「男女格差を軽やかに風刺するいかにもラテンなユーモアに満ちたピリ辛コメディ」クイーンズ・オブ・フィールド よねさんの映画レビュー(感想・評価)
男女格差を軽やかに風刺するいかにもラテンなユーモアに満ちたピリ辛コメディ
北フランスの小さな街クルリエールは昔からサッカーに熱狂的な小さな街。しかし街の名門チームSPACはかつての栄光も今は昔、ついには試合中に起こした乱闘騒ぎでレギュラーメンバー全員が出場停止となってしまう。代替メンバーの不在に頭を抱える監督のマルコに手を差し伸べたのはステファニー達街の女性達。最初は乗り気ではなかったマルコだったが、一念発起してスカウト活動開始。なんとかメンバーを集めて練習を再開するが、女性達だけのチームの前に立ち塞がるのは対戦チームだけではなかった。
五輪界隈で露わになった未だ払拭されない男尊女卑に対して痛烈なメッセージを突きつける本作。本来味方であるべき街の男達までもが見えない壁を突き破ろうとする彼女達を煙たがり妨害する。しかし、3人のワガママな子供達を育てる主婦、邸宅に住むマダム、警官、前科持ちのシングルマザーといった個性豊かな彼女達はどこまでも明るくて逞しく、一方の男性陣は彼女達のおかげで虚勢を張れているだけで実は自分達だけでは何も出来ないクズ。自分達の不甲斐なさの尻拭いをまた彼女達に押し付けようとするというオッサンあるあるがグローバルスタンダードであることにクラクラします。そんな絶望的な状況に直面した彼女達の悪戦苦闘が辿り着く結末はハリウッド的なカタルシスとは異質なものですが、多様性が目指すべき未来はしっかりと見える爽やかな作品です。こういう風刺に満ちた作品をあくまでユーモラスなドラマとして仕上げるラテンの懐深さに感動しました。
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