がする。「キクコは先読みできる知恵のある娘だよ、だから肉子ちゃんの気持ちを読むことは簡単なのさ」ということだろうか。
背景の絵は、かなり手間をかけていて、レベルが高い。ちょっとお金をかけすぎ?と思うくらい。
泣けるシーンもあるのに、映画全体としては何か物足りないような気もする。肉子ちゃんのキャラクターが特殊すぎて、現実感を感じにくいからだろうか。
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